オールドパサデナの2018の配合評価

オールドパサデナの2018の血統・配合評価については先にこちらの記事の中で実施しているのですが、その後のキズナ産駒の活躍状況を見て、改めて血統・配合の評価を考えてみたいと思います。

キズナの初年度産駒の活躍は既に周知されるところですが、改めてその状況を振り返ります。まず、現3歳世代の獲得賞金をみると5.8億円を稼ぎ出しており、これは好調なハーツクライ産駒を抑えてディープインパクトに次いで2位の成績になります。これは種牡馬デビュー年の成績としては極めて優秀であることに間違いはないのですが、一つ注意しておくべきことは、デビューした産駒数も突出しているという事実です。

現時点でデビューを果たしたキズナ産駒は131頭に対し、ディープインパクトは109頭、ハーツクライに至っては68頭しかデビューをしていません。即ち、1頭当たりの平均獲得賞金で見れば、ディープインパクトが圧倒的な1位となりハーツクライとダイワメジャーがこれに続くことになります。また、勝ち上がり率を比較しても、キズナ産駒は131頭中の30頭が勝ち上がっており、勝ち上がり率は23%になります。これもディープインパクトの47%に遠く及ばず、同じく新種牡馬のエピファネイアの28%にも劣っています。

この様に、「キズナの成績の一面はデビュー産駒の数に支えられている」ことに間違いありません。ある意味で「数打てば当たる」の状況と言えますが、それでも「早期デビューが出来る」と言う事実自体が、一つの能力であることに間違いはありません。

それではキズナ産駒のどこが素晴らしいかというと、それは多数の大物を輩出している点にあります。先週は若駒Sにケヴィンが勝ちましたが、すでにリステッド競争以上に勝利した馬が、クリスタルブラック・ビアンフェ・キメラヴェリテ・ケヴィンの4頭もいる他、マルターズディオサは阪神ジュベナイルフィリーズ(GⅠ)で2着を確保しています。これはエピファネイア産駒から漸く2勝馬が出た事実と比較して対照的です。加えて、芝・ダートに問わず重賞勝ち馬を出している点も見逃せません。これらは決して数を打っただけの結果ではないことは明らかです。

以上から、「キズナの産駒への出資を検討するのであれば、手堅く勝ち上がりそうな馬よりも、大物な気配のある馬を狙うべき」と言う考えかたが成り立ちます。そこで、獲得賞金の多い方からキズナ産駒の配合を眺めてゆくと幾つかの傾向性を見出すことが出来ます。そして、その1つが母系にIn Realityの血を持つことです。これは賞金上位2頭のビアンフェ・クリスタルブラックを始めとして散見される特徴であり、特にクリスタルブラックは母系にIn Realityのクロスを有しています。

つぎに、もう一つの傾向がSecretariatのクロスです。5代血統表中にSecretariatのクロスを有する馬の勝ち上がり率は43.8%であり、クロスを有しない産駒の20.0%の2倍にも達しています。また、マルターズディオサ・キメラヴェリテと言った活躍馬もこのクロスを有しています。但し、このSecretariatのクロスは世代を後ろにするほど効果は失われる傾向もありますので、母系の5代内にSecretariatの血を有することが重要になります。

以上、2つの傾向性に対してオールドパサデナの2018を見ると、母父エンパイアメーカーがIn Realityのクロスを有しており、「母系にIn Realityのクロスを有する」と言う点でクリスタルブラックと共通しています。さらに「Unbridledを経由してIn Realityの血を有する」という点ではビアンフェと共通になります。そして、2つめの傾向性についても、A.P.Indyを経由してSecretariatの血を有しており、父母間クロスが成立しています。

以上の通り、配合面でオールドパサデナの2018は高い妙味を有していることが判ります。さらに本仔は牡馬ですから、奇跡の一発の出た時の価値は計り知れないものがあり、ついついふらっとポチってしまうだけの魅力を備えていると思います。

只、それでも出資を思いとどまらせているのは馬体の見栄えが個人的にピンと来ないことで、特に仕上がりの遅そうなトモをみると、デビューの早いキズナの特徴が引き継がれていない様にも思えます。加えて、最新の公式サイト情報からは強めを乗った所で硬さとスクミが現れたという記述もあり、これも出資を躊躇させるには十分なリスクです。また、厩舎のレベルも懸念材料の一つとなります。

幸いにも本仔の残口は多数ありますので、ここは「焦らずに今後の育成状況をウォッチして、早期デビューが見込まれる状況になったら出資を判断する」と言う方針が正解であろうと思っています。

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