今年グリーンFから募集して欲しい仔馬 ⑩

今年グリーンファームから募集されることを切に願う、クラブ所縁の仔馬をリストアップするシリーズの10回目です。(一覧はこちら
異なる種牡馬で全10頭を目標にスタートしたこのシリーズでしたが、なんとか最終回まで漕ぎ着けました。この辺りまで来ると飛び抜けた仔馬がいなくなったこともあり、最後の1頭の選択にはメチャメチャ悩んだのですが、最後はグリーンファームらしい低価格帯での募集を想定した仔馬を選びました。選んだ後で改めて見ると、かなりのコストパフォーマンスを出してくれそうな予感がします。


No10.マルカフローリアンの2017

1.基本情報(netkeiba.com参照

父  :タートルボウル
母父 :サンデーサイレンス
性別 :牡馬
毛色 :鹿毛
FN :4号族
誕生日:2017/04/20
生産 :社台ファーム

本仔はグリーンファーム現3歳馬のフロリアヌスの半弟にあたります。フロリアヌスは牡馬でありながら800万円と言う極めて低価格で募集されましたが、芝で惜しい競馬を繰り返した後、ダートに転じて勝ち上がることに成功しました。続く500万条件でも戦える能力を示しており、超低安価な募集価格以上の競争能力を示しています。

父タートルボウルはアイルランドからの輸入種牡馬で、現役時代はシャンブラ賞(仏GⅠ)に優勝しています。但し、それ以外は然して目立った成績を残していないのもまた事実です。種牡馬入りした後は、海外で2頭の仏GⅠ馬を出しており、その後、社台スタリオンによって輸入されました。際立った成績の無いタートルボウルを社台スタリオンが輸入に踏み切った根拠は良く判りませんが、サンデーサイレンスの血を薄める目的があったことは疑いありません。種付け料は当初250万円からスタートしましたが、その後は年々価格を切り下げており、2017年度は100万円まで下がる状況となりました。
一方で種付け数は、初年度の116頭の後は100頭を割り込む状況が続きましたが、産駒がデビューした2016年には種付け料の引き下げも含めて100頭まで回復しました。しかし、2017年の種付けシーズンに入り、33頭目の種付けを終えた所で心不全を発症し、15歳で急逝する結果となりました。
タートルボウルの産駒は晩成の傾向が見られ、デビュー時点で不振と思われた成績も徐々に向上して来ています。今年に入って初年度産駒のトリオンフが小倉大賞典(GⅢ)で初の重賞制覇を果たしましたが、その報が父に届くことは残念ながらありませんでした。

2.牝系情報

Yeatsinaから連なる牝系です。重賞を勝つ様な際立った成績を残す産駒こそ出ていませんが、平均的な勝ち上がり率の高い牝系です。その中にあって、母マルカフローアンは平地成績こそ1000万条件止まりでしたが、比較的早い時期から頭角を現しており、オークスと秋華賞への出走を果たしています。また、最終的には障害戦に転じており、ここでも1勝を上げる結果を残しています。平地では芝の中距離がメインでしたが、障害を走れたことを考えれば、ダート適性もあったと考えられます。

また、マルカフローリアンの産駒についても、500万条件止まりが多いながらも勝ち上がり率は高く、これまでにデビューした7頭中の5頭が未勝利を勝ち上がることに成功しています。半兄のフロリアヌスはまだ未勝利を勝ち上がったばかりですが、500万条件でも戦える目途は見せており、なんとか兄姉の成績を超えて欲しい所です。
また、母が芝とダートの両方に適性を示した様に、その産駒もオールマイティであり、距離もマイルから中距離まで幅広い適性を示しています。なお産駒の成績は、牝馬よりも牡馬の方に優れる傾向があります。

なお、母マルカフローリアンについては、昨秋のJS繁殖馬セールにてビックレットファームに売却されてしまいました。従って、グリーンファームから募集が掛かる可能性があるのは本仔が最後となります。

3.血統配合

タートルボウルの配合上のポイントは産駒数が少なく明らかになっていませんが、賞金ランク上位2頭のトリオンフとビックリシタナモーの共通点として、「母がサンデーサイレンス系で、Nijinskyを持っていること」が挙げられます。そして、本仔はこの2つの条件を共に満たしています。特にビックリシタナモーとは母父がサンデーサイレンスで同じであり、非常に近い血統構成になっていますので、この点からも、本仔の血統配合は不安のないものと考えることが出来ます。
また、本仔のクロスの状態は5代アウトブリードとなります。ここで、「タートルボウルの5代アウトブリードの産駒は、クロスを有する産駒と比べて勝ち上がり率が30%高い」と言うデータがあり、本配合を後押しするポイントの一つとなります。

さらに、タートルボウル産駒の成績は牡馬が優勢であり、牝系も牡馬が優勢であることも併せて、牡馬に出た本仔馬の価値は高くなります。

4.予想価格(予測モデルは本稿を参照

1400万円(基本:1000万,牡牝補正:+200万,父補正:+100万,母補正:+100万,兄姉補正:±0万)

5.おわりに

計算した結果、予想価格は1400万円と出ましたが、タートルボウルの不人気と、フロリアヌスが800万円と言う格安で募集されたことを併せ考えると、本仔の募集価格がアップする要素はないと考えられます。牡馬であることを考慮しても上限は1200万円と想定され、800万円の格安で続けて募集される可能性も充分にあると思います。

特に、「社台グループから売却された母馬の仔が、安価で募集される」のは、最近のグリーンファーム募集馬の1つのパターン(スウィートグロリア,カドリーユ,レコルダーレ..etc)となっています。その点で、昨秋の繁殖馬セールで母マルカフローリアンが売却された事実は、「本仔がグリーンファームから募集される可能性を増す結果になった」と考えることが出来ると思います。

ここは是非とも、グリーンファーム伝統の800万円シリーズ(何気に走る馬が多い)として募集されることを期待したいと思います。

【補足】
グリーンファーム所縁の仔馬の中で今年募集される可能性のあるタートルボウル産駒としては、本仔の他にも、ジュエルオブナイルの17・ミラクルロンドの17などが見つかります。しかし、牡馬であることと血統構成から、総合的に本仔の評価を最上位としました。

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