一口馬主を始めた話(1)

この数年、競馬にハマっています。元々、小学校の卒業文集で将来の夢に”騎手”と書いたくらい競馬が好きだったのですが、大学受験の頃からはすっかりそれも忘れてしまっていました。

それが何故に50歳を過ぎて競馬熱が再燃したかと言うと、一口馬主と言う仕組みの存在を知ったからでした。一口馬主とはクラブと呼ばれる組織体が出資者を募ることで、高額な競走馬1頭の権利を数十~数百人の会員で分割保有すると言う、一種の共同馬主システムです。競走馬が稼いだ賞金は出資者に対し口数に応じて分配されますので、馬主と言うよりは投資信託の方が感覚的に近いかもしれません。

一方で、出資者であっても競馬場の馬主席には入れないなど、馬主としての権利は正規馬主に比べて制限されてしまいます。それでも、愛馬がレースに勝てば、口取りと呼ばれるウィナーズサークルでの記念撮影に参加できる(希望者多数の時は抽選)など、競馬好きにとっては夢のあるシステムです。制度上は、G1馬の一口馬主としてターフで記念撮影できる可能性もありますし、一獲千金の夢もあるわけです。一応は。

ところで、一口馬主のクラブは世の中に大小いくつかありまして、そこには明らかなヒエラルキーが存在します。別に、正規の馬主資格のように年収制限があるわけではないのですが、血統の優れた競走馬の価格は相当高く、これを数十~数百人で権利分割しても、一口の価格は数十万~数百万円になってしまいますので、それなりの資金力が必要になります。さらに、投資信託ならば銘柄分散によってその価値が突然ゼロになることはあり得ませんが、競走馬は故障してしまうと即引退となってしまいますので、その時点で価値は無くなってしまいます。これは、投資で戒めるところの「卵を一つの籠に盛ってはいけない」の例え話であり、極めてハイリスクな商品と言えます。

このように、ハイリスクな商品に高額を投じるためには、それだけの可処分所得が必要であり、超良血馬を多数集めるサンデーサラブレッドクラブや社台サラブレッドクラブと言った老舗クラブで十分な出資を続けられるのは、スポーツ選手・芸能人・会社経営者などの高所得者に限られてきます。結局、自ら収入に見合った馬質や分割口数を提供する一口クラブを選択する必要があり、ここにヒエラルキー構造が生じることになります。

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