一口馬主を始めた話(2)

「一口馬主は身の丈に合ったクラブを選ぶ必要がある」と言うことで、最終的に自分が選んだクラブが”グリーンファーム愛馬会”でした。

背伸びして老舗クラブを選択することもあながち無理ではなかったのですが、その場合、出資実績がクラブ中で底辺クラスの属性になってしまいます。クラブ内にはまたクラブ内のヒエラルキーがあり、人気馬は高属性の会員から優先的に出資権が与えられるため、低属性のままでは希望の馬に自由に出資できない可能性が高くなります。ここは「鶏口となるも牛後となるなかれ」の諺に従って、中堅クラスのクラブを選ぶべきと考えました。

ここでグリーンファーム愛馬会(以降グリーンファームと略します)についてですが、1頭の平均募集額は約1700万円です。これを200口に分割しますので、一口当たりの募集額は8.5万円となり、比較的リーズナブルな金額に落着きます。これが老舗の”社台レースホースクラブ”の場合では、1頭平均約3200万円を40口に分割しますので、一口当たりの平均金額は80万円となります。これは宮仕えの身には気軽に出資できる金額とは言えないでしょう。ちなみに、より安価なクラブとして”友駿ホースクラブ”を例に挙げると、1頭平均約1400万円を500口に分割しますので、一口当たりは2.8万円となり、財布には大分優しくなります。

グリーンファームのもう一つの特徴として、社台ファームとの提携により、成績上位の種牡馬の仔が、比較して安価に募集されるという点が挙げられます。「優良な仔馬が安価で募集される」のであれば良いことづくめに聞こえますが、世の中そんなに甘い話はなくて、安価なものにはそれなりに理由があると考えるべきです。例えば体格が小さかったり、足元に不安があったりと言った事由で、高額でセリに出せない仔馬を一口クラブに直接卸している可能性も否定できません。これがグリーンファームが一部で”アウトレット”などと揶揄されるところです。

もちろん全ての募集馬が問題を抱えているとは限りませんし、仔馬のときに不安があるかに見えても成長して解消される可能性も多々あります。結局の所、未来は誰にも分りませんし、それは高額馬を提供するクラブであっても変わりません。実際、グリーンファームの勝ち上がり率は45.6%に対し、社台サラブレッドクラブのそれは52.4%ですので、著しく見劣りするものではありません。

また、仮にアウトレットが事実であったとしても、これは必ずしも悪い話だけではなく、「目利きであれば良い馬に安く出資するチャンスが与えられている」と考えることも出来ます。都合の良いことに、グリーンファームの募集馬は老舗クラブのように、募集と同時に即満口になってしまうことはなく、多くの馬は入厩の直前まで残口が残っています。2歳4~5月まで成長を見極めてから出資できることは、リスクをヘッジする上で、大いなるアドバンテージとなってきます。現実に、本日のマーメイドステークス(GⅢ)に勝利して重賞2勝目を上げたマキシマムドパリは、最後まで満口になりませんでした。誰でも見る目さえあれば、出資のチャンスは与えられていたことになります。

最後にもう一つ、グリーンファームに入会して良かった点として、会員さんが全体的にカツカツしていない点が挙げられます。口取りの申し込みも、他のクラブでは相当な倍率になると聞き及んでいますが、グリーンファームでは申し込んで7割方、口取りに当選します。スタッフの方曰く、グリーンの会員さんはドライな人が多く、勝ち目が無いとみると口取りにもあまり申し込まないらしいです。私の場合、府中&中山で愛馬が出走する場合は必ず、応援を兼ねて口取りにも申し込んでいるのですが、おかげさまで既に3回の口取りを経験することができました。ウェブサイトの更新が甘く、情報発信が少ないなど、不満の声を聴くこともままあるクラブですが、自分的にはこのマッタリ感が合っていると思っています。

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