馬体チェック用のツールが欲しい③

一口馬主DBにて会員向けに提供されている「馬体チェッカー」と同種の機能を有するアプリが欲しいので、自ら作ってしまおうと言うシリーズの3回目です。(前回はこちら。

既に半年ほど放置しているネタですが、実際は自分用のプロトタイプは完成しており、自らの必要性を満たしてしまったことで、そのまま放置モードに入ってしまいました..。😅

これに対し、コメント欄にてこんなツールにもリリースを期待掛けて下さる方が居られることが判りましたので、取り敢えず世に出しても赤面しないで済む程度にバグを潰したバージョンを公開することにしました。これは飽く迄もプロトタイプであって最終形ではありませんが、「馬体を計測する」と言う機能については、一定の機能は実現されていると自負しています。


下図が今回公開するツールのメイン画面です。(計測サンプルには日本競馬界の至宝ディープインパクトの写真をJBIS Search様より拝借しています。)

馬体チェック用ツール(HorseScale テスト版)

以下、使用方法を簡単に説明します。

1.ダウンロード

取り敢えず公開期間は未定ですが↓からダウンロード出来るようにしておきます。小さなプログラムなので特に圧縮はしていません。
ファイル(HorseScaleTest.exe)をダウンロードしたら、適当なフォルダに置いてそのまま実行して下さい。特にファイル類は生成しませんので、デスクトップにそのまま置いて貰っても問題ありません。

<<プログラム(HorseScaleTest.exe)のダウンロード>>

注)最近のWindowsはSmartScreenと言われる機能によって、フリーソフトの実行に対して警告をしてくる場合があります。「WindowsによってPCが保護されました」の画面が表示された場合は、[詳細情報]をクリックした後で[実行]をクリックすることで警告を回避することができます。

2.測定画像のセット

まず始めに、計測対象の馬の駐立写真をツールに取り込みます。これには2つの方法があります。

(1) 画像ファイルの読込

パソコン内に対象馬の画像ファイルが保存されている場合、これを読み込んで使用することが出来ます。画面左下部の[画像ファイル読込]ボタンを押下すると、ダイアログが表示されるので、読み込む画像ファイルを指定して下さい。なお、対応する画像ファイルのフォーマットはBMPまたはJPGの何れかとなります。

(2) 画像のペースト(おすすめ)

コピー&ペースト機能を使用して対象画像をツールに取り込むことが可能です。例えばクラブのウェブサイトで表示される募集馬の画像をマウスの右クリックからコピーしておき、この状態でツール左下部の[画像ペースト]ボタンを押下すると、コピーしておいた画像がツール上に表示されます。

3.測定部位の指定

測定の行うための22か所のポイントを、画像をクリックしながら指定して行きます。先ず、[部位の指定]のフレームの中のラジオボタンの1つを選択した状態で、駐立写真をクリックするとそこに黄色の点が表示されます。位置がずれてしまった場合は何度でもクリックして修正して下さい。

※ 画面上のグリッド線は位置の指定を容易にするための表示ですが、邪魔な場合は下部の[グリッド線の表示]のチェックを外して下さい。

以下、22か所の指定部位について順に説明します。

① き甲
首と背中の間の「き甲」部で、最も盛り上がっている位置を指定します。

② 肩端
肩の先端を指定します。肩端は判り難いことと、解説書によって微妙に説明が違うことがありますので、自分なりの基準を定めて測定することをお勧めします。

③ 蹄冠F,④ 蹄冠B
左前脚の「蹄」と「繋ぎ」の間の部位を指定します。このとき、前方を蹄冠F、後方を蹄冠Bとします。このとき、蹄冠Fと蹄冠Bの中点には自動的にポイントが設定されます。(以降もFとBの表示が現れますが、常にFが前側、Bが後側を意味します。)

⑤ 臀端
臀部の最後端の位置を指定します。

⑥ 前腰
腰部の最も前側の位置を指定します。

⑦ 胸下
き甲の位置から真下に下して腹部端と交わる位置を指定します。①と⑦を結ぶ直線が斜めにならない様に配慮します。

⑧ 唇端
唇の先端位置を指定します。

⑨ 項
耳の後ろ辺りの後頭部を指定します。

⑩ 腰骨
腰部の最も高い位置を指定します。

⑪ 脛F,⑫ 脛B
トモと脛の境界位置を指定します。前側を脛F、後側を脛Bとします。このとき、脛Fと脛Bの中点にも自動的にポイントが設定されます。

⑬ 飛節F,⑭ 飛節B
左後脚の飛節の屈曲点を指定します。前側の飛節F、後側を飛節Bとし、中点にも自動的にポイントが設定されます。

⑮ 後球節F,⑯ 後球節B
左後脚の球節部を指定します。前側を後球節F、後側を後球節Bとし、中間にも自動的にポイントが設定されます

⑰ 肘端F,⑱ 肘端B
左前腕の肘端部を指定します。前側を肘端F、後側を肘端Bとし、その中点には自動的にポイントが設定されます。
設定する際は、先に胴体との境目が見分け易い肘端Bの位置を指定し、肘端Fは肘端Bから水平方向左側に移動して腕と胴体の境界を見つけるのがお勧めです。肘端Fと肘端Bを水平の位置関係に並べるのがコツです。

⑲ 前膝F,⑳ 前膝B
左前肢の膝部分を指定します。前側を前膝F、後側を前膝Bとし、その中点には自動的にポイントが設定されます。
設定する際は、関節部の見分け易い前膝Fの位置を先に指定し、そこから水平方向右側に移動して、脚の境界を前膝Bとして指定します。前膝Fと前膝Bが水平の位置関係になる様に設定するのがコツです。膝の位置は「弓脚」の判定に大きく影響を与えますので、注意して設定する様にして下さい。

㉑ 前球節F,㉒ 前球節B
左前肢の球節部を指定します。前側を前球節F、後側を前球節Bとし、その中点には自動的にポイントが設定されます。
設定時に留意することは両者の中点が球節の中央に配置されることです。コツとしては、前球節Fは前側の管と繋ぎが形成する「逆くの字」部の屈曲点を指定し、前球節Bには後ろ側の管と繋ぎが形成する「逆くの字」部の屈曲点を指定することです。前球節の位置も「弓脚」と「繋ぎの角度」の検出に大きく影響しますので、慎重に位置設定を行って下さい。

4.計測の実行

①~㉒の全ての測定部位の指定が完了したら、画面右部の[測定]ボタンを押下します。このとき、各部の計測結果が表示されます。以下、計測項目の意味を説明します。

(1) 胴/体高
胴体と体高の比率です。画面に表示される最も大きな赤色の矩形の横と縦の長さの割合を示すもので、この値が大きいほど胴長と判断できます。一般的に競走馬はこの縦横比が100%であると言われていますが、本ツールの測定方法を用いた場合は105%辺りが平均値になる様です。110%を超える様ならば、明らかに胴長傾向と考えて良いでしょう。

(2) 肩の角度
①き甲と②肩端を結んだ直線が、水平線に対して成す角度を示します。本角度が小さいほど肩が寝て、前肢の可動域が広くなり易く、逆に大きくなるほど、前肢の動きに重苦しさが生じることになります。
ここで、「肩の角度」は②肩端の決め方で値がばらつくことから、自分流の肩端の決定方法を確立した上で多数の馬を実際に測定して、横の比較から評価基準としての角度を定めるのが良いと思います。

(3) 胸幅/胴,背中/胴,腰幅/胴
胴体を胸、背中、腰の3つに分割した際の、各々の胴体に対する割合を示します。従って、この3つの値を合算すると100%となります。この3部位の値が均等のとき「バランスの良い馬体」と言われることが多い様です。只、この測定方法も①き甲と⑥前腰の指定方法で数値がブレますので、(2)肩の角度と同様に、自分流の測定部位の決め方を確立した上で、評価基準を定めることをお勧めします。

(4) 胸深/胴
胴体の長さに対する胸の深さの比率を示します。胴体部を囲う赤色の矩形の縦横比と考えて下さい。この値が大きいほど、横に対して高さのある胴体となります。自分の経験的には、45%前後が平均的な値になるようです。

(5) 脚長/体高
体高に対して占める脚の長さの割合を示します。平均的にこの値は50%を示す様なので、これが50%より大きくなれば脚が長く、50%を切る場合は短足と見なすことが出来ます。

(6) 首/胴
胴体の長さと首の長さの比率を示します。この値が50%程度の時にバランスの良い馬体と言われることが多く、50%を切ると「首が短い」と評価できます。

(7) 顔/首
首の長さに対する顔の長さの割合を示します。この値が大きいほど、顔がデカいと考えることが出来ます。経験的に70%前後が平均値なので、これを著しく超える場合はケアすべきかもしれません。

(8) 腰高
①き甲と⑩腰骨を結ぶ直線が水平線と成す角度を示します。この角度が大きいほど、き甲がまだ抜けておらず、今後の成長余地があると考えられます。

(9) トモ/胴体
胴体の面積に対するトモの面積の比率を示します。基本的に(3)の腰幅/胴と同様の値となるのですが、著しく腰高の場合や トモが深い場合は値が乖離することになります。自分の経験的には、40%を超える馬はトモが明らかに大きく見えます。

(10) 脛幅/脛長
脛の太さを測るために導入した指標です。この値が大きいほど、太い脛と考えることが出来ます。経験的に45%を下回る辺りが平均値であり、48%を超えれば特に立派な脛と評価しています。

(11) 飛節の角度
後脚の脛部と管部がなす角度を示します。経験的に157°前後が平均値であり、この値が大きくなるほど直飛、小さくなるほど曲飛と考えることが出来ます。

(12) 管/前腕
前脚の管の長さと前腕の長さの比率を示します。この値が大きくなるほど管が長いことになり、故障のリスクが高まります。経験的に50%前後であれば安全ではないかと思います。

(13) 管と繋ぎの角度
前脚の管部と繋ぎ部が成す角度(要するに繋ぎの角度)を示します。この値が大きいほど繋ぎが立っている、反対に小さいほど繋ぎが寝ていると言うことが出来ます。経験的に135°~140°が平均レベルで、これより小さければ「繋ぎが寝ている」、大きければ「立っている」と考えて良いかと思います。本例のディープインパクトの繋ぎは「立ち気味」と判断することが出来ます。

(14) 前腕と管の角度
前腕部と管部の成す角度を表す値であり、「くの字」の場合はプラスの値、「逆くの字」の場合はマイナスの値を取ることになります。即ち、この値がマイナスの場合は「弓足」が懸念されますので、極めて重要な値となります。自分の場合、この値がマイナスでしたら、対象馬を出資候補から迷わず外します。ちなみに、弓足で知られるドリームバレンチノの馬体を本ツールで計測すると、この値が明らかなマイナス値となりました。

5.まとめ

途中でも何度か触れましたが、本ツールを使うに当たっては自分流の部位の指定基準を確立しておくことが大切です。これがブレてしまうと、横の比較が出来なくなってしまいます。基準を決めたら、多数の名馬を言われる馬の計測を試してみて、何が重要な値なのか自分流に見極めることが、本ツールの有用な使い方であると思います。ちなみに、自分が特に重視しているのは(2)肩の角度、(10)脛幅/脛長、(14) 前腕と管の角度の3項目です。

なお、メイン画面の馬名、馬齢、コメントの各欄は記入した情報を合わせて保存することを考えていましたが、本バージョンでは保存機能自体が未実装です。


取り敢えず、本ツールは今回のバージョンを持ってプロトタイプとしては完了とします。「計測する」と言う観点においては一定の機能は確保したと考えていますが、利便性を考えるとアプリケーションプログラムとしてのレベルはまだまだ稚拙です。

今後の予定としては、一旦リファクタリングをした後、正規版として作り直したいと考えていますが、その際に保存機能の実装は最優先事項であると考えています。

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