DMMファイナルドリームの2022に出資

2022年産馬の先陣を切って、DMM募集のファイナルドリームの2022への出資が確定しました。厳密には当歳でウァラネージュの2022に出資をしているのですが、こちらは白毛馬と言うスペックのみで出資を決めたもので、詳細な評価の下で決断した出資馬としては、このファイナルドリームの2022が一番手と言うことになります。以下、その判断にあたって検討した内容を備忘録として書き残します。


■種牡馬
父ナダルは本仔の世代が初年度産駒となる新種牡馬で、現役時代には4戦無敗でアーカンソーダービー(ダート1800)を制しています。本来であれば米国3冠クラッシックを目指す期待馬でしたが、コロナ禍によるスケジュールの変更でローテーションが大幅に変更。その過程の追い切りの中で骨折を起こしてしまい、ビッグタイトルを手にしないまま引退を余儀なくされ、日本にて種牡馬生活を送ることになりました。余りにも悲運な背景を持った種牡馬ですが、4戦無敗の生涯成績には、底の見えない未知の魅力を感じずにはいられません。

種牡馬ナダルの駐立写真みると、如何にもダート馬である筋肉量に目を奪われるのですが、その歩様を見ると、想像以上に柔ららかい動きに驚かされます。そして、この特徴は本仔ファイナルドリームの2022にも受け継がれています。

基本的に、ナダルはダート系種牡馬と考えるのが自然ですが、この柔らかな動きを見ると芝に対応する産駒が出ても全く不思議は感じません。

また、ナダル自身が1400~1800に勝鞍がある様に、スピード能力にも秀でています。以下はナダル自身の2歳トレーニングセール時の映像ですが、このスピード感には驚愕すら覚えます。

■牝系
母ファイナルドリームはDMMから総額2億1780万円で高額募集された超大型の期待馬でした。その魅力の源泉は14戦無敗の父Frankelにあったワケですが、残念ながらその父の能力は仔に開花することはありませんでした。ファイナルドリームの競争成績は4戦して全て2桁着順の大敗。芝でもダートでも目が出ることはありませんでした。

この母の大不振が本仔の人気を下げていることは疑いありません。ファイナルドリームの募集~引退までの時期、自分はDMMに加入しておらず、その具体的なプロセスは見ていないのですが、問題点として容易に想像できることは、極端な父母間クロスの存在です。ディンヒルの3×2と言う極端な近親配合は当たり外れの大きな博打と断ぜざるを得ませんし、それがディンヒルのクロスであれば尚更です。これについては、「真っ当な気性に出てくる可能性は低い」と考える方が常識的でしょう。

一方でファイナルドリームの牝系自体は筋の通った優良牝系です。特にファイナルドリームの母Steel Princess、祖母Champakaは優良繁殖と考えて間違いないでしょう。これらの母系がXファクタ理論で言う所のダブルコピー牝馬であるとすれば、Frankelを父に持つファイナルドリーム自身もダブルコピー牝馬である可能性が高いことになります。「Steel Princessの能力が隔世遺伝的に本仔ファイナルドリームの2022に顕在化する可能性」は期待しておかしな話ではありません。

■配合
牝系の項で示した通り、母ファイナルドリームの問題点がディンヒルの濃いクロスにあったとしても、その産駒への影響は大幅に軽減されます。父ナダル自身はMr.Prospectorの薄いクロスのみを有する一方で、ファイナルドリームはMr.Prospectorの血を有していません。結果、ファイナルドリームの2022が有する父母間クロスは、Danzigの5×4、His Majestyの5×5、Nijinskyの5×5の3本であり、本数こそ多めですが忌避するほど濃いものではありません。

■測尺(参考
7/21~7/31の測尺情報は以下の通り。

体高:155.0 胸囲:175.0 管囲:20.5 体重:440kg

もう少し胸囲が大きいと加点材料になりましたが、全ての測尺値は個人的な出資判断基準をクリアしています。更に、一口馬主DBでデビュー時予測体重を調べると480kgと算出され、これは自分が牝馬の馬体重に求める理想値です。

■駐立写真(参考

一見して目立つのが脚の長さです。脚が長いことで、現時点のフレームは概ねスクェアですが、ここからの成長分で胴が伸びて来ることを考慮すると、良い感じの中距離適性に成長すると予想しています。さらに、中距離に対応すると言う点では、肩が寝気味である点もプラス材料になります。

また、個人的に重視しているトモの作りについては、中殿筋の部分に張り出しの見られる点を高く評価しています。背中が短い分だけトモ幅が広く、中殿筋を鍛えるスペースも十分に認められます。

唯一、気になったのは前膝の位置で、湾膝とは思いませんが、あまり余裕もありません。

■歩行動画(参考
参考ページに記した通り、歩行動画で自分の重視するポイントの1つが、関節の可動域であり1完歩の大きさです。以下は、本仔の後肢の可動域を測定したものです。

本仔は若干の曲飛傾向のため、後肢の蹴りは最後まで伸び切ることが出来ていません。その代わり、曲飛の分だけ踏み込みは深くなっています。また、前肢は柔らかく前に出ており、トータル評価で「及第点の可動域」と判断しました。

歩行動画の評価において、自分の重視するもう1つのポイントが参考ページに記した筋肉の質感です。これに関しては感覚的な表現が避けられないのですが、本仔については自分の重視しているトモの「プルルッ」が確認出来ます。これが本仔を特に評価したポイントでもあります。

■誕生日と母年齢(参考1参考2参考3
本仔の出産時の母年齢は6歳で、参考1に示す通り、高成績の期待できる出産年齢に該当します。また、2代母の出産年齢は15歳であることから、母との平均年齢は10.5歳となり、参考2に示す通り、これもギリギリですが好成績の期待出来る条件を満たしています。

一方で、本仔の誕生日は3/30なので、参考3に示す通り、誕生日としては平均的で可もなく不可もありません。

■生産と育成(参考
本仔の生産は辻牧場で、育成牧場はファンタストクラブ・木村牧場が予定されています。DMMの募集馬としては実績のある組み合わせですが、ノーザンF/社台Fの育成と比較すれば見劣り感は否めません。

一方で今回募集の注目ポイントであるのが、予定外厩としてチャンピオンヒルズが明示されている点です。本仔は美浦・国枝厩舎への預託が決まっていることから、関西を拠点とするチャンピオンヒルズを外厩に使用することは考え難いのですが、複数個所に同様の明示がされていることから、記載ミスと言うことでは無い筈です。

最近では美浦・堀厩舎が東の天栄ではなく、西のしがらきを使用することが知られており、今後は美浦の厩舎が優れた関西の外厩を利用することも普通の選択肢になるのかもしれません。

一方で、もう1つの可能性として考えられるのが、育成環境を年内にもファンタスト・木村牧場からチャンピオンヒルズに移してしまうことです。このパターンはDMM募集馬でもグランデスフィーダやミスティックロアが実施して成功を収めていることから、DMMの常用策となるのかもしれません。

■厩舎(参考
預託先厩舎は美浦・国枝厩舎になりました。母と半姉は池江厩舎への預託でしたので、ここでの変更は裏を勘繰りたくなる興味深さを感じます。もちろん、池江厩舎も国枝厩舎も日本のトップ厩舎であることに変わりなく、預託先としては文句の付けようもありません。

只、国枝厩舎で注意すべき点は国枝師の引退時期の問題です。国枝師は2024年の2月を以て定年が予定された筈ですから、本仔を管理できるのは3歳2月までとなります。国枝厩舎からの転厩先が半端な所になる筈はありませんが、それでも2歳の間に勝ち上がりを決めてしまいたいところです。

この様に、国枝厩舎への預託には一定のリスクが伴うワケですが、個人的には国枝厩舎への預託を知ったことで、本仔への評価を一段階引き上げた経緯があります。その1つは「国枝師が引き受けるだけのポテンシャルが本仔にはある」と判断出来たこと。そしてもう1つが「本仔には芝適性が想定される」ことです。国枝師は得意条件が「芝>>ダート」であることから、「国枝師が引き受けた以上は芝適性が認められる」と考えた次第です。

■価格
募集総額は2400万円で、DMM募集馬の中では格安の部類に入ります。これはセール購入馬や庭先取引馬の市場価格が昨今の競馬ブームで高騰するなかで、自家生産馬の本仔はプレミアムの付かない価格で提供できたことによるものと考えられます。本仔の生産年度のナダルの種付料は400万円でしたので、差額2000万円で2歳までの生産を担うことは十分に可能であったと思われます。

募集価格2400万円であれば、2勝クラスの勝ち負けで回収レベルに達しますから、本仔の目標レベルとしては現実的なターゲットになり得ると判断しました。

■テシオ理論
オカルトであることを前提で、テシオ理論を適用すると、本仔は父ナダルの劣勢期産駒であり、優先祖先は母系の4代父Caerleonになります。Caerleonの脚質は芝の中長距離であり、本仔の適性もこれに準じて貰えれば言うこと無しです。

■余談
価格の項でも触れましたが、「今年のDMMの募集馬は馬質に対して募集価格が高くなり過ぎた」様に感じています。これは一重にセレクトセールの落札額が高騰を続けていることが原因ですが、一口馬主を持続的な趣味とするためには、回収を無視した出資は控えざるを得ません。そして、その様な状況下にあって、本仔ファイナルドリームの2022は回収の見込める数少ない募集馬であると判断した次第です。

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