2021年度:様子見対象馬のフォロー③

本稿では様子見対象としてピックアップした21年度募集馬について、直近の育成状況をフォローします。(前回はこちら

※クラブ毎に出資が有力な順番に記載しています。


【グリーンF】

12/24~27に掛けて募集馬情報の更新がありました。総じて坂路調教が開始された状況ですが、DMMと比較してしまうとスロースタート感が否めません。現在の状況を見ると、新馬戦がスタートする6月時点で仕上がりに差の出ることは明らかでしょう。

正直な感触として全体に良化が感じられず、現時点で追加出資の候補として足るのは、エメラルドスターの1頭のみの状況です。

1.エメラルドスターの2020

・更新日 :2021/12/24
・馬体重 :481Kg(+4Kg)
・メニュー:坂路2本(週3回)

社台Fにて育成中。週3回坂路入りして、内2回が2本登坂か登坂後のキャンターが行われています。ペースは18-17で、年内に16-15の時計も刻んでいます。年明けからは15秒ラップの消化を目標とするとのことで、グリーンF募集馬の中では明らかに乗り込みの進んでいるグループと見ることが出来ます。現時点で馬体重は481Kgまで大きくなり、乗り込みながら増加している点も好評価できます。

一方で、当初指摘された精神面の不安に付いては、特段のコメントは示されていません。成長と共に解消されたのであれば朗報と言えます。

2.アースリヴィングの2020

・更新日 :2021/12/24
・馬体重 :458Kg(±8Kg)
・メニュー:直線ウッド1000Mを18-18

チェスナットFにて育成中。BTCの各種コースで3000M(20秒)とウッド1000M(18秒)のメニューで乗られています。「動きには余裕があり、スピードもありそう」のコメントが示されていますが、現時点でも坂路入りが出来ていない点は明らかな進捗遅れを感じます。

この進捗遅れの原因は、恐らく気性面のコントロールにあると考えられ、前回に続いて懸念するコメントが示されています。併せ馬でムキになる面が指摘されており、今後も注視する必要があるでしょう。馬体重の増加は朗報ですが、運動メニューが軽い分だけ割り引く必要があります。

3.アンナモンダの2020

・更新日 :2021/12/24
・馬体重 :396Kg(-10Kg)
・メニュー:坂路1本(週3回)

社台Fにて育成中。坂路入りの回数は週3回に増えましたが、2本登坂は行われていません。恐らくこれは、現段階ではトレーニングを進めるよりも厚みを増すことに重点を置いているものと考えらますが、肝心の馬体重は逆に-10Kg減ってしまいました。中間で15秒も記録した模様ですが、300Kg台から抜け出せない馬体重はリスク以外の何物でもありません。

小柄ながらスピード能力はありそうで、早期デビューも視野に入るとのことですが、現時点で出資するには博打感が拭えません。

4.ペディクラリスの2020

・更新日 :2021/12/24
・馬体重 :462Kg(+14Kg)
・メニュー:坂路1本(週3回)

社台Fにて育成中。週3回、坂路1本のメニューは変わりませんが、内2回は登坂後にキャンターで長目が乗られています。コメントに依れば「ここにきて飼い葉を食べられるようになって体重が増加し、体付きが良くなってきました。」とのことで、実際、馬体重も14Kg増加して462Kgまで大きくなりました。この辺りは普通に好評価したいところです。

一方で、坂路の時計が示されていない上に、2本登坂が見送られている点を鑑みれば、基礎体力の不足する状況は明らかです。11月に公開された動画で見られた歩様の怪しさを考えると、引き続きスピード調教の結果を待ちたいところです。

5.スリールドランジュの2020

・更新日 :2021/12/27
・馬体重 :427Kg(+7Kg)
・メニュー:坂路2本を中断

ノーザンF空港にて育成を開始。坂路2本を17-18秒ペースまで進みましたが、中間で左前腕に腫れが出てしまい運動を休止しています。検査の結果、骨には異常が無いとのことですが、まだ軽い運動メニューーの段階での頓挫となると、今後の運動ペースの鈍化は避けられないでしょう。本馬の募集時の管囲は18cmと極端に細く、そのリスクが顕在化した格好です。

馬体重は増加傾向にありますが、運動を休んだ結果と考えれば、ポジティブにはなれません。次回からは様子見対象から外すかもしれません。


【DMM】

少々盛り過ぎな感もあるDMMの募集馬情報ですが、運動メニューや坂路の動画を見る限り、状態の良さは間違いなく見て取れます。「100のコメントより1本の動画」と考えれば、高頻度で動画がアップされるDMMの募集馬情報は、出資者目線に立っていて好感が持てます。

現状でエラクレーアの進捗が突出していますが、これを始動の遅れたパーフェクトマッチとモルトフェリーチェが急追しています。一方で、追加募集されたヴァンキシュトについては気性面の不安が示されたことから、評価を下げました。

1.パーフェクトマッチの2020

・更新日 :2021/12/20
・馬体重 :478Kg(12/24)(-5Kg)
・メニュー:坂路800M

ノーザンFにて育成中。挫石により乗り出しが遅れてしまいましたが、現在は坂路運動が本格的に開始されています。登坂回数は不明ですが年内には16-17ペースを刻んでおり、一気に追い付いて来た印象です。坂路の動画を見ると、低い姿勢から首を上手に振って登坂して来ており、好印象を持ちました。また、新規の歩様動画を見ると、可動域が広く、柔らかい動きは変わっていません。あとは筋力のアップが待たれるところです。馬体重は-5Kg減って478Kgですが、これは乗り込みが進んできた裏返しと評価します。

牧場スタッフのコメントによれば、現状で前が勝っており、遅れてトモが追いついて来れば、また変わってくるだろうとのこと。夏頃のデビューも視野に進められる模様です。なお、気性的には少しピリッとしたところが見られるとのこと。

2.エラクレーアの2020

・更新日 :2021/12/20
・馬体重 :471Kg(12/21)(+3Kg)
・メニュー:坂路2本・800M

ノーザンF早来にて育成中。週間の坂路回数は不明ですが、2本登坂は開始されており、15-17のペースも記録しています。早来では最も進んでいる組とのこと。坂路の動画を見ると、首をリズミカルに振りながら、躍動感すら感じる走りを見せており、かなり目を惹く印象でした。歩様動画も変わらず可動域が広く、柔らかさを感じるもので言うこと無しです。また、これだけ乗り込まれて馬体重が維持されていれば充分でしょう。牧場スタッフのコメントも公開されていますが、特に採り上げる所も無いほど、順調に進められている状況が伺えます。

フラットに見て状態が最も高く評価できる募集馬ですが、個人的に種牡馬に対する魅力がパーフェクトマッチより劣ることから、候補順位は2番手に下げています。

3.モルトフェリーチェの2020

・更新日 :2021/12/20
・馬体重 :448Kg(12/15)(+24Kg)
・メニュー:坂路800M

ファンタストクラブにて育成中。本数は不明ですが坂路入りは行われており、1ハロン17秒台まで進んでいます。坂路調教の動画も公開されました。斜度と距離が判らないので、単純にノーザンF育成馬との比較は出来ませんが、なんとか最後まで上がって来ています。序盤はシッカリと走れていましたが、後半は少しキツそうな印象を受けました。歩様動画は変わらず好印象で、柔らかく可動域の広い歩様を見せています。

一方で、本馬の最大の懸念事項は馬格が小さいことと、それに因る乗り込みの不足でしたが、この1カ月で+24Kg馬体重を増やして来ました。これは乗り込みながらの数字でもあり、極めて高く評価したいところです。場長のコメントでも目を見張る成長に言及されており、春先に何処まで変わって来るか楽しみとのこと。また、現在の坂路は17秒台で乗られていますが、15秒台までは出せるとのこと。

4.ヴァンキシュトの2020

・更新日 :2021/12/20
・馬体重 :476Kg(12/15)(+8Kg)
・メニュー:坂路800M

ファンタストクラブにて育成中。800M坂路を17秒ペースで乗られているとのことですが、登坂動画は公開されていません。歩様動画は公開されましたが、チャカ付いた状態で、可動域と柔軟性は確認が出来ません。本来ならば落ち着くのを待って動画を撮影すると思うのですが、気性的にそれが出来なかった可能性があります。

場長のコメントに依ると、ハッキングの歩様を絶賛している一方で、腹袋の小さい所とテンションの不安に言及されています。「イレ込んだ時に人が制御し難いところまで暴れる」との情報もあり、これが最大のリスクとなりそうです。この疳性を競馬に対して良い方向に向けて貰えると良いのですが、これは今後の育成を見守るよりありません。

「牝馬の外国産馬でダート血統」と言う不利な材料に加えて、気性難の情報まで加わってしまうと、ロマン枠としても高額な募集価格に目を瞑ることが出来るのか、微妙な状況になりました。


【YGG】

年末に募集馬情報が一通り更新されましたが、全体に進捗は超スローです。グリーンFと比べても明らかに遅く、近年の早期デビューの流れには全く対応出来ていない状況です。これまで、地方募集馬は出資対象から除外してきましたが、中央募集馬の進捗が芳しくないことから、新たに船橋所属予定のスマートシャワーを出資候補に加え、代わりに馬格の足りないトレサンセールを除外しました。

1.スマートシャワーの2020

・更新日 :2021/12/29
・馬体重 :448Kg(12/29)(+3Kg)
・メニュー:坂路(週1回)

北海道・99.9にて育成中です。現在の運動メニューは600mのトラックコースと、週1回の坂路調整です。ラップタイムは不明。中央募集馬と比較すると、育成環境が見劣りしますが、それは止む無い所でしょう。牧場スタッフのコメントでは「本馬は前向きで動かそうと思えば動くので、年内しっかり時計を出して、年明けからは体を作る事をメインに進めて行こうと思っています。」とのこと。一方で、「右トモの開きが気になる」のコメントもあり、これは継続してフォローする必要があります。

自分が本馬の出資候補に加えた理由は、改めて地方募集馬を含めて見直したところ、本馬の動きが目を惹きました。関節の可動域がソコソコあって、何よりも筋肉の質感が好みです。測尺と馬格には問題がなく、他の中央募集馬よりも本馬の方が良く見える位です。血統背景こそ目を惹くものがありませんが、中央でも勝ち上がれる素材に思えます。

2.クラリティアイズの2020

・更新日 :2021/12/30
・馬体重 :433Kg(12/30)(±0Kg)
・メニュー:キャンター2000M

グリーンマイルTCにて育成中です。現在の運動メニューはダグ800mとキャンター2000mで、それ以上の情報がありません。DMMまでは求めませんが、YGGにはもう少し募集馬情報の更新を頑張って欲しいところです。

動画の歩様は可動範囲が広く、変わらず好印象なのですが、牧場スタッフのコメントからは気性難に言及があり、これが本馬の最大の懸念です。リスク回避の観点から、常識的には出資候補から外すところですが、価格を考慮して許容可能と判断しました。あとは尾関厩舎であれば何とか御してくれることに期待を掛けたいと思います。

3.シンラバンショウの2020

・更新日 :2021/12/30
・馬体重 :434Kg(12/30)(+2Kg)
・メニュー:キャンター2000M

グリーンマイルTCにて育成中です。現在の運動メニューはダグ800mとキャンター2000mで、それ以上の情報がありません。動画を見ると冬毛が相当出ている状況で、これは乗り込みが進んでいないことの証左でしょう。馬体重は+2Kg増の434Kgですが、前回の+12Kgを減らさなかったことをプラス評価したいと思います。

歩様動画は変わらず柔らかさを感じて良いのですが、本馬の課題は筋力増強だと思うので、そう言う点で出資判断には遠い状況です。

4.ブリオレットの2020

・更新日 :2021/12/27
・馬体重 :474Kg(12/27)(+1Kg)
・メニュー:坂路1本

追分リリーバレーにて育成中です。現在の運動メニューは坂路1本を16秒ペースで乗られており、週の登坂回数は不明です。牧場スタッフのコメントによれば「坂路を手応え十分に登坂しており、体力面、筋力面ともに調教強度にしっかりと順応出来ています。」とのこと。坂路調教の動画も公開されており、低い姿勢の走りは好感を持てるものでしたが、ラストはキツそうな印象です。

馬の状態の評価としては本馬がYGGの出資候補の中では最も良く見えるのですが、他クラブの価格1700万円の募集馬と比較してしまうと、見劣り感が否めません。また、預託先厩舎のマネージメントが自分には合わない部分があって、ストレスが溜まってしまいます。これらを勘案すると、相当な良化を見せてくれない限り出資判断は難しい印象です。

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