UMACAについて考えてみた②

UMACAについて検討するシリーズの2回目です。(前回はこちら。
今回はUMACAに対するユーザー側のメリットとデメリットについて考えてみます。


■ユーザー側のメリット

1.WIN5と海外競馬へ投票

取り敢えず、JRA側がユーザー側メリットとして宣伝しているのがこの部分です。従来、WIN5と海外競馬に投票をするためには、IPAT経由で投票を行うよりありませんでしたが、UMACA経由でもこれが可能になります。

2.UMACAシートの利用

指定席にUMACAによる投票端末を設置したUMACAシートを使用することが出来ます。東京競馬場での料金は4000円で、S指定席の3000円よりも1000円高い設定ですが、1人掛けのシートでサイズが通常の2倍あるので、隣に他人が座るのが嫌で2人分指定席を確保する人にも魅力的なシートになります。

3.払い戻し忘れの防止

UMACAで投票した馬券は自動的に払戻金がチャージされますので、「財布に馬券を入れ忘れたまま3ヶ月経過して払い戻せない」と言った様な悲しい事態が防げます。(自分は最近これをやらかしました。😱)

なお、UMACAは最終利用時点から5年間の利用が無いと失効します。即ち、出金しないまま5年間放置すると引き出し不可能になりますので、その点の注意は必要です。

4.販促品のゲット

今、UMACAを作成すると漏れなく“伸縮機能の付いたストラップ式のカード入れ”が貰えます。競馬場以外でこのカード入れを使うのは恥ずかしいものがありますが、競馬場内ではかなり有用なアイテムです。むしろ、UMACAはこの様なカード入れと併せて使うのが標準とも言えます。
また、期間限定で色々なグッズがもらえる抽選も実施されていましたが、自分は外れてしまったので、何が貰えるのかわかりません..。😢

あとは、大昔のテレカ(何時の話だ..)やSUICAは初版の価値が上がった様に、「初版のUMACAカードも将来的に希少価値が出る」かもしれません。ちなみに、現在のUMACAカードの券面デザインは3種類用意されており、今後は名馬の写真がデザインされた様な発行されると予想していますが、そのときはそのときで新たにカードを作れば良いだけなので、今の時点で様子見する必要はありません。

6.UMACAマイクーポン

詳細は明らかにされていませんが、“UMACAマイクーポンと言うポイントプログラムの一種”が提供される模様です。現時点で、カード番号と生年月日を用いて専用サイトにログインすることが可能で、そこには”マイクーポン”の他に”マイスタンプ”と言ったコーナーが設けられています。今後はUMACAの利用状況に応じて、なんらかのRewardが貰える仕組みになると思われます。

7.来場者ポイントの獲得

競馬場の来場者ポイントを溜めるにはSUICAなどのNFCチップを内蔵したカードを専用機器にタッチする必要がありましたが、UMACAカードもNFCチップ内臓なので、これを来場者ポイントの獲得に使用することが出来ます。

8.課税対策

自分の考えるユーザー側最大のメリットがこの課税対策です。UMACAの大きな特徴の一つが年齢を証明するだけで発行が可能なことであり、個人情報を求めていない点にあります。これが銀行口座と紐づくことで個人が特定されてしまうIPAT口座とは大きく性質を異にする点です。馬券裁判で有名な卍氏が国税に収入を把握された原因がIPAT口座であったことは疑いありませんが、個人情報と紐づかないUMACA経由の投票であれば、国税は収入を把握することが出来ません。

幾つかの馬券裁判で争われ、最高裁も問題点を指摘している様に、現状の払戻金に関する一時所得と雑所得の判断は不明確であり、明らかに公平性を欠くものとなっています。見方に依れば2重課税でもありますし、税は支払い能力のあるところに発生すると言う原則にも反しています。
「払戻金を一時所得とし、ハズレ馬券は必要経費として控除しない」と言うこれまでの国税の主張を杓子定規に適用したら、競馬と言う娯楽そのものが成り立ちません。JRAとしても国税のこの様な時代遅れで頑迷な主張には大いに不満がある筈ですが、それに真っ向から逆らうことも出来ないため、この様なUMACAのシステムの導入に至ったのではないかと想像しています。

UMACAの導入を課税強化の一端と考えている方も居るようですが、自分の考えはその真逆です。UMACAこそJRAが競馬ファンのために提供した、頑迷な国税に対抗する手段だと思います。恣意的な課税制度に対抗し、「安心して馬券を買うことが出来る様になること」こそが、UMACAから得られるユーザー側最大のメリットであると考えます。

■ユーザー側のデメリット

UMACAはユーザー側から見ても不満の少ないシステムだと思いますが、それでも幾つかのデメリットが認められます。

1.物理的に馬券が手に入らない

UMACAによる馬券の購入は電子的に決済され、従来の馬券を手にすることが出来ません。その代わりとしてペラペラのレシートがジャーナルプリントされるのみです。

一方で、記念馬券を欲しいと思うユーザーは確実に居て、自分も愛馬が出走したレースの馬券は記念に残しています。記念品としての馬券が欲しい場合、ユーザーは従来通りの券売機で馬券を購入しなければなりません。

2.入金はそのまま出金できない

前回説明した通り、UMACAでは一度入金した金額を直ぐに出金することが出来ず、払戻金のみ出金が出来る仕様となっています。

そして、この仕様の主たる目的はマネーロンダリング対策と考えられます。現状ではUMACAは現金による入金と出金しか出来ませんので、マネーロンダリングに使用する余地は無いのですが、将来的にクレジットカードや銀行振り込みによる入金が可能になったら、資金洗浄に使用される可能性が生じて来ます。次回説明する予定ですが、「将来的にUMACAは現金以外の入金手段を用意する」と自分は考えており、その為の事前対策として、この様な仕組みを設けているものと想像します。

3.購入した馬券は変更できない

UMACA軽油で一旦購入した馬券は、購入直後であっても変更やキャンセルをすることが出来ない旨、UMACA発行時に念押しされます。これまでは馬券を買い間違えたとき、直後であれば係員を呼び出して、間違えて購入した旨を伝えると買い直すことが出来たのですが、この様な融通がUMACAでは利かなくなります。この手の買い間違いを防止する意味も含めて、JRAとしてはスマッピーの使用を推奨して行くものと思います。


今回はここまでとして、次回はUMACAに対する改善案と、その先に見える未来について考える予定です。

《次回に続く》

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