競馬の数学(3)

競馬に関わる数学的な要素について考えた結果を、備忘録の代わりに書き残して行くシリーズです。(一覧はこちら
3回目は前回の続きで、単勝と3連系馬券の的中率の関係を整理します。

※ 数学的な意味で、厳密には不適切な表記があるかもしれない点はご容赦下さい。一方で、内容に関して本質的な間違いがありましたら、ご指摘を頂けますと大変助かります。


3-1:単勝率と3連単の的中率の関係

【設問】
A,B,Cの3頭の馬の単勝率がそれぞれ$P(A),P(B),P(C)$とする。このとき、このレースがA→B→Cの3連単で決着する確率$P(A\toB\toC)$を求めよ。但し同着は発生しないものとする。

【回答】

$$P(A\toB\toC)=\frac{P(A)\cdot(B)\cdotP(C)}{(1-P(A))\cdot(1-P(A)-P(B))}$$

【証明】
まず、A→Bの馬連が的中する確率$P(A\toB)$は2-1より、

$$P(A→B)=\frac{P(A)\cdotP(B)}{1-P(A)}$$

である。ここでAとBが1~2着となったとき、AとBを除いた馬の中でCが1着になる確率は次の式で求めることが出来る。($P(A)$と$P(B)$と$P(C)$は同時に発生しない点に留意する。)

$$\frac{P(C)}{1-P(A)-P(B)}$$

従って、A→B→Cの3連単で決着する確率$P(A→B→C)$は次式で求めることが出来る。

\begin{eqnarray}P(A\toB\toC)&=&P(A\toB)\cdot\frac{P(C)}{1-P(A)-P(B)}\\&=&\frac{P(A)\cdotP(B)}{1-P(A)}\cdot\frac{P(C)}{1-P(A)-P(B)}\\&=&\frac{P(A)\cdotP(B)\cdotP(C)}{(1-P(A))\cdot(1-P(A)-P(B))}\end{eqnarray}


3-2:単勝率と3連複の的中率の関係

【設問】
A,B,Cの3頭の馬の単勝率がそれぞれ$P(A),P(B),P(C)$とする。このとき、このレースがA-B-Cの3連複で決着する確率$P(A-B-C)$を求めよ。但し同着は発生しないものとする。

【回答】

\begin{eqnarray}P(A-B-C)&=&P(A)\cdotP(B)\cdotP(C)\cdot\\
&{&\frac{1}{(1-P(A))\cdot(1-P(A)-P(B))}\\
&+&\frac{1}{(1-P(A))\cdot(1-P(A)-P(C))}\\
&+&\frac{1}{(1-P(B))\cdot(1-P(B)-P(A))}\\
&+&\frac{1}{(1-P(B))\cdot(1-P(B)-P(C))}\\
&+&\frac{1}{(1-P(C))\cdot(1-P(C)-P(A))}\\
&+&\frac{1}{(1-P(C))\cdot(1-P(C)-P(B))}}\end{eqnarray}

【証明】

まず、A,B,Cの3頭が1~3着となる組み合わせは次の6通りである。

A→B→C … ①
A→C→B … ②
B→A→C … ③
B→C→A … ④
C→A→B … ⑤
C→B→A … ⑥

従って1-1の証明より、3連複の的中率$P(A-B-C)$は、①~⑥の的中率の合計によって表すことができる。

\begin{eqnarray}P(A-B-C)&=&P(A\toB\toC)+P(A\toC\toB)\\&+&P(B\toA\toC)+P(B\toC\toA)\\&+&P(C\toA\toB)+P(C\toB\toA) … ⑦\end{eqnarray}

更に、各3連単の的中率$P(A→B→C)~P(C→B→A)$は、3-1の公式から$P(A),P(B),P(C)$で表すことが出来る。

$$P(A\toB\toC)=\frac{P(A)\cdotP(B)\cdotP(C)}{(1-P(A))\cdot(1-P(A)-P(B))} … ⑧$$
$$P(A\toC\toB)=\frac{P(A)\cdotP(B)\cdotP(C)}{(1-P(A))\cdot(1-P(A)-P(C))} … ⑨$$
$$P(B\toA\toC)=\frac{P(A)\cdotP(B)\cdotP(C)}{(1-P(B))\cdot(1-P(B)-P(A))} … ⑩$$
$$P(B\toC\toA)=\frac{P(A)\cdotP(B)\cdotP(C)}{(1-P(B))\cdot(1-P(B)-P(C))} … ⑪$$
$$P(C\toA\toB)=\frac{P(A)\cdotP(B)\cdotP(C)}{(1-P(C))\cdot(1-P(C)-P(A))} … ⑫$$
$$P(C\toB\toA)=\frac{P(A)\cdotP(B)\cdotP(C)}{(1-P(C))\cdot(1-P(C)-P(B))} … ⑬$$

以上、⑦に⑧~⑬を代入して整理すると、

\begin{eqnarray}P(A-B-C)&=&P(A)・P(B)・P(C)・\\
&{&\frac{1}{(1-P(A))\cdot(1-P(A)-P(B))}\\
&+&\frac{1}{(1-P(A))\cdot(1-P(A)-P(C))}\\
&+&\frac{1}{(1-P(B))\cdot(1-P(B)-P(A))}\\
&+&\frac{1}{(1-P(B))\cdot(1-P(B)-P(C))}\\
&+&\frac{1}{(1-P(C))\cdot(1-P(C)-P(A))}\\
&+&\frac{1}{(1-P(C))\cdot(1-P(C)-P(B))}}\end{eqnarray}

となる。

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