GFナスノシベリウスの2022に出資

出資馬についての出資判断備忘録ですがナスノシベリウスの2022(コンサートツアー)について書き忘れていました。周回遅れにならない内に記録に残します。只、時間が経ちすぎてしまったので、出資時の感性とは多少の違いが出てしまうかもしれません。


■種牡馬
父は本仔が2世代目産駒となるレイデオロ。言わずと知れたダービー馬で、天皇賞・秋とホープフルSを含めたG1×3勝の成績を残しました、更に、オールカマー・神戸新聞杯の重賞を制し、ジャパンカップ・有馬記念でも2着の成績を収めており、現役時代の戦績は文句なしのトップクラスです。

問題は産駒の成績が伸び悩んでいることであり、特に牝馬の成績が壊滅的です。只、本仔の募集開始時点は初年度産駒のデビューが始まった頃であり、ここまでの厳しい状況は明らかになっていませんでした。

一方で現時点(2024/4)までの分析を見ると、馬格のあるレイデオロ産駒は一定の成績を残すことが明らかになってきています。言い換えれば、「レイデオロは小柄な産駒が多く、特に馬格の無い牝馬ほど成績の優れない結果になっている」と考えられます。具体的に、馬体重が460kg以上(出来れば480kg以上)で競馬が出来れば相応の成績を残していることから、本仔もそのレベルまで成長できるかがポイントになりそうです。

■牝系
本馬の最大の評価ポイントは牝系です。母ナスノシベリウスは米国から輸入された外国産馬で、降級を挟んで500万条件を2勝する成績を残しました。そして、何よりも輝くのが産駒の成績。初仔ナスノシンフォニーがホープフルS(G1)で5着の成績を残したことを皮切りに、本仔の6頭の兄姉は全て中央で勝ち上がりを決めています。特に半兄ハーツコンチェルトがダービー3着の結果を残したことは、その血統評価を高める結果になりました。

兄姉の成績からナスノシベリウスがXファクタ理論におけるダブルコピー牝馬に該当することは疑いなく、このレベルの母馬の産駒がグリーンFから募集されることは極めてレアな機会と認識する必要があります。

■配合

本仔の募集段階ではレイデオロ産駒の競争実績はまだ無く、配合評価をできる状況にはありませんでした。

■測尺

募集開始時点(8/3付)の測尺情報は以下の通り。

体高:154.0 胸囲:171.0 管囲:19.5 体重:398kg

誕生日が5月14日でかなり生まれが遅いのですが、それを差し引いても少々物足りない測尺値ではあります。

只、これについては姉アレグロモデラートの募集時測尺が

体高:154.0 胸囲:172.0 管囲:19.8cm 体重414kg

であり、そこから500kg弱まで成長したことを考えれば、必ずしも懸念するサイズ感でもありません。ナスノシベリウス産駒は2歳以降も成長を続ける傾向があることから、本仔についても480kg前後まで成長することは十分期待出来ました。

■駐立写真(参考

概ねスクェアな体型ですが、気持ちトモ幅が狭目であるところは気になります。一見してトモの肉付きに寂しい印象を受けますが、一方で胸前は立派に見えます。

兄姉と比較すると気持ち曲飛気味なので、キレる脚が使えることを期待したいところです。脚が長く距離適性は長い方が良いと思います。特に大きな鼻の穴が目立つので、高い心肺能力が期待されます。

■歩行動画(参考
曲飛傾向の分だけ踏み込みが深く、一方で蹴り出しも比較的最後まで延びています。可動域は広いと考えて良いでしょう。

歩行速度はキビキビと歩けており、外向・内向も見られません。筋肉は緩さを感じるものの、自分の評価する「プルルッ」に近い質感が現れています。また蹴り出すときの筋肉が絞れる感じも好印象です。

純粋に歩様だけを評価するなら半兄ソウルアンドジャズよりも好印象を受けました。

■誕生日と母年齢(参考1参考2参考3
本仔の出産時の母年齢は14歳で、参考1に示す通り、出生時母年齢としては成績の下降する年齢に達しています。一方で2代母の出産年齢は7歳であることから、母との平均年齢は10.5歳となり、参考2に示す通り、これは理想のレンジに入ります。母馬の年齢を2代母の年齢でカバー出来ることを期待します。

また、本仔の誕生日は5/14であり、参考3に示す通り好成績を残すレンジから外れています。只、ナスノシベリウスの産駒は総じて遅生まれで、アレグロモデラートもハーツコンチェルトも5月生まれです。本仔に関しても過度な懸念は無用と考えて良いと判断しました。

■生産と育成(参考
本仔はハシモト牧場の生産馬ですが、育成はエクワインレーシングに依託されます。これまでのナスノシベリウス産駒は全てノーザンFに育成が依頼されていたのに対し、本仔はノーザンFに預かってもらうことが出来ませんでした。その事由には諸説ある様ですが、何れにしてもノーザンF育成を外れたことは大きな減点材料と認識せざるを得ません。これが本仔の人気を落とした最大の理由だと思われます。
只、代わりの育成牧場としてエクワインレーシングが確保されたことは、コンテンジェンシープランとして文句無しであったと思います。

■厩舎(参考
預託先厩舎は美浦の武井厩舎。ナスノシベリウスの仔は全て武井厩舎に預託されており、厩舎を代表する牝系となっています。半兄ハーツコンチェルトがダービー3着の成果を残したことで、この関係はより強固になったと考えられます。何れにしても、牝系の特徴をよく理解されている厩舎に託されることは本仔にとってもメリットであることは疑いありませn。

武井厩舎は有力馬主の預託馬の引き上げがあったことで、一時的にリーディングの低迷が続きましたが、2023年度はリーディング19位を記録し、トップ厩舎の一角に入って来ました。個人的に重視する指標である、「クラブ馬勝ち上がり率=50%、クラブ馬回収率=118%」は、回収率がもう一歩の成績ですが、これも昨年よりも改善しています。

なお、2023年にシュトラウスが東京スポーツ杯(G2)を制したことで、「中央重賞の勝てない武井厩舎」のレッテルは、晴れて返上することが出来ました。

■価格
募集価格は4000万円。グリーンファームの募集馬としては相当な高額募集馬になります。1つ上のソウルアンドジャズと同額の募集ですが、牡馬のソウルアンドジャズに対して本仔は牝馬ですから、価格評価は本仔の方が高額と言うことになります。只、この価格アップは本仔の出来を反映した結果と言うよりは、ハーツコンチェルトの成績によってナスノシベリウス牝系の評価がアップした結果であると思います。

■テシオ理論
父ブリックスアンドモルタルの活性値は7、母父Unbridled’s Songの活性値も7で一致しますが、「活性値が同じ場合は世代の若い方を優位とする」の自分流解釈を用いて、優先祖先は父レイデオロ自身となり、本仔はレイデオロの特徴の出る産駒と想定されます。

一方、基礎体力値は54%ですが、自分は基礎体力値の考え方は無意味と考えていますので、判断に影響を与えるものではありません。

■余談
本仔は優良繁殖であるナスノシベリウスの産駒にも関わらず、現時点に至るまで満口になっていません。その事由は高い募集価格に対して、レイデオロ牝馬の壊滅的な成績、球節の故障による育成遅れ、などの懸念材料が発生したことにあると思います。

今となっては、「様子見が出来るのであればギリギリまで待つのが正解」と言えるのですが、募集時点では確実に残口が出るかの判断が出来ず、加えて兄ハーツコンチェルトの活躍もあったことから、見切り発車気味の出資判断に至りました。このギリギリのラインで我慢できるか否かがグリーンFの出資馬選定の最も難しいところだと思います。

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