2020年度社台スタリオン種付料

2020年度の社台スタリオンの種付料が発表されました。ロードカナロアの種付料が2000万円に達したことに衆目が集まっていますが、ここでは種付料の増加率順にソートしてみます。(新種牡馬は除外しています。)

2019年 2020年 増減額 増減率
リアルインパクト 80 200 120 150%
エピファネイア 250 500 250 100%
キズナ 350 600 250 71%
ルーラーシップ 400 600 200 50%
サトノクラウン 100 150 50 50%
ロードカナロア 1500 2000 500 33%
ハーツクライ 800 1000 200 25%
リアルスティール 200 250 50 25%
キンシャサノキセキ 200 250 50 25%
ダイワメジャー 500 600 100 20%
ドゥラメンテ 600 700 100 17%
ハービンジャー 600 600 0 0%
キタサンブラック 400 400 0 0%
モーリス 400 400 0 0%
ジャスタウェイ 400 400 0 0%
サトノダイヤモンド 300 300 0 0%
ドレフォン 300 300 0 0%
マインドユアビスケッツ 200 200 0 0%
イスラボニータ 150 150 0 0%
ミッキーアイル 150 150 0 0%
サトノアラジン 100 100 0 0%
レッドファルクス 80 80 0 0%
ロゴタイプ 80 80 0 0%
オルフェーヴル 400 300 -100 -25%
ノヴェリスト 200 150 -50 -25%
リーチザクラウン 80 50 -30 -38%
合計 8820 10510 1690 19%

先ず全体を見ての感想ですが、一見して値上げされた種牡馬が目立ちます。産駒が見出走の種牡馬については基本的に据え置きされるのが普通として、その他の実績馬は総じて価格がアップしています。ダイワメジャーやキンシャサノキセキの様な種牡馬が今更25%も値上げされたのは奇異な感じを受けますし、平均値で+19%のアップと言うのは、一般の商品であったら尋常ではないレベルの値上率です。

この値上げの要因として容易に想像されるのが、ディープインパクトとキングカメハメハの2トップの急逝です。社台スタリオンとして、「従来の売上高をキープするためには、残る種牡馬の種付料を値上げすることが手っ取り早い」と考えた可能性があります。但し、それが目論見通りに運ぶには値上げに関わらず種付数が維持されなければなりません。

社台スタリオンの懐事情だけで成績向上の無い種牡馬の種付料が値上げされてしまったら、それで前年通りの牝馬が集まってくれる程、生産界は甘くないと思います。その他のスタリオンが価格据え置きであれば、当然、コストメリットのある種牡馬に流れる牧場が現れるでしょう。そう言う観点で、「来春からカリフォルニアクロームがアロースタッドで繫養される」と言うビックニュースや、ダーレージャパンが着実に種牡馬を増強していると言う情報を見ていると、「奢れる社台も久しからず」と言う状況だって無きにしも非ずでしょう。

続いて、個別の種牡馬について気になった点を触れて行きます。まず、今年産駒がデビューしたリアルインパクト、エピファネイア、キズナの3頭が大幅に種付料をアップさせました。これら3頭については産駒の成績を伴った値上げであり、納得できる内容です。特にキズナとエピファネイア産駒への出資を検討しているなら、ロードカナロアの様に高騰する前に決断すべきかもしれません。2019年度グリーンファーム募集馬で言えば、「オールドパサデナの2019」に再評価の余地がありそうです。

つぎに、産駒が未出走の種牡馬の中で種付料が値上げされたのが、サトノクラウン・リアルスティール・ドゥラメンテの3頭です。特にドゥラメンテは400万円からスタートして毎年値上げを繰り返し、産駒デビュー前に700万円にも達してしまいました。同期のモーリスが400万円で据え置きであることに比べると、明らかに産駒の出来の良いことが伺えます。先と同様に考えれば、2019年度グリーンファーム募集馬の「アースサウンドの2019」について、改めて評価すべきかもしれません。

最後に値下げ組はオルフェーヴル・ノヴェリスト・リーチザクラウンの3頭でした。全体に値上げされた中での値下げですから、社台スタリオンの中で相当評価を下げていることが伺え知れます。特にノヴェリストは、本国に送還されることになっても全く不思議の無いレベルでしょう。
一方、オルフェーヴルについては値下げされたとは言え300万円をキープしていますので、早々に社台スタリオンを去ることはないと思います。オルフェーヴルに関しては2019年の種付数が52頭にまで急減していますが、ここに来て配合上のツボが明らかになって来ましたので、ハービンジャーの様な復権も十分にあり得ると思っています。種付料が300万円まで下がれば、一流半の牝馬への配合も可能になりますし、その様な組み合わせの中から大物が出て来るのがステイゴールドの血ではないかと思ったりします。個人的に、来年以降のオルフェーヴル産駒には要注目と思っています。言い換えれば、価格のこなれない現在のオルフェーヴル産駒の募集馬への出資は性急と考えています。

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