GFエイシンバンバの2021に出資

随分と時間が経ってしまいましたが、出資馬選定にあたっての備忘録を残しておくことにします。今回はグリーンファーム募集馬のエイシンバンバの2021の出資事由になります。

まず、最も重要な背景として、エイシンバンバの2021は今年のグリーンファームの特別提供馬でした。要するに、馬代金を無料で一口貰える募集馬になりますが、これに応募するためには、同時募集の馬の中から2口以上に出資申込を行う必要がありました。これには様子見が有用なグリーンファームの出資馬選定において、大きな判断を要します。また、無償提供と言ってもそれは馬代金に限られるもので、維持費は会員自身の負担になります。

即ちグリーンファームの特別提供馬は、単純に「無料であるから黙って応募すれば良い」と言う話では無く、提供馬の評価が上記のデメリットを上回わって余りあるものか、冷静に判断した上で応募することが肝要となります。


■種牡馬
父は産駒が今年日本でデビューする米国輸入の種牡馬シャンハイボビー。現役時代はBCジュベナイル(G1)・シャンペンS(G1)の他、5連勝で2歳王者の栄冠を得た活躍馬です。2歳時から活躍をしたことから、産駒も早期の活躍が期待され、実際に米国で生産した産駒からもその傾向は現れており、北米では新種牡馬リーディングの4位となっています。

日本では現時点で16頭の産駒が中央デビューを果たし、既に4頭が勝ち上がり、複勝圏まで広げれば実に50%の8頭がこれをクリアしています。繁殖の質に恵まれない中で、新種牡馬リーディングの8位は優秀と言えますし、勝ち上がり率に至っては4位の好成績を残しています。

■牝系
母エイシンバンバは米国から輸入の外国産馬でしたが、競争成績は芳しくなく、中央と地方で7走しましたが、未勝利のまま抹消されています。

一方で、母母Stella Blueはフランス産馬で、現役時にはミエスク賞(G3)を制しています。隔世遺伝によりこの能力が表に現れれば、産駒の成績は期待できます。実際、エイシンバンバの仔は本仔が5番仔に当たりますが、初仔のルヴァンヴェールは中央デビューして既に2勝を上げています。また2~3番仔は大井競馬でデビューして何れも2勝を上げる成績を残しており、少なくともB組に上がることは間違いありません。中央で考えれば1勝クラス相当と考えることが可能です。目立つ成績ではありませんが、安定的な成績を残す母馬と考えて良いでしょう。

ちなみに、エイシンバンバの産駒は全てグリーンファーム所属馬で、初仔のルヴァンヴェールは本仔と同じく特別提供馬として募集されました。

■配合
種牡馬シャンハイボビーの産駒はまだサンプル数が少なく、配合上のポイントは見出されていません。

■測尺
募集時の測尺は以下の通り。

体高:154.0 胸囲:178.0 管囲:21.0 体重:461

本仔の評価を行っていて最も好評価したのがこの馬格でした。体高・胸囲・管囲の何れも高水準で、全く不安がありません。特に胸囲の178.0は高評価できるポイントです。さらに、募集体重の461Kgから予測されるデビュー時の体重は522Kgとなり、ダート馬としても申し分ありません。

■駐立写真

スクェアな体型で。短い背中が特徴的です。腹袋もあって、所謂、長躯短背と言って良いスタイルです。トモに幅があり面積の広い点は特に評価する部分であり、筋肉の発達も認められます。また、脛幅が広い点も個人的に好評価するポイントです。

成長に伴って、これから背中が伸びるかと思いますが、脚長は短いものではなく、距離適性はマイル前後になると予想しています。

■歩行動画

まず、前肢が柔らかく前方に振り出されるところが印象的です。また、後肢は飛節が直線状に伸びて、地面を最後まで捉えています。只、後肢の踏み込みに関しては少し甘さを感じました。これはトモの緩さから来るものかもしれません。今後のトレーニングで鍛えて行くことで、力強さの増すことを期待します。

■誕生日と母年齢(参考1参考2
本仔の出産時の母年齢は9歳で、参考1に示す通り最も産駒の成績の優れる出産年齢に該当します。また、2代母の出産年齢も10歳と若く、母との平均年齢は9.5歳となり、参考2に示す通り、これもベストな条件と言うことが出来ます。母系の年齢としては最高の条件を揃えていると考えて良いでしょう。

一方で、本仔の誕生日は4月25日で遅生まれの範疇にはいります。言い換えれば、ここから更なる成長が期待できることになります。測尺の項で示した通り、デビュー時には馬体重が500Kg台に乗ることも期待できます。
但し、遅生まれの分だけデビュー日が遅れる可能性は高く、加えて大型馬故の仕上がりの遅さも考慮すると、デビューが秋以降になることも覚悟しなければなりません。この辺りは、父の早熟性によって相殺されることを期待したいところです。

■生産と育成
本仔の生産は那須野牧場。グリーンファームから募集される那須野牧場生産馬は、ある意味で社台系よりも安定した成績を残しており、回避する理由にはなりません。

次に育成は武田ステーブル。武田ステーブルについては過去にグランマリアージュとジュエルジュエリで利用された実績がありますが、良否を判断するだけの材料はありません。ちなみに、坂路調教にはBTCの施設が利用されますが、自前の坂路を所有する育成牧場と比較すると乗り込み本数の少なさは否めません。

最後に外厩についてですが、非社台系の募集馬であっても、関西馬であればチャンピオンヒルズを利用できる可能性があるのですが、関東馬ではそれも叶いません。恐らく、本仔の場合はルヴァンヴェールと同じケイツーSが利用されることが予想されます。

■厩舎
預託先厩舎は美浦の竹内厩舎。半兄ルヴァンヴェールと同じ厩舎となります。ルヴァンヴェールも本仔と同じ特別提供馬であり、気性面の難しさから1勝クラスで成績の停滞する時期がありましたが、去勢を含めた厩舎の工夫によって1勝クラスを卒業するに至りました。本仔についても手厚い育成が期待できると考えています。

また、厩舎の成績を数字面から確認すると、今年は成績が向上し、現時点で調教師リーディングは70位台を確保しています。また、個人的に重視する指標である、「クラブ馬勝ち上がり率=38%、クラブ馬回収率=127%」は、勝ち上がり率がもう一歩ですが、クラブ馬回収率は及第点が与えられます。

■価格
前述の通り、本仔はグリーンファームの特別提供馬であり、馬代金は無料となっています。回収の観点で言えば、仮に勝ち上がりが出来居ない場合でも1400万円前後の賞金を稼ぐことが出来れば、トータルリターンをプラスにすることが可能です。

■テシオ理論
母エイシンバンバの父系は総じて劣勢期であることから、父馬の性質が表に出易い母馬と見なされますが、本仔の父シャンハイボビーも劣勢期であるため、優先祖先の判断が困難です。劣勢期であっても優先祖先になり得ると考えるならば、優先祖先は父シャンハイボビーと見なされ、脚質はマイル前後のダートと予想されます・

一方、母エイシンバンバの出生時年齢は9歳であり、本仔はMAX活性期の産駒となります。基礎体力値は53%止まりですが、母年齢の項で示した通り、これは問題になりません。

■余談
本仔はグリーンファームの特別提供馬になりますが、普通に評価して、募集価格1400万円前後であれば出資候補に十分なり得ると思います。特に、馬格の小さな募集馬の多いグリーンファームの中にあって、これだけの馬格を持ちながら無償馬として提供されることは、正直に言って不思議でなりません。ちなみに、グリーンファームの特別提供馬は1年間隔でアタリとハズレを繰り返す傾向がみられ、このアノマリーが成立するのであれば、本仔は「アタリ年の特別提供馬」と言うことになります。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする