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海外ETF/CEF アーカイブ

2007年01月30日

海外ETFと国内ETF

最近では、大証にインドと中国のETFが上場するとか、東証がNYSEと提携して先ずはETFを相互上場させるとか、何気に海外ETFの話を国内でも耳にする様になって来ました。
専ら、海外投資ではETFにしか投資しない私としても、日本でも海外ETFの情報が入手し易くなるのであれば、嬉しい所ではあります。まぁ、国内で海外ETFを買うかと言われても買いませんが..。

私としては、海外ETFを広める前に、国内のセクタ別ETFを充実させて欲しいのです。銀行セクタのETF位しか取引されてない状況で、日経やTOPIXのETFばかり幾つも上場させたって意味無しでしょ?確かに、取引量が無いから銘柄も減って行くという事情も判りますが、宣伝活動も無さすぎだと思います。
恐らく、証券会社としては、「ETFよりもインデックスファンドを売った方が儲かるもん!」と、思っているんでしょう。(日本の証券会社は顧客のほうを向いてませんから。)

所で、米国上場のETFですが、こっちもアンテナを高くしていないと、知らない間に色々と上場しているみたいです。先日もDBAの存在を知って買付してみましたが、他にも面白そうな銘柄が上場されてるかもしれないと思い、週末に調べてみました。

すると..、あるじゃん!やっぱり。(しかも色々)
以下、目に止まった銘柄を挙げてみます。


(1) WisdomTree Europe Small Cap Dividend Fund (DFE)

ヨーロッパの小型株インデックスに連動するETF。これまでは、そもそもヨーロッパのETF自体が少なくて、EZUやIEV辺りがメジャーですが、どちらも値動きはほぼ同じ。これまでも、ミューチュアルファンドの紹介を見ていて、欧州は小型株インデックスが全体のインデックスを大きくアウトパフォームしているのに気づいてました。となれば、高ボラリティ好きの私としては、単なるインデックスよりも小型株インデックスを選ぶびたい所なわけで、漸くその希望を叶えてくれるETFを見つけました。


(2) Morgan Stanley CHINA (CAF)

これ、タイトル読んだだけじゃ判んなかったのですが、米国市場に唯一上場する中国A株のCEFです。この存在を知っていれば、わざわざ香港市場で2823.hkを買う必要はありませんでした。まぁ、信託報酬は2823.hkの方が安いんですが、売り買いのし易さ的には米国上場は魅力的です。USDで買えるし、怪しくなったら束処分出来るし、なにせバブルの気配満々ですから..。
ちなみに、10月に上場して既に50%超で騰がってます。意外とコレ、昨年の上昇率トップだったりして?尚、分散銘柄数は2823.hkよりも多そうです。


(3) CurrencyShares Euro Trust (FXE)

ユーロの上昇が止まらないので、海外証券口座でもユーロMMFみたいな商品は買えないかと思って探したらありました。単純にユーロの為替レートに連動するETFの様です。信託報酬が0.4%掛かりますが、配当金として1年定期にした程度の利回りが付きます。

それなら、単にマルチカレンシー口座にユーロを持てば良い様にも思うわけですが、考えてみるとメリットは確かにあります。

 ・売り買いが同値なので、売買手数料は掛かりますが、為替のスプレッドが発生しません。
 ・売り買いが何時でも出来て、定期預金並みの利回りがある。
 ・定期預金の最低預金額が無い。預金高が少なくても、同じ利回りが得られます。

米国市場にはユーロ債権に連動するETF(CEF)は上場されていない(と思う)ので、代わりにポートフォリオに組み込むのも手だと思います。

尚、ユーロ以外にもオーストリア・ドル(FXA)やメキシコ・ペソ(FXM)等も用意されていました。どうせなら、ニュージランド・ドルや南アフリカ・ランドも用意して欲しい所です。

2007年04月16日

ブルベア型の海外ETF

以下、ブルベア型のETFで主要なもの(又は面白そうなもの)を列挙します。

 ・ProShares Ultra Dow 30 (DDM)
  ダウ平均株価に連動するブルファンド(レバリッジ+2倍)
 ・ProShares Short Dow 30 (DOG)
  ダウ平均株価に連動するベアファンド(レバリッジ-1倍)
 ・ProShares Ultra Short Dow 30 (DXD)
  ダウ平均株価に連動するベアファンド(レバリッジ-2倍)

 ・ProShares Ultra QQQ (QLD)
  ナスダック指数に連動するブルファンド(レバリッジ+2倍)
 ・ProShares Short QQQ (PSQ)
  ナスダック指数に連動するベアファンド(レバリッジ-1倍)
 ・ProShares Ultra Short QQQ (QID)
  ナスダック指数に連動するベアファンド(レバリッジ-2倍)

 ・ProShares Ultra S&P 500 (SSO)
  SP500指数に連動するブルファンド(レバリッジ+2倍)
 ・ProShares Short S&P 500 (SH)
  SP500指数に連動するベアファンド(レバリッジ-1倍)
 ・ProShares Ultra Short S&P 500 (SDS)
  SP500指数に連動するベアファンド(レバリッジ-2倍)

 ・ProShares Ultra Financials (UYG)
  米国の金融セクタ指数に連動するブルファンド(レバリッジ+2倍)
 ・ProShares Ultra Short Financials (SKF)
  米国の金融セクタ指数に連動するベアファンド(レバリッジ-2倍)
  (金融不安が見え隠れする現在の状況では美味しいかも。)

 ・ProShares Ultra Real Estate (URE)
  米国の不動産セクタ指数に連動するブルファンド(レバリッジ+2倍)
 ・ProShares Ultra Short Real Estate (SRS)
  米国の不動産セクタ指数に連動するベアファンド(レバリッジ-2倍)
  (退潮が確実な情勢の不動産セクタも、売りし掛けるには良いタイミング?)

 ・PowerShares DB US Dollar Bullish Fund (UUP)
  米ドルの他通貨全般に対する相対的な為替相場に連動するブルファンド(レバリッジ?)
 ・PowerShares DB US Dollar Bearish Fund (UDN)
  米ドルの他通貨全般に対する相対的な為替相場に連動するベアファンド(レバリッジ?)


※ 米国の各種セクタ指数に連動するブルベアファンドは一通りあって、上記はそれらの一部。
  セクタに連動するブルベアファンドは日本には見られない商品で、かなり有用な感じです。
  
※ 新興国株に連動するブルベアファンドがあればうれしいのですが、見つかりませんでした。

2007年04月17日

面白そうな海外ETF

キャッシュポジションが高まったこともあって、なにか新しいETFは出ていないかと探してみました。以下、興味深く思ったものを列挙しておきます。

 注:大半は新規設定のETFなので、現状では流動性のかなり低いものが
   含まれています。

・SPDR S&P Emerging Europe ETF (GUR)
ロシアをメインとして、欧州新興国の指数に連動するETF。従来、東欧系のETFは存在せず、CEFが幾つか設定されているだけでした。まだまだ流動性が低いのですが、今後が期待できるファンドだと思います。

・SPDR S&P Emerging Middle East & Africa ETF (GAF)
アフリカと中東の新興国の指数に連動するETF。これまで、南アフリカを対象としたETFはありましたが(EZA)、中東を対象とするETFはCEFを含めても初物だと思います。(イスラエルを対象とするCEFはありました。)ポートフォリオの構成に注目したいと思います。

・HealthShares Cancer (HHK)
ガン研究事業に従事する企業に投資するETF。ガン治療は人類の最大テーマの1つであることを考えれば、長期的に有望な投資先となる可能性があります。バイオテクノロジー等、個々の企業は浮沈が大きく、海外投資し難いところがありますが、ファンドで分散されれば安心感は増してきます。尚、投資先は米国企業だけなく、世界レベルで分散投資されます。(違いが良く判りませんが、HealthShares Emerging Cancer (HHJ)と言うETFもあります。HHKに比べて新興企業で構成されるものと思われます。)

・HealthShares Metabolic Endocrine Disorders (HHM)
メタボリックシンドロームの研究に従事する企業に投資するETF。メタボリックシンドロームはヘルスケアの話題の中心ですから、ネーミング的にも注目を集める可能性があります。尚、投資先は世界各国に分散されます。

 ※HealthSharesシリーズにはその他の医療分野に応じたETFが多数設定されています。

・Market Vectors Steel Index ETF Fund (SLX)
世界の鉄鋼企業に分散投資するETF。年末からの鉄鋼ブームに乗って、短期間に20%近い上昇をしています。(流石に、今からエントリーするのはちょっと気後れしますが..。)ちなみに、セクター別のETFで、世界規模に分散されるものは珍しいと思います。

・Market Vectors TR Gold Miners (GDX)
世界の金鉱株に分散投資するETF。金鉱株も、個々の企業レベルではバラツキが大きく、投資には二の足を踏むのですが、ETFで分散してくれると安心感があります。金相場に強気ならば、金ETFに投資するよりもこちらの方がリターンは大きいと思われます。

・Market Vectors Environment Index ETF Fund (EVX)
ゴミ処理などの、環境サービスに従事する企業に投資するETF。これまで、環境に関するセクターのETFとしては、クリーンエネルギー関連(PBWなど)がありましたが、これはエネルギーセクターに連動しやすく、環境と言う切り口での妙味は低い感じがしました。長期的な有望なテーマと言えると思います。尚、一応は世界規模で分散される筈ですが、現状では米国企業が大半を占めている様です。

・PowerShares Water Resources Portfolio (PHO)
水資源に関わる企業に分散投資するETF。2005年の設定なので最新のETFではありません。只、水資源に対する注目は徐々に投資テーマとして高まって来ていますので、今後は注目してゆく価値がありそうです。一応、世界企業に分散することになっていますが、現状で、ポートフォリオの大半を米国企業が占めている様です。

・PowerShares Aerospace & Defense Portfolio (PPA)
航空機産業と防衛産業に関わる企業に分散投資するETF。これも2005年設定なので、比較的古いものになります。悲しいかな紛争がこの世から無くならない限り、防衛産業は安泰なのかもしれません。ファンドの成績も良好な結果を残しています。只、民主党政権になったら如何でしょう?

・PowerShares International Dividend Achiever Portfolio (PID)
継続的に好配等を続ける世界の中小型企業に分散投資するETF。米国企業は含まれません。前回の配当は2.28%なので、メチャ高い配当と言うほどではありません。2005年に設定されたETFで、これまでの成績は良好です。

2007年04月21日

DB G10 Currency Harvest Fund (DBV)

投資対象となるETFを探していて、また1つ良さ気な物を見つけました。

・PowerShares DB G10 Currency Harvest Fund (DBV)

為替を対象にしたETFですが、単純に「米ドル:他の外貨」の関係で為替差益を求めるものではありません。

ETFですので、何らかのインデックスに連動する訳ですが、このETFが連動するのは「Deutsche Bank G10 Currency Future Harvest Index」と言うインデックス。

問題は、このインデックスの中身ですが、次のようなロング&ショートポジションを組んで運用した場合のインデックスです。(即ち、ETFでは珍しいヘッジファンドと言う事になります。)

 (1) 対象通貨は、USD・EUR・JPY・CAD・CHF・GBP・AUD・NZD・NOK・SEKの10種。
 (2) この中で、利率の高い方から3種の通貨を選び、これをロングする。
 (3) この中で、利率の低い方から3種の通貨を選び、これをショートする。
 (4) 各3種の通貨のポジションは1/3ずつ均等。

必ずしも、金利の高低で通貨価値が決まるものでも無いとは思いますが、少なくともこのポジションで金利差分は確保でき、一方で為替変動要素は分散されますから、安定的な運用が期待できそうです。

実際に、過去12年のインデックスの成績は非常に良好で、年間でマイナスになった年が僅か1年しかありません(それも、僅か-1.68%)。一方で、10年間の平均利回りは11%を叩き出しており、チャートは綺麗な右肩上がりのカーブを描いています。

利回りに対してボラティリティが小さく、そこらの債権ファンドよりも遥かに優良です。安心して長期投資できる投資対象と言えるでしょう。株式市場との相関も全く無い様で、独立性が見られます。良いこと尽くめで、思わず衝動買いしてしまいました。今後は定期預金でロックされている外貨資産もこのETFへシフトさせようと思います。

 ※ 出来れば、日本市場にも円ベースでこういうETFを上場してもらえると良いと
   思います。そうなれば、外貨預金と言う日本の悪徳な金融商品が駆逐されるの
   は必至でしょう。

2007年04月25日

Zacks Sector Rotation ETF (XRO)

また1つ、面白そうなETFを見つけました。

元々が、ETFは何らかのインデックスに連動するもので、ダウ平均やナスタック平均に連動するものでした。その後、色々な派生商品が開発され、個別のセクターの値動きに連動するものが登場しました。

そして、一部の投資家はこれらのセクター連動ETFに循環投資することにより、変化する相場の流れに乗って、全体市場の平均をアウトパフォームすることを目指しています。

さて、このETFですが、セクターローテーションの作業を一定のルールに基づいて実行してくれると言う物です。ここで、セクターへの投資比率は1Q毎に見直されます。即ち、市場平均を上回るであろうセクターを選別して、そこに投資してくれるETFと言うことになります。

なんだかこれって、説明を読むほどに、アクティブファンドと何処が違うの?って気がしてきます。別にセクターローテーションのルールが明確に公開されている訳ではなく、セクターへの投資比率をどうやって決めているのか、厳密なところは謎のままです。

但し、信託報酬は0.78%であり、ETFの標準レベルである点では、手数料が無駄に高いアクティブファンドと比べて、遥かに有用と言えそうです。

肝心のパフォーマンスについても、ベンチマークであるS&P500を大幅にアウトパフォームしており、ボラティリティこそ高めですが、成績はなかなか良好です。(但し、このファンドは米国株の他にADRにも投資するとしていますので、単純にS&P500と比べるのが適切かは判りません。)

「市場で売り買いできる、信託報酬の安いアクティブファンド」と考えれば、メリットも多々感じられるので、買ってみるのも面白いかもしれません。多少リスクをとっても、市場平均より上を狙いたいのであれば、IVV辺りの代替候補にしては如何でしょう。

(まだ半年と少しの実績しかないので、1年くらい様子見するのが正解かも。)

2007年05月10日

海外ETFで世界好配当ファンドに投資

昨年来、ピクテの「グローバル・インカム・ファンド」がその成績の良さが噂になってます。なんでも、グロソブの地位を奪うほどに伸びているとかいないとか? 遂にその資産規模が上限に達し、新規申し込みが停止されるとのニュースが聞こえてきました。

さて、好配当ファンドの成績がそんなに良いのであれば、海外ETF投資家としても、同じ様な投資をETFで実現出来ないか考えてみたいところ。

..で、そう思って探してみるとやはり幾つか候補が見つかりまして、私の注意を惹いたのが次のETF。

 ・WisdomTree International Dividend Top 100 Fund (DOO)

トレースするインデックスは「WisdomTree International Dividend Top 100 Index」で、これは、米国を除く地域から一定の時価総額以上の企業を選び、その中から配当利回りの高い上位100社を選択し、更に配当の割合に応じてポートフォリオの構成比率を決定するものです。

組成日が2006/6/16なので、現在1年程度の実運用ですが、騰落率が約40%と好成績を叩き出してます。同地域を対象とするEFA・EFVをベンチマークとして比較すると、大幅にアウトパフォームしていることが判ります。

残る問題は、「直近1年だけ調子良かったんじゃない?」と言う疑問ですが、これについてはWisdomTreeのWebサイトに答えがあります。ここにはインデックスの過去10年間のバックテスト結果があり、10年間の年利回りが16.17%と、MSCI-EAFEの11.08%を大幅に上回る結果を示しています。( http://www.wisdomtreeindexes.com/index-details.asp?indexid=45 )

 ※ちなみにETFなので信託報酬は年0.58%と、ピクテのファンドよりはかなり低コストです。


他にもWisdomTreeでは

 ・WisdomTree DIEFA High-Yielding Equity Fund (DTH)

と言うETFが組成されており、これは同地域を対象としながら、上位100社に限定しない点が異なっています。尤も、パフォーマンス的には両者に然したる違いは無く、どちらを選ぶかは趣味の範疇でしょう。(注パフォーマンスに然したる差はありませんが、流動性はDOOの方が良い様です。)

実は、WisdomTreeには他にも幾つかの好配当ファンドが用意されており、マニアックな品揃をしてくれています。

 ・WisdomTree International Small Cap Dividend Fund (DLS)

これは小型株に限定した上で、先と同様のロジックで好配当銘柄に投資するものですが、数年来の小型株相場も反映して、直近5年間のバックテストでは、30%を超える年利を叩き出してます。グローバルファンドでありながら、エマージング諸国並みの脅威のパフォーマンスです。(但し、直近10年でみると、パフォーマンスは大分落ちます。)


他にも、地域を限定し、ヨーロッパの小型好配当株を対象とした

 ・WisdomTree Europe Small Cap Dividend Fund (DFE)

や、アジア(除く日本)を対象とした、

 ・WisdomTree Pacific ex-Japan Total Dividend Fund (DND)

等もあり、何れも更に良好なバックテストの結果を示しています。(注:DNDは中国の比重が低くオーストラリアの比重が高いので、一般のアジアファンドとは違う値動きをすると思います。)

これらを見ていると、スタンダードなEFAに投資するよりも、DOOを選択したほうがベターであると結論して良さそうです。同様にEPPに投資するよりはDNDの方が有利と言って良いでしょう。また、小型株の強気が続くと見るならば、DLSやDFEを選択する手も有りだと思います。


PS.
CEFに物色の手を広げると、更に面白そうな好配当ファンドが見つかりますが、それはまた別のエントリーで。

2007年06月08日

Alpine Global Dynamic Dividend Fund (AGD)

今回も変り種のETF/CEFのネタ。

「Alpine Global Dynamic Dividend Fund (AGD) 」は世界の株式に投資して好配当を得ることを目的としたCEFです。世界の好配当株に投資するETFとしては、以前のエントリーで記した「WisdomTree International Dividend Top 100 Fund (DOO)」があります。今のところ、DOOはかなり良いリターンを上げているので、これに優るファンドを見つけるのは困難な情勢ですが、このAGDはある意味でかなり変り種です。

普通、好配当株ファンドと言うと、好配当を継続的に続けている企業に投資することで、インカムゲインとキャピタルゲインを狙って行きます。しかし、同じインカムゲインを狙うにしても、このAGDのアプローチは根本の考え方が違います。

さて、このAGDがどうやって高インカムゲインを狙っているかと言うと、これがセコくて失笑してしまったのですが、配当を得る回数を増やすことで高インカムを達成しようと言うもの。要するに、配当の時期が近い銘柄に投資して、とにかく配当を掠め取ろうと言うこと。日本でも某株式評論家がカレンダー投資と言う投資法を説いていますが、正にアレです。笑

より詳細な投資ロジックは書ききれませんが(手抜き)、基本的な考え方は次の通り。まず、投資対象を3カテゴリーに分けます。1つはバリュー株で好配当の銘柄、2つめはグロース株で好配当の銘柄。この2つに投資対象については、極普通の投資を行います。

ポイントは3つめのカテゴリー。このカテゴリーの銘柄ではローテーション戦略を用いて、高いインカムゲインを狙います。まず、通常ならば四半期毎に配当金を得るところを、配当月の異なる2つのグループの投資対象を用意します。そして、この2つのグループへの投資を適当な期間(恐らく3ヶ月毎)でスイッチして行きます。こうすることで、各グループから年間で3回の配当を得ることが出来、合計で年6回の配当機会を得ることになります。

要は、「上手く立ち回って、通常の配当金の1.5倍を稼ごう」と言うワケです。ETF-Connectのサイトより現在の配当利回りを調べてみると、年換算で8.14%でした。結果的にかなりの高インカムを叩き出しています。

更に、分配金込みのリターンを調べて見ると、設定来で年利換算34.11%とまずまずの好成績を残しています。尤も、現時点で1年弱の運営状況なのでバックデータとしての期間は短いですが..。出来ればもう少し長い運用データが見たい所です。(注:本ファンドは毎月分配なので、単純にYahoo Finance でチャートを表示するとトータルリターンを見誤ります。)

本ファンドはCEFなので、高プレミアムの時を避けて購入する配慮は必要ですが、流動性は意外にあるので、投資対象として面白そうなファンドではあります。グローバルファンドなのでボラリティは比較的抑えられる所に、インカムゲイン分で8%を超えるリターンがあるのは、結構魅力的だと思います。

そして更に、Alpine社では新たなCEFを2つ組成しています。1つがAODでもう1つがAWP。AODはAGPの投資戦略を更に推し進め、2ヶ月毎に投資対象をスイッチすることで、年に8回の配当機会を得ようと言う代物。現在の分配金の利率は年間で10.1%と、AGDを軽く凌いでいます。トータルのリターンがどうなるかは今後を見守る必要がありますが、監視して行きたいファンドではあります。(ぶっちゃけ、インカムゲインが10%あれば、キャピタルゲインは0%でも許します。もちろん、マイナスはダメ。)

最後のAODはこれは投資対象を不動産産業に特化したもの。不動産サイクルに応じて、金融業・建設業・不動産業の間で投資比率を変化させ、高リターンを狙います。また一方では、件の高インカム戦略を用いて、年間8回の配当を狙おうと言うもの。初回の配当もされていない状況なので、どの程度のパフォーマンスが出るか今のところ不明です。キワモノ好きの方、如何でしょう?笑

2007年06月10日

ETNって何だろう?

新手のETFもどき商品た出たと言う事で、これは知らなきゃいかんだろうと調べてみました。

「Exchange Trade Note」が正式の名称。ETFの正式名称が「Exchange Trade Fund」で、「上場型投資信託」と訳されてることから、ETNは「上場型有価証券」とでも訳せば良いのか?(正規の和名はまだ定まってないっぽい。)

..でもって、名称からたどり着くのは、ETFの債券版みたいなものってこと。(超いい加減。)要するに、何らかのインデックスに連動して価値が変化する債券と言うことでFA。

流石にこれじゃアバウトなのでもう少し突っ込むと、次の様な代物になります。

 ※ ここでは現状で最も有名なETNと思われる「iPath」について記述します。
  (そもそも、「iPath」以外のETNが組成されているのか不明だったり。)

 ・英バークレイズ社が発行する債券。
 ・満期も設定されています。(だいたい30年みたい。)
 ・満期以前のトレードは証券取引場を介して可能。
  (要するにETFと同じく、株式の様に売買できます。)
 ・ETFと同様に、空売りも可能。
 ・市場ではそのETNが連動するインデックスの値でトレードされます。
  例えばINP(iPath MSCI India Index ETN )の場合、「MSCI India Total Return Index」に
  連動した価格でトレードされます。

..と言うわけで、ここまでの説明ですと、「ETFとまぁ同じように扱える金融商品」っていうことで、第一段階修了。

じゃぁ、何がETFとちゃうのって言うと、最も重要なのはiPathはバークレイ社が発行し、価格を保障する無担保社債だと言う事。ETFが現物相当の株式なり商品なりを確保して上場しているのに対して、iPathはバークレイ社の信用だけで成り立つ金融商品です。

つまり、ETFならば購入者の負うリスクは、相場の騰げ下げだけですが、ETNの場合は債券のデフォルトリスクも併せて負うことになります。ぶっちゃけ、バークレイがアボーンしたら、iPathは紙切れになっちゃうって言うこと。

まぁ、巨大金融会社であるバークレイズの社債がデフォルトを起こすとは到底思えない訳で、その点での心配は然して不要と思うのですが、今後ETNの種類が増えてくる状況になれば、妙な発行母体のETNは掴まない注意は必要になるんでしょう。

逆にETFと比べてETNは、特に発行側のメリットが大きいと推察されます。なにせ、債券を発行した後は価格を保障すれば良いだけで、裏でポートフォリォを調整するコストは発生しません。当然、マネージメントフィー(信託報酬と言う用語もここでは適切ではないですね)は少なくて良い筈です。

この管理費が安く上がる分だけ、投資家に還元してくれれば優れた金融商品になるのですが、iPathに関してはそれほどマネージメントフィーは安くありません。INPのマネージメントフィーは0.75%であり、高くはありませんが「まぁこんなもんか」程度です。

また、他のメリットとして、現物を伴わなくて良い分、組成自体が物理的に容易と言うことも挙げられます。例えば、以前からプラチナのETFは噂に上がりますが、業者の抵抗から現物の確保が進まず、組成が未だにされません。これがETNならば現物の確保は不要ですから、比較的容易に実現できる可能性がありそうです。即ちETFの仕組みでは実現できない商品がETNならば実現できる可能性を秘めていると言えます。

ところで、ETFに対するETNの本当のウリは別な所にある様です。ETNはETFの様な配当金/利息などの分配を行いません。そもそも、現物を裏で保有している訳ではないので、配当金や利息が発生することが本質的にないのです。即ち、分配金による基準価格の低下も無く、当然、インカムゲインに対する課税も発生しません。これは複利効果を最大限に期待する長期投資家に対しては魅力的な特徴です。

要は「ETNに対する課税は売却するとき以外には発生しない」と言うことです。これは私の様な海外からの投資家にとっても意味のある話です。

あとは良く判りませんが、米国では株式と債券でインカムゲインに対する税制が異なっていたりするかもしれません。この辺りで税制の抜け道を突いている可能性もありますが、日本人には関係ない話でしょう。(たぶん)

さて、iPathですが、現在、次の8種の商品が組成されています。

 ・iPath S&P GSCI Total Return Index ETN (GSP)
 ・iPath Dow Jones-AIG Commodity Index Total Return ETN (DJP)
 ・iPath S&P GSCI Crude Oil Total Return Index ETN (OIL)
 ・iPath MSCI India Index ETN (INP)
 ・iPath EUR/USD Exchange Rate ETN (ERO) (ERO)
 ・iPath GBP/USD Exchange Rate ETN (GBB)
 ・iPath JPY/USD Exchange Rate ETN (JYN)
 ・The iPath CBOE S&P 500 BuyWrite Index ETN (BWV)

上3種はコモディティインデックスに連動するETN、4番目がインド株式インデックスに連動するETN、続く3種が外国為替レートに連動するETN、最後のBWVはSP500のオプション取引に関するインデックスに連動するETN、です。(BWVについては別の機会があれば触れて見ます。)

以上で説明終わりなのですが、ひとつ私が判らないことがあります。と言うのはERO, GBB, JYNの様な為替レートに連動するETNに関してです。厳密にどの様なレートをインデックスにしているのか不明なのがいけないのですが、もし現物を保有していたら発生するであろう利息がどのように処理されているのかが判りません。

例えば、同じユーロを対象とするEROとFXEを比べてみると、FXEはEUR/USDのレートに連動するため、保有するユーロ相当の資産から発生する利息分を毎月の分配金として、ホルダーに分配しています。しかし、ETNはその仕組みから一切の分配は行いません。それならば、利息の分だけ基準価格が上昇してくれないと、投資する価値がありません。(誰だって迷わずFXEを買うはずです。)

この疑問に対する合理的な解決は、利息分だけ基準価格が上昇する他はありません。検証するにはFXEとEROの基準価格の変化を比べてみるのが簡単です。しかし、EROは組成から間が無く、Yahoo Financeで基準価格の経過を見ることが出来ませんでした。もう少しすれば、この点はハッキリすると思われます。

ちなみに、コモディティに関しては配当/利息は発生しないので、この疑問はありません。MSCI India Index については、(たぶん)インデックス自体が配当金を織り込んだものになっていると思われるので、インデックスに連動さえしてくれれば、配当金分だけ損すると言うことにはならないでしょう。


最後に、改めて信用リスクの問題を考えてみます。確かにETNは債券なので、バークレイがアボーンしたら、債券としてはデフォルトを起こします。投資したお金はパーで、そのリスクは投資家が負わなければなりません。この点では明らかにETNはETFに劣るのですが、我々日本人の個人投資家からみた場合、海外ETFもETNも然して変わらないかもしれません。..と言うのは、もし海外のETFが上場廃止に追い込まれた場合、その対価を確実に回収できるか、現実問題としてかなり微妙です。それなりと語学力と交渉力を持って、なおかつ時間に余裕がなければ、資産の回収は困難になるとみるべきでしょう。

その点で、ETFもETNも信用リスクは大差ないと考えて良さそうです。これは、「だからETNでも大丈夫」と言う話ではなくて、「ETFでも経営の怪しい組成元の商品は信用リスクを伴う」と言うことです。Wisdom Tree社が組成するETFは運用成績から私のお気に入りなのですが、信用リスクの点では用心する必要があると思ってます。

WisdomTree社がナスダックに上場してくれると、少しは安心なんですが..。

2007年06月13日

PowerSharesから新規ETF

新たに5つのETFが、マニアックなETFを組成し続けているPowerSharesより、6月13日(水)に設定させます。

PowerSharesのETFには、これまでもニッチなセクタを狙ったものや、RAFI・ValueLineと言ったストラテジックなもの、また各種ベアファンドや、ロング&ショート戦略(私がお気入りのDBV)のものなど、他には見られない先進的な商品群を展開しています。

しかし、これまでのPowerSharesのETFは、その大半が米国内企業を投資対象としたものでした。(一部例外あり。)しかし、今回組成する5つのETFは、何れも米国企業を含まないグローバルETFになっています。


(1) PowerShares Global Water Portfolio (PIO)

昨年来、強い注目を集めている、水資源に関わる企業に投資するETF。同社のETFに同じくPHOと言う水資源関連がありますが、PHOが米国企業中心なのに対して、こちらはグローバル企業が対象になっています。ETFが追従するインデックスの過去の成績は、過去5年で年利回り23.32%、シャープレシオ1.45と、非常に良好です。
PIO.gif


(2) PowerShares Global Clean Energy Portfolio (PBD)

同じく、クリーンエネルギーに関わる企業に投資するETF。やはり、同種のETFとしてPBWがありますが、こちらはそのグローバル版です。インデックスの過去の記録は、過去5年の平均利回りが20.87%、シャープレシオ0.92です。リターン的にはEAFEとほぼ同程度の成績です。
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(3) PowerShares Dynamic Developed International Opportunities Portfolio (PFA)

今回の5つのETFを見ていて、私が最も興味を惹かれたのがこのETF。投資対象は米国を除く比較的先進国の企業です。(香港が4%入ってます。)
問題は追従するインデックスですが、「QSG Developed Int'l Opportunities Index」がそれになります。只、この具体的な中身が良く判りません。「Quantitative Services Group」と言う所が提供しているインデックスで、何らかの数値モデルを用いて割安な銘柄をリストアップし、適当な比率でこれを構成させている様です。(QSGのサイトを見てみましたが、具体的なロジックは不明でした。)
で、何にが凄いかと言えば、当然成績。インデックスのバックテスト結果を見ると、5年の平均利回りが27.16%、10年の平均利回りが21.83%、シャープレシオが1.3です。ついでに、過去10年間で、年間収支がマイナスになったのが、2002年の1回だけ。しかも高々-2.18%。とても、先進国の企業に投資した成績とは思えません。本当なら、これだけあれば、あとは要らないんじゃないかと、マジで思ったりして。
PFA.gif


(4) PowerShares Dynamic Asia Pacific Portfolio (PUA)

こちらはアジア太平洋地域の企業を投資対象としたETF。(日本は含まれていない模様です。)PFAと同様にQSD社が提供するインデックス「QSG Asia Pacific Opportunities Index」に連動します。バックテストの結果を見ると、5年平均で31.02%で、シャープレシオはなんと2.23です。(びっくら)
只、アジア圏が対象なので、10年でみると成績は少し落ちて、平均10.78%です。(これでも十分高いですが。PFAの成績の前ではちょい色あせします。)
PUA.gif


(5) PowerShares Dynamic Europe Portfolio (PEH)

ヨーロッパ主要国の企業を対象としたETF。(東欧は含まれません。)やはり、QSDが提供するインデックス「QSG ACtive Europe Index」に連動します。バックテストの結果は、5年平均で24.41%、シャープレシオ1.6です。また、10年平均でも年利20.13であり、これもPFAに負けず劣らず驚きの結果です。
PEH.gif


PFA, PUA, PEH の各インデックスのデータを見ると、何れも2000年~2003年の下げ相場でも、プラス若しくは微減の成績を叩き出しています。この下げ相場での強さが、トータルの好成績につながっていることは疑いありません。
これだけの成績が安定的に出せるなら、ボラティリティの高い新興国に投資する必然性は感じられなくなってきます。PFA, PUA, PEH に資産を3等分して、長期放置するのがもしかして最強だったり?

過去の成績が良くても、未来に約束するものは何も無いと判っていながら、それでも傾倒してみたくなるだけのデータです。

2007年06月18日

Claymore/BNY BRIC ETF (EEB)

最近、思うところあって、国内に保有しているファンドの再配分を検討しています。現在国内で保有するファンドの中には、ロクに検討しないまま購入してしまったものや、当時は存在した購入理由が現在は無くなってしまったものがあったりします。まぁ、ぶちゃけた話、海外で買った方が効率的なファンドは海外で保有して、日本で保有するものは日本ならではのファンドを保有したいと言うこと。

..で、特に非効率に見えるのがエマージング株式ファンドや、BRICsファンドの類。国内で販売されるこれらのファンドは、初期費も信託報酬もかなり高めに設定されており、更には成功報酬を取るものすら散見されます。

そこで今回はお安くBRICsに投資できる、所謂、BRICsファンドのETF版は無いかと言う話。1年ほど前までは、BRICと言っても、中国・ブラジルについてはETFが設定されていましたが、インド・ロシアに関しては適当なETFが無く、CEFで代用せざるを得ませんでした。

そこで、今回の「Claymore/BNY BRIC ETF (EEB)」の登場です。昨年9月に設定されたこのETFは、BRIC4ヶ国にまとめて投資できるお手軽な代物です。

EEBが追従するインデックスは「BNY BRIC Index」で、これはADR又はGDRに存在するBRIC4ヶ国の企業から構成されるものです。構成比率の決定論理は良く判らないのですが、時価総額基準をベースに調整が施されている模様です。またインデックスの構成は四半期毎に見直されます。

最新の国別の構成比を見ると、
  Brazil 45.88 %、
  China 35.79 %
  India 13.56 %
  Russia 4.77 %
となっており、ロシアの比率が極端に低く抑えられている点に特徴が現れています。

信託報酬は0.6%と、新興国のETFとしては標準的な比率であり、国内のBRICsファンド群と比べれれば、1%以上も低コストになります。またインデックスのバックテスト結果では、5年間のリターンが年利換算33.3%。シャープレシオは1.20で、エマージング株ETFの標準的な成績です。

BNY_BRIC.gif

取り合えず、BRIC4ヵ国のETFを個別に買い込んでポートフォリオを構成するのが面倒な人には、有用なETFと言うことが出来ると思います。(ロシアの比率が少ない辺り、個人的にも好評価です。)

更に、EEBの設定来のリターンを国内で販売される主要BRICファンドと比較した結果を次に示します。(注:EEBは円建てに換算し直して比較しています。)

EEB.gif

これを見ても、ボラティリティは高めですが、リターン面では好成績を残しています。HSBCやシュローダーには完全に勝ったと言って良いでしょう。

日興BRICsとの比較ではほぼ互角ですが、ボラティリティを重視すれば日興BRICsの方に軍配が上がりそうです。日興の方の国別構成はブラジルが突出して高く、次がロシアになります。中国はかなり少なめの構成比ですが、A株が含まれている辺りは特徴的です。

改めて日興BRICsファンドを調べてみると、信託報酬が1.76%と、他のBRICファンドよりは若干抑え目に設定されています。また、成功報酬と言ったふざけた追加コストも無く、分配金を殆ど出さない等、結構好感の持てる商品になっています。

長期運用する場合を考えれば、信託報酬の差がリターンに効いて来て、最終的にEEBの勝ちとなる可能性も高そうです。但し、日本で購入しなければならない事情があるなら、日興BRICsファンドはファーストチョイスと言えるかもしれません。

2007年06月22日

PowerShares・怒涛の組成ラッシュ

先日5つのETFを組成したPowerSharesから、更に4種のグローバル系ETFが組成される模様。

今度は"FTSE RAFI Index"に追従するもので、以下がその4つのETF。

 PEF - PowerShares FTSE RAFI Europe Portfolio
 PJO - PowerShares FTSE RAFI Japan Portfolio
 PAF - PowerShares FTSE RAFI Asia Pacific ex-Japan Portfolio
 PXF - PowerShares FTSE RAFI Developed Markets ex-U.S. Portfolio

FTSE RAFI Index に関しては、最近、野村からもファンドが発売されることもあり、基本的な情報が日本語でも紹介されてます。

要は、時価総額規模でインデックスの構成比率を重み付けするのではなく、資産価値・配当・売上高などの要素で数値化してやろうと言う代物。一説では、時価総額ベースよりも高リターンが期待できるとか出来ないとか? まぁ、出来ないなんて言ったら売れないんですけど..。(^-^;)

シーゲル博士の配当規模ベースのインデックスもこのサブセットと言うか、どっちが元祖かとか、色々と話のネタはありそうですが、投資家的に知りたいのは何が最も高リターンを期待できるかっていう一点かと。

2007年06月23日

StateStreetからもBRICのETF

昨日、StateStreetよりBRICsを投資対象とするETFが新たに組成されました。

 - SPDR S&P BRIC 40 ETF (BIK)

BRICs対象のETFとしてはEEBに続いてこれが2つ目になります。真っ先に気になるのは4ヶ国の構成比率ですが、最新状況では、

  China 39.46%
  Brazil 27.13%
  Russia 25.08%
  India 6.87%

となっています。EEBではブラジルが高く、ロシアの比率が極端に低いのですが、こちらのBIKではインドの比率が低く抑えられています。この辺りがファンドの特徴といえば特徴になるんでしょう。まぁ、好み次第ということで。

ちなみに、インデックスの成績では、過去5年の平均リターンが34.62%で、これはEEBの33.3%とほぼ同じレベルになります。

一方、信託報酬は0.4%となっており、EEBの0.6%に比して僅かに低コスト設計です。まぁ、BRICが投資対象となると、1日で1%以上も値動きするのがザラですので、年間で0.2%の差に何処までの有為性があるかは疑問ではありますが..。

尤もこれは、ETF間の比較論であって、他のミューチュアルファンドと比較すれば圧倒的に安い手数料であることは疑う余地がありません。もはや、BRICs投資もETFがあれば十分と言うことでFA。

あと、気になるのは流動性ですが、初日を見る限り、約定に苦労しない程度の、そこそこの取引量はありました。EEBよりは多少劣ってますが、直に遜色ないものになると思われます。

2007年07月02日

Claymore/Clear Spin Off ETF (CSD)

今回もまたマニアックなETFのネタ。

「Claymore/Clear Spin Off ETF (CSD)」はClaymoreより組成された米国株を対象としたETFです。組成されたのは2006年12月15日で、約半年前。..で、今日までの騰落率は年利換算すると44.99%。米国株を対象としたセクター別ファンドでは無いETFとしては、ちょっと抜けた成績を収めてます。

さて、このETFのキモは何かと言うと、タイトルにある「Spin Off」。即ち、本ファンドでは大手企業からスピンオフした企業(切り離されて別会社となった企業)が、追従するインデックスの構成要素になります。

もう少し具体的にインデックスの組成方法を記すと次のような感じ。

 (1) 過去2年間の間にスピンオフされた米国企業の株式をピックアップ。
 (2) ピックアップされたリストから、定性的な数値化を実行して、上位40社を選択。
 (3) 数値化は次のようなデータを基礎にして実施される。
    ・PER
    ・成長率と収益の比率
    ・ROE
    ・収益の安定性
    ・フリーキャッシュフロー
    ・成長性
    ・流動性
 (4) 1銘柄の最大構成比率は5%迄とする。
 (5) 半期毎にリバランスを実行。

要するに、この数年間にスピンオフされた企業の中から成長性の高い企業をピックアップしようと言うこと。

設定来の成績がかなり良い訳ですが、インデックスのバックテスト(2000年以来)を見ると、ボラティリティが高く、2000年~2002年のITバブル崩壊時期には相当な打撃を受けてます。

CSD.gif

2000年12月31日~2006年12月31日までの6年間の平均年利回りは12.37%で、シャープレオは0.38と微妙な成績となっています。(恐らく、2002年以降で計算すれば平均利回りは30%を越える筈です。)

正直、ちょっと値動きの荒っぽいETFなので、相場の行き先が不透明な段階では手掛け難いETFだと思います。逆に、地合の良い時には高リターンを叩き出す可能性を秘めてはいます。

もう1つ、バックテストのチャートを見ていて思いつくのがペアトレード。Midcap-GrothクラスのETFをショートする一方で本CSDをロングすれば、上手く差益が取れるかも。例えば、Midcap-GrothのベアETFであるMYYとCSDを併せて仕込むなんてのは如何でしょう?出来れば、もう少し長期の実運用成績を見てみたい所です。


2007年07月17日

Claymore Zacks Country Rotation ETF (CRO)

先週より、Claymoreにて新たに組成されたETFです。

本ETFのポイントはタイトルの通り「Country Rotation」。ローテーションと言うと、一般にはセクタ・ローテーションを想像しますが、このCROでは、エクスポージャーする国を定期的にローテーションし、構成比率を見直すことで、高リターンを目指そうと言うワケです。(ちなみに、セクタ・ローテーションをテーマにするETFとしては、以前のエントリーで紹介した「Claymore/Zacks Sector Rotation ETF」があります。)

要は、一種のグローバルETFであり、より好調なマーケットに比重を高めて投資をしようと言う代物です。ここで、もう少し具体的にトラックするインデックスの構成方法を見てみると次の通り。

 ・投資対象国はギリシャを除くEAFEの構成国にカナダを加えたもの。
 ・具体的には、オーストラリア・オーストリア・ベルギー・カナダ・デンマーク・フィンランド
  フランス・ドイツ・香港・アイルランド・イタリア・日本・オランダ・ニュージーランド
  ノルウェー・ポルトガル・シンガポール・スペイン・スェーデン・スイス・英国。
 ・各国への投資比率は、各国のマクロ経済の指標に応じて数値化し決定する。
  (詳細不明)
 ・インデックス全体に占める各国の投資比率は0%~45%とする。
 ・各国の投資比率が決定したら、更にその国に属する投資先企業を決定する。この時、
  投資先/比率の決定には成長性・流動性などを数値化して決定する。(詳細不明)
 ・各国への投資比率は半年毎に見直しを実施する。

そこで、現在の具体的な構成比率をみると次の通りとなっています。(TOP5のみ記述)

【Claymore Zacks Country Rotation ETF (CRO)】(2007/07/03)
 (1) 英国:25.00%
 (2) オーストラリア:12.83%
 (3) 香港:10.68%
 (4) スイス:9.00%
 (5) スェーデン:8.33%
 
ETFのファクトシートを見ても、インデックスのバックテストデータは掲載されておらず、現時点でファンドの成績を推測することは困難です。唯一できることは、ファンドの構成比率を見てトータルリターンを想像すること位でしょう。

そこで、他のグローバルETFの国別構成状況と比べてみました。

【MSCI EAFE Value Index Fund (EFV)】(2007/03/31)
 (1) 日本:23.39%
 (2) 英国:21.99%
 (3) フランス:9.10%
 (4) ドイツ:7.68%
 (5) スイス:7.03%

【Vanguard FTSE All-World ex-US ETF (VEU)】(2007/05/31)
 (1) 英国:16.90%
 (2) 日本:15.60%
 (3) フランス:8.50%
 (4) ドイツ:6.04%
 (5) カナダ:5.02%

【WisdomTree DEFA High-Yielding Equity Fund (DTH)】(2007/07/13)
 (1) 英国:27.37%
 (2) フランス:15.33%
 (3) オーストラリア:12.46%
 (4) イタリア:9.95%
 (5) ドイツ:6.62%

上記ETFはそれぞれユニバースが微妙に異なるので、単純比較するわけにも行かないのですが、それでも、CROが他の時価総額ベースや配当金ベースのETFとはまた異なるエクスポージャーを持っていることが判ります。

後は、どの様な成績を収めるものか、1年後の成績発表を待つよりはありません。..とは言え、キワ物好きの私としては、ちょっと仕込んでみたいと思わせるファンドだったりします。因みに、信託報酬は0.65%と、WisdomTreeと比べてもちょっとお高め。それに見合うだけのアルファを出せるか否かがポイントです。

2007年09月24日

PowerShares FTSE RAFI Emerging Markets Portfolio (PXH)

2007/09/27にPowerSharesから新たに5種のETFが上場されます。その内の4種がRAFIの考え方を用いたグローバルファンド。残る1種はベンチャーキャピタル等の、未公開株を扱うグローバル企業を投資対象にするセクター型ETFです。

この中で、私的に最も気になるのが掲題の「PowerShares FTSE RAFI Emerging Markets Portfolio (PXH)」です。

新興国株を投資対象とするETFとしては、EEM・VWO・DEMなど、微妙に味付けの違うものが組成されていますが、今回のPXHもまた違った特徴があり、PXHのウリは文字通りRAFIの考え方をベースにインデックスの組成比率を決定している点にあります。

RAFIの考え方に付いては今更触れるまでもありませんが、要は従来型の時価総額以外に、キャッシュフロー・売上高・配当利回り等のファンダメンタル要素を加えてスコア計算を行い、そのスコアに応じてインデックスの構成比率を決定しようと言うもの。

これまで、時価総額をベースにしたEEM・VWOに加えて、配当ベースのDEMが組成されて来ましたが、ここにきてRAFIを用いたPXHが登場したことで、新興国ETFにも役者が一通り出揃いました。

以下、新興国株ETF×4種について、特徴を一覧表にまとめます。

新興国ETF一覧表

それぞれのETFは構成比率の決定方法がそれぞれ違いますが、上位5国までの顔ぶれを見る限り、特に大きな違いはありません。強いて言えばDEMの構成比率が特徴的と言えば特徴的。

逆に、PXHの持つ特徴を挙げるとすれば、ネガティブな特徴ですが、信託報酬の高さが目に付きます。VWOに比べて3倍弱の信託報酬は、流石に高い。あとは、この信託報酬の高さを正当化するだけの、リターンが得られるか否かに掛かってきます。

リターンついては、実際に運用がスタートしてからの成績を評価するより無いわけですが、とりあえずインデックスのバックテストを見ると、5年運用時の年利が41.94%で、このときのシャープレシオは2.12と、なかなかの好成績。あとは実際の運用成績が出るのを待つのみです。

2007年10月05日

大証に中国株ETFが上場 (補足訂正あり)

本日の日経を読んでいると目を引くヘッドラインが!

http://www.nikkei.co.jp/kansai/news/news000287.html

こりゃ、「金ETFの上場で先行した大証がまたもややってくれた!」って言うニュースなんですが、よく読むと上海A株じゃないっすか。おそらく、ishers FTSE/Xinhua A50 China Tracker (2823.hk) を上場させるものと思われます。

この、海外のETFを上場させると言う大証の方向性には諸手を上げてエールを送りたい所ですが、「何故に今のタイミングでA株なのよ..。」と言う、間の悪さはちょっと否めません。「日本人とアラブ人が買い出したら相場も天井」と言うパターンにまたもやならないか心配です。

これが2823.hkではなくて2828.hkでしたら、私もDIAMのチャイニーズエンジェルを解約して乗り換えても良いと思うのですが、今更2823.hkにはちょっと二の足を踏んでしまいます。

まぁ、何事も遅々と進まぬ東証に比べて、大証の動きの早さは素晴らしいので、この調子でisharesの一連のETFを手始めに、海外の主要ETFを上場しまくって欲しい所です。

何れにしても、こうなると日本の投資信託は売れなく成りますね。「黄河」なんて言うバカ高い手数料を払い続ける投信を買う人は居なくなること間違いありません。

--------
(補足訂正)
今回上場するETFは野村アセットにより組成される新規のETFでした。まぁ、2823との大差ないと思いますが、一応別物は別物と言うことで..。信託報酬は1%弱で大差ありませんが、投資単位は今回のETFが7万円前後なので、2823.hkに対して大分お手軽になってます。買付に要するコストはメチャメチャ安くなりますから(2823に対して1/10位)、今回のETFの上場の意義はやはり大きいです。

こうなると、楽天やイートレで2823.hkを購入する人はまず居なく成りますね。今後、H株指数やSENSEX、Bovespaに連動するETFも上場されてくるとすれば、海外ETFを伸ばしてきた楽天やイートレの立ち位置も難しくなって来そうです。出来れば、楽天やイートレには、よりマニアックなETFの購入を可能にして欲しいところですが、販売側だけの意向でそれが出来るものでも無く、厳しいものがあるかもしれません..。

2007年10月09日

香港市場の目新しいETF

近々にHSBC Hong Kongに預ける定期預金が満期になることから、その振り向け先を検討してます。ファンドを買い付けるのがこれまでの方針なのですが、購入手数料を5%も払うのがちょっともったいない。最近は手数料割引キャンペーンも見かけないし..。

と言う訳で、ファンドの代わりに香港市場に上場するETFを購入する手は無いかと考えました。但し、HSBC Hong Kong は長期投資口座として使用しており、基本は長期でホールドできる銘柄を探す必要があります。

香港市場に上場するETFとしては、2801・2828・2823と言った銘柄が日本でも扱われており有名ですが、これらの大半は中国/香港の株式を対象としたもの。中国/香港株の価格は今現在でバブり始めてますので、長期ホールドの対象とするのはちょっとキツイ。

そこで、中国/香港以外の地域の株式を投資対象とするETFが、新たに香港市場に上場されていないか調べて見たところ、ありました。1年前には無かったETFも幾つか上場されています。

以下、中国・香港以外の株式を投資対象とするETFで、日本の証券会社の扱いが無いものだけピックアップしてまとめておきます。(注:投資単位の日本円換算は2007/10/05を基準にした、おおよその金額。)

(1) Lyxor ETF Commodities CRB (2809)
  投資対象:コモディティ総合 (Reuters/Jefferies CRB Index)
  基本通貨:香港ドル
  信託報酬:0.35%
  投資単位:250株(約9万円)

(2) Lyxor ETF MSCI India (2810)
  投資対象:インド株式 (MSCI India Index)
  基本通貨:香港ドル
  信託報酬:0.85%
  投資単位:50株(約10万円)

(3) Lyxor ETF MSCI World (2812)
  投資対象:グローバル株式 (MSCI World Index)
  基本通貨:香港ドル
  信託報酬:0.45%
  投資単位:10株(約2千円)

(4) Lyxor ETF MSCI Korea (2813)
  投資対象:韓国株式 (MSCI Korea Index)
  基本通貨:香港ドル
  信託報酬:0.65%
  投資単位:150株(約10万円)

(5) Lyxor ETF AC Asia-Pacific ex Japan (2815)
  投資対象:アジア太平洋地域株式(除く日本)
       (MSCI All Country Asia-Pacific ex Japan Index)
  基本通貨:香港ドル
  信託報酬:0.65%
  投資単位:10株(約6千円)

(6) Lyxor ETF NASDAQ-100 (2826)
  投資対象:ナスダック上場株式(NASDAQ 100 Index)
  基本通貨:香港ドル
  信託報酬:0.30%
  投資単位:100株(約10万円)

(7) Lyxor ETF Russia (2831)
  投資対象:ロシア株式(DJ RUSINDEX TITANS 10)
  基本通貨:香港ドル
  信託報酬:0.65%
  投資単位:100株(約7万円)


この中で、圧倒的に目を惹いたのが(3)のLyxor ETF MSCI World (2812)。MSCI World に連動するETFはある様であまりありません。これ1本あれば世界分散ポートフォリオが完成する訳ですから、インデックス派の人ならばコレ以上の選択肢はあり得ないでしょう。信託報酬も0.45%と十分許容範囲ですし、投資単位は格安です。これは、楽天やイートレでも是非扱って貰いたいETFだと思います。

(個人的には、(5)のアジア太平洋株式ETFと、(7)のロシア株式ETFも有力な投資対象です。)

2007年10月15日

PowerShares Emerging Markets Sovereign Debt Portfolio (PCY)

個人的に、以前から注目していたETFです。先週の10月11日より上場され取引可能となりました。このETF、トラッキングするのは「Deutsche Bank Emerging Market U.S. Dollar Balanced Liquid Index」で、新興国による米ドル建て国債のインデックスに連動します。

即ち、エマージングソブリン債(通称エマソブ)を投資対象とするETFなワケですが、私の知る限り、CEFはありましたが、エマソブを投資対象にするETFはこれまで存在せず、初めての組成になると思います。

具体的な投資対象は約17ヶ国の新興国の米ドル建て債券で、現在25種の債券に分散投資しています。ちなみに、現在の上位5種は、ウクライナ、ウルグアイ、南アフリカ、ベトナム、ブルガリアの国債で、全体の加重平均利回りは7.998%となっています。尚、各投資債券の格付けは"BBB+"以下で、平均では"BB"です。

最も気になっていた信託報酬については0.50%でした。これならば、一般のエマージング・ソブリン債ファンドは言うに及ばず、既存のCEFよりも格段に安い設定と言えるでしょう。(因みに、国際投信の所謂エマソブの信託報酬は1.65%)

インデックスのバックテストデータは、直近5年の利回りが17.80%で、シャープレシオは1.77と、取り合えず文句はありません。出来れば過去10年の利回りも知りたいところですが、データは公開されていませんでした..。

PCY.gif

流動性については、上場日こそソコソコな取引量がありましたが、2日目には激減しています。まぁ、長期投資前提の投資対象だと思うので、然して気にする必要は無いかもしれません。

取り合えず、僅かですが記念に打診買いしておきました。

2007年10月28日

Morgan Stanley Emerging Markets Domestic Debt Fund (EDD)

エマージングソブリン債への投資を考えた場合、ファーストチョイスは"PCY"で揺るがない所だと思うのですが、もう1つ気を惹かれるファンドがあったりします。それがこの、Morgan Stanley Emerging Markets Domestic Debt Fund (EDD)。

まず、このEDDですが、残念なことにETFでは無くてCEFです。では、何が魅力的かというと、現地通貨建てのソブリン債へ投資すると言う点。PCYは米ドル建てのソブリン債を投資対象にしていますが、こちらは現地通貨建て。即ち、債券の利回りに加えて為替の変動にも大きな影響を受ける訳で、もし将来的な米ドル安を予想するならば、PCYよりもEDDの方がリターンが大きくなってきます。(もちろん、逆もまた真なりですが..。)要は、バラツキがあっても、リターンを追求したい人にはEDDの方が面白い銘柄となるでしょう。

ここで、EDDの詳細を改めて見て行きます。まず、投資対象ですが、規約上はソブリン債に限定されている訳ではありません。社債への投資も可能です。尤も、現在のポートフォリオ構成を見る限り、ブラジル国債を筆頭にして7割方はソブリン債が占めています。

信託報酬は1.09%なので、ETFと比べると若干高めですが、日本国内で売られるエマソブ・ファンドに比べれば割安ですし、他のFixed Income系のCEFと比べても比較的安い方と言えると思います。

ここで、投資債券の平均利回りと平均デュレーションを知りたい所なんですが、モルスタのサイトを見ても、これら詳細情報は提示されていませんでした。(保有債券からあるていどの推測は出来ます。)
また、流動性は意外と高くて、Income系のCEFとしては寧ろ良い方とも言えるでしょう。少なくとも、約定に苦労する様な事態にはならないと思われます。

最近では、かのウォーレン・バフェット氏がブラジル・レアルをロングしていると言う噂も聞こえてきます。しかし、真似してブラジル国債に投資したいと思っても、なかなか良い方法がありません。ならば、このEDD辺りで我慢しておくのも一つのやり方ではないかと...。

2007年12月23日

Discount & Distribution

先週末のマーケットを見ると、「そろそろサブプライムローン問題も底が見えてきたのではないか?」と思わせる雰囲気も無いではありません。それならそうで、また次の一手を考える必要が出てきます。そして今、ちょっと注目しているのが、CEF(Closed-End-Fund)のディスカウントレートと分配利回り。先の急落局面から必要以上に売り叩かれてしまい、ディスカウントレートが上昇し、かつ、配当利回りも上昇しているファンドが多数見られます。基本的にETF派の私ですが、CEFが割安に放置されるなら、それに乗らない手は無いのではないかと...。

さて、CEFのディスカウントと利回りを調べようと思ったら、ETFConnectのサイトを使用する方法が手っ取り早い。Premian/DiscountとYeldのそれぞれでソートできるので、割安に売り込まれているファンドを容易にスクリーニングすることが出来ます。

..でもって、割安なファンドを探してみたワケですが、なかなか強烈に売り込まれているファンドが多数見つかります。しかし、そこはダテに売り込まれている訳でもなくて、結構胡散臭いものも混じってたりします。特にCDO等のサブプライムローン問題に関わってそうな資産を含むファンドは、さすがに怖い。いくらディスカウントレートが高くても、そもそもプライシングそのものが怪しいのでは、割安なのか割高なのか判りません。正に玉石混合。逆に言えば、「サブプライムローン問題とは無縁そうなファンドで、割安な水準まで売り込まれているファンドを探せば良いのでは?」と言う話でもあります。


以下、私が惹かれた割安と思われるCEFをピックアップするとこんな感じ。

(1) Morgan Stanley China A Share Fund (CAF)

筆頭はコレ。所謂、中国A株のCEFです。サブプライムローン問題とは別に、中国市場の急落を背景にして売り込まれてます。A株自身がバブル気味でしたので、下落も止む無い状況ですが、現在のディスカウントレートは-28.26%で、相当な割安水準と見ることが出来ます。(ちなみに、週末の急騰前の時点では、ディスカウントレートが-30%を越えていました。)中国市場の調整もそろそろ終わりと見るなら、FXIを仕込むよりもこちらのCAFの方が投資妙味がありそう。


(2) Morgan Stanley Emerging Markets Domestic Debt Fund (EDD)

所謂、エマソブを投資対象とするファンドです。現地通貨建てなのがポイント。これは、私が従来から保有していて、含み損を抱えてしまっている銘柄ですが、現時点でのディスカウントレートは-12.73%に達しており、一方で配当利回りは12.11%もあります。サブプライム問題から債券への投資は二の足を踏む状況ですが、本ファンドの保有銘柄の殆どはソブリン債なので、サブプライムローンによる汚染はほぼ無いものと思われます。


(3) Morgan Stanley Global Opportunity Bond Fund (MGB)

これも、モル・スタが組成する債券ファンド。ディスカウントレートは-14.04%に対し、配当利回りが13.53%と、EDDよりも更に割安です。投資先は新興国を含むグローバル市場で、投資対象もソブリン債を中心に社債などにも投資されます。投資範囲が広い分だけ、変な資産が含まれていないか不安がありますので、その分EDDよりも割安なのかも?只、EDDに比べて運用実績が長い点は評価できます。


(4) Evergreen Global Dividend Opportunity Fund (EOD)

エバーグリーンが組成する、グローバル好配当株ファンド。投資対象は欧米を中心とした、公益・エネルギー・通信セクターの株式です。現在のディスカウントレートは-14.54%、配当利回りは12.2%と相当な割安。保有資産を見ても特にサブプライムローンとの関連は見当たらず、なぜココまで売り込まれているのか、ちょっと理由が判りません。流動性もそこそこあり、特に問題は無い様です。なにか見落としているポイントがあるのか、それとも単なる売られ過ぎなのか、気になります。仕込んでみたい気はしますが、ちょっと悩ましい感じ。

2008年01月15日

DBAの購入について

偶然なんでしょうか、2人の方(カテナチオさん、ymaiさん)より同じ質問を同時に受けましたので、本エントリーにて回答させて頂きます。

質問は「DBA(PowerShares DB Agric)は何処で購入できるのですか?」と言う物ですが、先ず私の場合、米国の証券会社に開いている口座を利用して購入しています。問題は「国内証券会社で購入できるか?」と言うことですが、残念ながら国内のネット証券の類でDBAを扱っている所はないと思います。

最も海外ETFの扱いが多い楽天証券でもDBAは扱われていません。コモディティを扱うETFとしては、GSGが購入可能ですが、GSGが追従するインデックスの大半はエネルギー関連が占めていますので、これをDBAの変わりにするのはちょっと無理ですね。せめてDBCを扱ってくれれば良いのですが..。

良く判りませんが、寧ろ野村證券辺りに可能性が有りそうな気はします。野村證券のサイトの外国株式の項を見ると、

> お客さまからの注文を、その日のうちに外国にある証券業者(<野村>の海外現地
> 法人など)に送り、その日の現地市場で執行する取引です。取引が成立すると、外
> 国証券業者から<野村>に報告され、<野村>より、お客さまに取引報告をいたし
> ます。
> 取引の対象は、世界の主要市場に上場している株式です。ただし、対象市場であっ
> ても、個別に扱えない銘柄もありますので、取引可能な銘柄かどうかについては、
> <野村>の本・支店にご確認ください。

と書かれていますので、NY市場へのオーダーを通してくれるかもしれません。ダメもとで聞いて見ては如何でしょうか?

2008年03月17日

DBVウェイト変更

暫く動きの無かった、DBV(DB G10 Currency Harvest Fund)のインデックス構成に変化がありました。向う3ヵ月のウェイトは次の通りです。

 ■ロング :AUD, NZD, NOK
 ■ショート:CHF, USD, JPY
 
ロングからGBPが消えたのと、ショートにUSDが入ったのが注目でしょう。尚、JPYのショートポジションは変わらずです。(JPYのショートポジは不動っすね。)

2008年04月14日

China Fund (CHN)

ここへ来て、台湾関連株の動きが注目を集めています。転換点はやはり台湾の総統選挙。経済優先で中国との対話路線を採る馬候補が勝利したことで、相場的には好材料が着実に多くなってきています。

そして何より、ファンダメンタルが良好なのが台湾株の魅力です。そもそも、地政学的リスクで株価が安く抑えられてきた側面があるワケで、中台関係が改善すれば、バリュエイションの見直しが行われることは必然とも考えられます。ちなみに、台湾株の代表的ETFであるEWTのP/Eは12.33倍でしかありません。

ここで、台湾に投資する場合の銘柄ですが、筆頭候補はEWTで間違いありません。他のETFとしては、DGSやDEMは25%前後が台湾株で占められており、これらも一応候補になると考えられます。(ちなみにEEMやVWOでは10%前後まで下がってしまいます。)

では、CEFの方で何か面白いものは無いかと探してみますと、TWN・TFCと言った所が見つかります。これらは100%台湾株が占めるポートフォリオですが、今ひとつ華がありません。ディスカウントが-5%~-10%程度付いているのは良いのですが、信託報酬が2%近いというのが長期的には戴けません。これならEWTで我慢したほうが良さそうです。

そんな中で、1つ気になる存在が、掲題の "China Fund (CHN)" です。中国関連株式で構成されるポートフォリオですが、最新の状況で35%強を台湾株が最も大きい比率を占めています。香港株が28%で続き、H株が20%弱、A株は15%弱になります。

そして魅力なのがディスカウント。現時点で-20%程度付いており、設定来で最低レベルの水準になっています。また、信託報酬も1.08%であり、ETFには見劣りするものの、極端に高いものではありません。

中台の関係改善が両国の経済にプラス効果を齎すと考えるのであれば、CHNは1つの選択候補に成り得るものと思います。ちなみに、CEFにしては流動性もそこそこあるので(実際、DGSより遥かに多い)、売り買いに苦労することは無いと思われます。

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