誕生日・毛色と成績

前回は父の年齢と産駒の競争成績の関係を分析しましたが、今回は同じデータセット(現3~7歳馬の中央出走馬)を用いて、産駒の「誕生日と競争成績」「毛色と競争成績」の関係について考察します。

1.誕生日と競争成績

ここでは産駒の誕生日と競争成績の関係を調べるために、以下の分析を行いました。

・1月1日を0日として、誕生日を誕生日数で表す。
・誕生日数が0~30日、15日~45日、30日~60日の様に、30日間を15日ずつずらした誕生期間を設定する。
・各誕生期間について該当馬の平均収得賞金を求める。

本分析の対象となる誕生日は連続的なデータであることから、単に期間毎の平均を求めても、期間と期間の境界の扱いが難しくなる問題があり、かと言って単位期間を短くしてしまうとデータのバラツキが大きくなる問題が生じます。そこで、これら2つの問題を回避するため、単位期間を30日と長くすることでデータのバラツキを抑制し、加えて各期間をオーバーラップさせることで、境界で生じるデータのギャップの問題を回避します。

上記はその結果ですが、驚くほどの傾向性を確認することが出来ました。「誕生日の早い産駒ほど、競争成績が優れる」ことに、疑いの余地はありません。1月上旬と6月のサンプル数は少なく、信頼性に欠けますが、グラフの単調減少傾向の揺らぐことはないでしょう。特に、”1月~2月上旬に掛けての成績”は注目に値するものと考えます。

さらに、同様の調査を勝ち上がり率について実施した結果を以下に示します。

ここでも「誕生日が早いほど勝ち上がり率が高い」と言う、綺麗な傾向性を確認することが出来ました。本結果から、「1月生まれの平均収得賞金の高さは、少数頭が大活躍した結果では無い」ものと判断することが出来ます。

本結果から、1月生まれの勝ち上がり率が35%強に対して、5月生まれの勝ち上がり率が25%強で、その差は10ポイントにも及んでいることが判ります。1勝することの難しさを知る一口馬主にとって、この10ポイントが如何に大きな数字であるか、疑う余地は無いでしょう。

2.毛色と競争成績

続いて、同じデータセットを用いて、産駒の毛色と平均収得賞金の関係を調べた結果を示します。なお、白毛と栃栗毛についてはデータサンプルが著しく少ないことから、今回の分析からは除外しています。

まず、青毛の成績が著しく劣る点が目立ちますが、これはサンプル数が300頭弱と少なく、信頼性に欠けるものと考えて下さい。

最も成績の良い毛色は芦毛で、これもサンプル数は少ないのですが、それでも1300頭を超える該当馬の平均値であり、バラツキとして片づけるよりは「一定の傾向性は存在している」と考えるべきではないでしょうか。

反対に明らかに劣っているのが栗毛の成績です。5000頭を超える十分なサンプル数がありながら、鹿毛と比較して成績が約20%も見劣りする事実は無視の出来ないものがあります。

つづいて、父馬と母馬の毛色と産駒の毛色の関係が、産駒の競争成績にもたらす影響について調べました。上図で、”同父”は「父馬だけが産駒と同じ毛色である場合」を示し、”同母”は「母馬だけが同じ場合」、”同両”は「母と父の両方が産駒と同じ毛色の場合」、”違両”は「母と父の何れも産駒の毛色と違う場合」を各々示します。

本結果を見ると、母馬の毛色だけが一致する場合の成績が僅かに劣って見えますが、その偏差は約10%でしかなく、有為な差異として認めるには危険を感じます。

最後に、芦毛馬に限定して同様の調査した結果を示します。芦毛の馬については、遺伝子分析の結果から「母馬と父馬の少なくとも一方が芦毛の場合に誕生する」ことが判っています。

芦毛馬全体のサンプル数が少ないことから十分な信頼性があるとは言い難いのですが、それでも”同父”と”同母”の間の偏差は無視が出来ない様に感じます。サンプル数が500頭~600頭のデータですが、平均収得賞金に60%もの偏差が生じています。もし、この結果を真理として信じるのであれば、「芦毛馬への出資は、父が芦毛ではない場合に限る」と割り切ることが可能になります。

3.まとめ

最後に、今回示した結果から今後の出資馬選定の基準となり得るロジックをまとめます。

【誕生日】
・産駒の誕生日は早いほど良い。
・1月~2月上旬生まれの産駒には積極的に出資する。
・5月~6月生まれの産駒への出資は避けた方が無難。

【毛色】
・強いて毛色で選ぶなら芦毛の馬を選ぶと良い。
・栗毛の馬は避けた方が無難。
・母と父の毛色は基本的に無視して良い。
・父が芦毛以外の芦毛馬には積極的に出資する。

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