出資馬の確認:クーデンビーチの2018

「2019年グリーンファーム募集馬の中から取り敢えず年内に1頭は出資しておきたい」と考えて、クーデンビーチの2018への出資を行いました。以下、出資判断に至った根拠について、備忘録として書き残しておきます。


クーデンビーチの2018の出資判断

■プロフィール

父   :ヴィクトワールピサ
母父  :Peintre Celebre
性別  :牝馬
毛色  :鹿毛
FN  :2号族
誕生日 :2018/4/10
母年齢 :18歳
厩舎  :(美浦)伊藤大士厩舎
生産  :社台ファーム
募集総額:1400万円

■種牡馬
父ヴィクトワールピサはGⅠを3勝した活躍馬で、中でもドバイワールドカップを制したことでその名を馳せました。引退後は大きな期待をされて社台スタリオンにスタッドインし、初年度から桜花賞馬ジュエラーを輩出しましたが、その後は期待ほどの産駒を残すことが出来ず、2018年度からはブリーダーズスタリオンに繋養先を移すことになりました。本仔はその社台スタリオン在籍の最後の世代となります。

種牡馬としての人気の下降と共に受胎条件350万円でスタートした種付料も減額を続け、来年度は150万円になることが発表されています。只、不思議なもので繋養先の変更と前後して徐々に活躍馬が現れ始めています。2016年度産駒からはオークス4着のウィクトーリアやラジオNIKKEI賞を制したブレイキングドーンが現れており、その1つ上の世代には府中牝馬Sを制し、今年の有馬記念にも出走を果たしたスカーレットカラーが存在します。これらの活躍馬の誕生が配合のポイントが見いだされたことに拠るものであれば、ここから復権する可能性も十分に残されていると思われます。

■牝系
Joyfulから連なる牝系で、近親に愛1000ギニー(GⅠ)に勝利したサミターのいる血統です。母クーデンビーチ自身は然したる競争成績を残していませんが、産駒のShaweel(GB)は愛GⅠで2着の成績を残しています。その後、社台グループによって繁殖牝馬として輸入され、日本で種付けられた最初の仔がグリーンファームから募集されたサザナミ(父ディープインパクト)になります。サザナミは400Kg程度の小柄な馬格ながら、5勝を挙げてオープン馬にまで進む活躍をしています。本仔はその6つ下の半妹に当たりますが、その後の産駒に目立った活躍馬は現れていません。2つ上の全姉グレースベイも結局未勝利に終わっています。なお、本仔の出産時の母年齢は18歳であり、高齢出産に近い生産馬である点は懸念材料となります。

■血統/配合
父ヴィクトワールピサは目立った種牡馬成績を残せておらず、その配合上のポイントも明らかではありません。只、それでも幾つかの傾向性は見えてきており、その1つがジュエラー,ウィクトゥーリアの様に牝馬の成績が優れること。特に大物は牝馬に偏って現れています。また配合的にはMr.Prospector持ちの牝馬との相性が良いことも分かっています。但し、「Mr.Prospectorの血があればそれで良し」と言うほどのインパクトの無い点は辛いところです。さらに、「サンデー系牝馬との相性が悪い」ことも分かっており、ジュエラーを始めとして非サンデー系の輸入牝馬との相性に優れる傾向が見られます。以上、何れも単独では充分と言い難い傾向性なのですが、本仔はこの全ての条件を満たしている点がポイントになります。

配合的には全姉のグレースベイが未勝利に終わった点が不安材料となりますが、これは使われ方にも問題があった様に感じています。ヴィクトワールピサの産駒は圧倒的に芝の中距離に活躍馬が偏るのに対して、ダートの短距離でデビューをしています。これで結果が出ずに芝に変えて成績は向上しましたが、不運にも芝の4走中3走が重馬場の条件でした。唯一の芝の良馬場では先行して速い上がりが使えていたことから、条件さえ揃えば結果は違っていたかもしれません。

■馬体
本仔への出資を判断するにあたって、最も評価したのが馬体です。まず駐立写真を見て、肩とつなぎの角度が寝ていて動きに重苦しさの無い点に好感が持てました。トモには面積があり、幅のある半腱半膜様筋はスピード能力の高さを感じさせます。胸はそれなりに深く、前膝の付き方にも不安は感じません。唯一の懸念材料は募集時の管囲が19.3cmとい言う点ですが、これは競争時の馬体重が440Kg程度ならば問題にならないと判断しました。

次にマイブームとなっている歩様の定量化ですが、前肢角が50°ながら、後肢角は42°と可動域が広く、柔らかく動けている点が目を惹きます。肩角度44°と合わせてマハラノビスの距離を用いて指数化すると3.8となり、高スコアを記録しています。

ちなみに、体型的には(特にトモの形状など)半姉サザナミとはあまり似ておらず、比較して全姉グレースベイの方に似ている印象です。これはヴィクトワールピサの血が現れているのかもしれません。

■厩舎
本仔への出資を判断するにあたって、最大の懸念事項が預託先の伊藤大士厩舎です。美浦所属である点は個人的にプラス材料ですが、如何せん成績が低迷しています。今年もこれまで12勝に留まっており、リーディング100位内にすら入ることが出来ていません。勝ち上がり率19%と言うのは眩暈を覚えるレベルです。その割に、馬房あたりの頭数が3.4頭と平均よりも多く、外厩との往復を繰り返される姿が想像されてしまいます。また、弱小厩舎であるが故に、上位騎手の起用割合が低い点もマイナスです。

■その他(オカルト)
本仔の種付け時のヴィクトワールピサの種付け料は250万円で、プレミアム値を算出するとノーマルクラスとなりました。ここで、社台系生産馬のノーマルクラスは成績の冴えないクラスタであり、オカルトながらネガティブな材料となります。
一方で、ファミリーナンバーはグリーンファームとは好相性の2号族です。2012年産以降の募集馬で9頭中7頭が勝ち上がっており、この勝上率は脅威的と言えます。もちろんこちらもオカルトですが、前記と合わせてチャラにはなるかと思います。

■まとめ
最後に、本仔への出資の決め手となったのが育成状況です。社台ファーム育成馬では恐らくもっとも進んでいるグループで、順調に坂路17秒まで乗り進められています。ここまで頓挫と言える様なトラブルはなく、体質面の不安も感じません。母高齢出産のリスクは回避できたものと判断しています。恐らくデビュー時の馬体重は440Kgを切ってくると思われますが、管囲を考えればこれくらいが適当ですし、半姉サザナミと比べればそれでも十分な体重です。スピード能力にも片鱗を見せてくれていますので、残る問題は気性面のキツさでしょう。思い返すとサザナミにも気性的にキツイ面があって、これがレースでは良い方向に出ていたと思います。この辺り、本仔にも上手く引き継がれることを願っています。

今年の募集馬が発表されて以来、「元出資馬サザナミの妹」と言う血統背景から、可能な限り出資をしたいと考えていた本仔でしたが、客観的にも「出資に足る」と判断できたことから、今回の応募となりました。

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