2023年グリーンFから募集して欲しい仔馬②

グリーンFから今年募集して欲しい仔馬をピックアップするシリーズの2回目です。今回は「募集確度は落ちるものの、募集されれば人気の予想される仔馬」です。主に社台Fの生産馬になります。(第1回はこちら)

No1:マキシマムドパリの2022

父  :ブリックスアンドモルタル
母父 :キングカメハメハ
性別 :牝馬
毛色 :芦毛
誕生日:2022年4月25日
母年齢:10歳(4番仔)
生産 :社台ファーム

元グリーンF所属馬で、愛知杯とマーメイドSの2つのG3を制し、秋華賞でも3着を記録したマキシマムドパリの4番仔です。初仔のヴィクトールドパリはグリーンFから募集されましたが、2番仔は本家から募集され、3番仔はセレクトセールに上市されてしまいました。

これに対し、本仔はここまで就職先が判明しておらず、3世代振りにグリーンFから募集される蓋然性が高まっています。特に、2番仔と3番仔が牡馬に出たのに対して本仔は牝馬ですから、社台グループ内に留め置かれる可能性は十分にあります。

一方で、注目すべきはその募集価格。2番仔は本家から7000万円の募集、全兄の3番仔は1億3500万円もの高額で落札されており、牝馬とは言え募集価格が4000万円を下回ることは無さそうです。もっとも、兄姉の競争成績が冴えないこともまた事実であり、その分だけ割り引かれて募集される可能性はあるかもしれません。

何れにしても、グリーンFから募集されれば最注目の1頭になることは間違いありません。但し、募集価格が4000万円未満の場合は、馬体の出来を十分に評価する必要がありそうです。

No2:レーヌジャルダンの2022

父  :ハービンジャー
母父 :ディープインパクト
性別 :牡馬
毛色 :鹿毛
誕生日:2022年3月17日
母年齢:8歳(2番仔)
生産 :社台ファーム

本仔の祖母は、グリーンFの唯一のG1馬であるクィーンスプマンテ。母レーヌジャルダンはその3番仔に当たります。クィーンスプマンテの産駒は初仔~5番仔まではグリーンFから募集されましたが、以後はクラブに降ろされることがありませんでした。

正直な所、クィーンスプマンテの仔は目立つ良績を上げることが出来ず、3勝クラスに進んだアスティの他は、1勝クラスor未勝利に終わっています。(ちなみに、唯一の活躍馬アスティも未勝利戦では勝つことが出来ず、ファンド解散の後、別の馬主の下で中央復帰を果たしています。)

本仔の母レーヌジャルダンはディープインパクトが配合された期待馬でしたが、3戦目で未勝利戦を突破した後は、勝ち星に恵まれることはありませんでした。只、この結果については厩舎の使い方にも工夫が足りなかった感が否めません(個人的な感想です)。

本仔はそのレーヌジャルダンの2番仔になります。繁殖初年度にはロゴタイプが種付けられた記録がありますが、その競争馬登録は存在せず、不受胎だったのか流産だったのか詳細は不明です。一応、ここでは2番仔として扱いました。

本仔の父ハービンジャーは昨年の種牡馬リーディングでも15位に留まり、人気種牡馬とは言い難いことから、本仔がグリーンFに卸される蓋然性は高い様に思われます。「クィーンスプマンテの血をグリーンFに残す」と言う意味において、来年以降も継続募集して欲しい牝系です。

No3:トゥルーストーリーの2022

父  :ミスターメロディ
母父 :キンシャサノキセキ
性別 :牝馬
毛色 :栗毛
誕生日:2022年4月8日
母年齢:10歳(5番仔)
生産 :新井昭二牧場

祖母デフィニットから連なる牝系です。元グリーンF所属馬で、本仔の叔父ボールライトニングが京王杯2歳S(G2)を制しました。本牝系とグリーンFは縁故関係が強く、本仔の母トゥルーストーリーを含めて5頭がグリーンFから募集されています。只、デフィニットが繁殖生活を終えた後はグリーンFとの繋がりが途絶えており、本仔で関係を回復したいところです。

本仔の母トゥルーストーリーは気性面に難のあった競争馬で、新馬戦には出走が間に合わず、未勝利戦デビューでいきなり勝利を上げています。只、この勝利は相手関係に恵まれた感も強く、1勝クラスでは厳しい戦いが強いられました。そして、気性的に距離の融通も効かなかったことから、僅か6戦で引退に至っています。

一方で、個人的な本仔の魅力は父ミスターメロディに感じています。ミスターメロディは本仔の世代が初年度産駒となる新種牡馬で、現役時代は高松宮記念(G1)とファルコンS(G3)の、芝の短距離重賞を2つ制した快速馬です。スピード能力の高い牝系と合わせた本仔は、優れたスピードを有することが期待できます。

そして何より、ミスターメロディの血統的な魅力は祖父Scat Daddyの直系である点にあります。外国産馬として輸入されるScat Daddy産駒は総じて高い競争能力を示しており、その血を国内に伝えると言う意味で、ミスターメロディの存在価値は極めて大きいと思います。

更に翌年からは日本軽種牡馬協会が輸入したカラヴァッジオも加わることで、Scat Daddyの血統は日本国内に広がることが期待されますが、国内での良績があると言う点で、ミスターメロディの人気は一歩上を行くと予想します。

No4:エレンシアの2022

父  :ルヴァンスレーヴ
母父 :ワークフォース
性別 :牝馬
毛色 :鹿毛
誕生日:2022年2月1日
母年齢:9歳(4番仔)
生産 :那須野

祖母がエリザベス女王杯を制したエリモシック。母が元グリーンF所属のエレンシアと言う血統です。母エレンシアは馬格に恵まれず、僅か2走で現役を引退。その初仔のエレダールもグリーンFから募集され人気となりましたが、勝ち上がることが出来ませんでした。本仔はそのエレンシアの4番仔になります。

以上の様に、母の仔出しを考えると強気になれない本仔ですが、魅力を感じるのは新種牡馬のルヴァンスレーヴです。無敗で全日本2歳優駿(Jpn1)を制すると、伏竜Sの2着を挟んで、ユニコーンS(G3)、JDD(Jpn1)、マイルチャンピオンシップ(G1)、チャンピオンズC(G1)の重賞を3歳にして4連勝して見せると言う、絶対的な能力を示したダート馬でした。

しかし、4歳になって脚部に故障を発症してしまい、治療を行うも完回は難しく、結局、引退に至る結果になりました。若くして引退を余儀なくされたルヴァンスレーヴですが、その分も、自らの突出した競争能力を産駒に伝えてくれるものと期待しています。

母エレンシアが馬格が小さく体質も弱い馬であったことから、産駒がその特徴を引き継いでしまうと困るのですが、祖母エリモシックの血が隔世的に産駒に現れてくれれば、大物の出る可能性も秘めらています。

そう言う意味で、募集馬の馬格と体質を確認して、問題の無いことを見極めることで、一定のリスクは回避できると思っています。

No5:ジュエルオブナイルの2022

父  :ナダル
母父 :デュランダル
性別 :牡馬
毛色 :鹿毛
誕生日:2022年2月8日
母年齢:15歳(7番仔)
生産 :社台ファーム

母ジェルオブナイルは元グリーンF所属馬で、小倉2歳S(G3)を制した活躍馬です。また、その初仔のゴールドケープもクラブから募集され、阪神JF(G1)で6着、フィリーズレビュー(G3)で3着を記録しており、2歳時から活躍する牝系と言えます。

ジュエルオブナイルを含めて近親5頭がグリーンFから募集されており、縁故関係の強い牝系ですが、ジュエルオブナイルの産駒は3番仔グレースオブナイル以降、クラブから募集されていません。昨年はゴールドケープの初仔であるビクトリーフォースが募集されたことから、募集対象が世代変わりした感もありますが、今年はジェルオブナイルの2022の方を募集して欲しいと考えています。

本馬の魅力は父が新種牡馬のナダルであると言う点。ナダルについては、第1回でピックアップしたアンデスクィーンの2022の父でもありますが、アンデスクィーンの2022が牝馬であるのに対し、本仔は牡馬である所が重要です。ナダルはRobertoの直径種牡馬であることから、活躍馬が牡馬に偏る可能性があり、それを考えると牡馬に出た本仔の方に妙味を感じます。

ナダル自体は1800Mのアーカンソーダービー(G1)を制するも骨折により早期引退し、種牡馬入りを果たしました。中距離に実績を残す競争馬ですが、その馬体は筋肉粒々の如何にもスピードのある短距離馬を想像させるものです。そう言う意味で、筋肉量の有る牡馬の方がナダルの特徴を受け継ぎ易い様な気がしています。

個人的に、ナダルは中距離よりも短距離適性の産駒で良績を残すと予想しており、その点で短距離適性の有るジュエルオブナイルの牝系はマッチするのではないかと想像しています。

No6:ベアトリッツの2022

父  :ゴールドシップ
母父 :ディープインパクト
性別 :牝馬
毛色 :鹿毛
誕生日:2022年4月10日
母年齢:12歳(5番仔)
生産 :社台ファーム

祖母バルドウィナから連なる牝系で、本仔の叔母には桜花賞馬のジュエラーがいます。母ベアトリッツは元グリーンF所属馬で、芝マイルで3勝の成績を残しました。繁殖に上がった後は、2番仔と3番仔がグリーンFから募集されましたが、2番仔のベルポエジーは骨折により募集中止。3番仔のアクトゥールキネマも小腸捻転により開腹手術を行い長期離脱を強いられるなど、結果の出ない状況が続いています。

只、両馬の頓挫は何れも事故的な事象であって、必ずしも遺伝的背景のあるものではありません。4番仔がセレクトセール当歳で8800万円で落札されていることからも、牝系自体は高く評価されて然るべきものと考えて良いと思います。

一方で、本仔の魅力は父ゴールドシップにあります。G1✕6勝を含めて重賞を11勝したゴールドシップは現役時代から人気競争馬でしたが、最近はウマ娘のキャラクターとして更に人気を高めています。但し、その産駒の成績は父の人気に見合う程ではありません。

もっとも、これは「社台系の優れた繁殖牝馬が配合されていない」と言う不利も背景にあり、社台牝系が配合された本仔はそれだけでも妙味のある存在と言えます。さらに、これまでのゴールドシップ産駒は一昨年のオークス馬であるユーバーレーベンを始めとして、牝馬に活躍馬が偏重する傾向があり、その点でも牝馬に出た本仔は期待値が上がることになります。

これまで、グリーンF募集馬では結果の出ていないベアトリッツ産駒ですが、「3度目の正直」として、社台Fから提供される可能性は十分に高い気がします。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする