GFエメラルドスターの2020に出資

粘りに粘った末に、エメラルドスターの2020(スマラグドス)への出資を決定しました。以下、その判断にあたって検討した内容を備忘録として書き残しておきます。


■種牡馬
父は2020年度で種牡馬生活を引退したハーツクライ。21年度産駒がラストクロップとなりますので、本仔はラス前の産駒となります。本仔の種付時の父年齢は18歳ですので、極端な老齢とは思いませんが、無理な種牡馬生活を続けるよりも、貢献馬に余生を長くとれる様にしてあげることは、あるべき姿の様に思えます。

そう言う意味で、種牡馬引退手前のハーツクライの産駒ですが、依然として活躍馬を出し続けており、現3歳馬からもドウデュースとノットゥルノの、芝と砂のダービー馬を輩出しています。ディープインパクトとキングカメハメハの去った今、本馬が種牡馬のトップであることに疑いはありません。本仔が種付けされた2019年の種付料は800万円で、翌年の種付料は1000万円に値上がりしています。

■牝系
本仔の母エメラルドスターは英国から社台Fが輸入した繁殖牝馬で、現役時代はチャートウェルフィリーズ(G3)を制した実績馬です。
日本での繁殖実績は本仔が4番仔になりますが、上3頭に中央勝ちした馬が出ていません。これが、本仔が安価に募集された要因の1つと考えられます。

但し、2つ上のサジェスは金沢で4連勝して中央復帰し、1勝クラスでも入着を繰り返していることから、いずれは1勝クラスを突破することに疑いはありません。また、兄姉が440Kg前後の小柄な馬格であったのに対し、本仔は一回り大きいサイズに出ていることから、タイプの異なる産駒であることが期待できます。

■配合
父ハーツクライと母系にディンヒルの血を有する牝馬はNIXの関係として知られており、府中牝馬S(G2)を制したシャドウディーヴァ、京王杯オータムH(G3)を制したカテドラルなど、なお現役の活躍馬を多数輩出しています。

ディンヒルの血を有することで気性面の不安が生じますが、本仔の場合、育成の初期にこそ気性面をケアするコメントが見られましたが、その後は特に問題視されることはありませんでした。順調に坂路の本数を重ねて来たことからも、気性面の不安は杞憂におわったと判断しています。

■駐立写真
募集時の駐立写真は一見して胴長短足の傾向で、スラっとしたハーツクライ産駒の特徴とは異なるもので、胸前とトモの筋肉を見ると、短距離適性すら感じさせます。これが、本仔の人気が伸び悩んだ要因の一つと想像するのですが、このシルエットは件のカテドラルの募集時写真と酷似しています。このことから、本馬の距離適正はハーツクライの様な中距離ではなく、カテドラルと同様のマイル前後にあるものと考えています。

また個人的には、肩が寝ている点と、脛が太いところが好評価するポイントです。さらに、関節の作りがガッチリとして見えることから、厳しいトレーニングにも耐えられるものと信じています。

■歩行動画
本仔に惹かれた最大のポイントは歩様です。まず、前肢の可動域が広く、前から大きく振り出されています。後肢は飛節が直線状に伸び切るところまでは行きませんが、角度は十分に付いており、最後まで地面を捉えています。また、前肢の着地点まで踏み込めており、問題はありません。脚が短い分だけストライドは狭くなりますが、関節の可動域がそれを補ってくれるものと考えます。ちなみに、拙出の可動域指数では0.12の過去最高スコアを示しています。歩行速度は標準的で、キビキビと歩けている点は好印象です。

一方で、筋肉は緩目に見えますが、プルプルした良い弾力性を感じます。この緩さに関しては、これまでの様子見期間を経て、「体質的に強いトレーニングが積めない」と言った問題の無いことを確認しており、何れは解消できるものと判断しました。

■誕生日と母年齢(参考1参考2
出産時の母年齢は9歳で、優れた産駒を輩出する可能性の高い年齢です。さらに、2代母との平均年齢は12.0歳であり、こちらも適正年齢と評価できます。兄姉の成績がイマイチ優れない母馬ですが、「アタリを出すなら良い頃合い」と期待を抱かせる年齢です。

また、本仔の誕生日は2月26日で、遅生まれで小柄な産駒の多いグリーンF募集馬の中にあって、至って標準的な日程感です。募集時の馬体重は436Kgでしたが、北海道から移動する時点では490Kg弱まで順調に増やしてきました。これで管囲が細いと心配ですが、募集時で20cmありますから全く不安はありません。

■生産と育成
社台Fの生産馬で育成も社台Fで行われて来ました。社台FはノーザンFと比較して坂路コースの無いことが弱点とされて来ましたが、これも数年前に完成して育成環境の明らかな見劣りは無くなりました。実際、本仔も1歳11月には坂路入りを開始しており、冬季を周回コースで乗り込んでいた過去の育成メニューとは隔世の感があります。この辺りは、近年の社台F生産馬の成績向上と全くの無関係ではないと思います。

■厩舎
預託先厩舎はグリーンFと関係の深い西園厩舎。常にリーディング上位をキープしており、昨年は24位、今年はここまで9位の好成績を残しています。また、個人的に重視する指標である、「クラブ馬勝ち上がり率=43%、クラブ馬回収率=138%」の成績は文句なしの及第点です。
一方で、得意条件は比較的短距離に寄ることから、ハーツクライ産駒との相性に疑問が残りますが、前述した通り、個人的に本仔の距離適性はマイル以下と判断しており、頑強そうな脚元と併せて、西園厩舎のハードトレーニングにマッチするものと考えています。

■価格
募集総額は2000万円。拙出のプレミアム値は-271となり、ディスカウントクラスに判定されます。社台F生産馬でディスカウントクラスの馬は「危ない募集馬」と判断されるのですが、本仔の場合は安価に募集された理由が「OCD手術に因るもの」と明らかになっています。これは募集開始時点では明らかなリスク要因となりますが、これまでの様子見期間を経て、当該リスクは完全に解消されたと考えることが出来ます。言い換えれば、本リスクが解消されたことで、「本仔はお得な募集馬に変貌した」と考えることが出来ます。

■テシオ理論
優先祖先は母系のRound Table。世代が深いため、脚質判断に用いるには無理があります。一方で、テシオ理論的に本仔を評価するところは「母エメラルドスターのMAX活性期の産駒」である点で、基礎体力値も72%の高スコアを示しています。

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