月末にはグリーンFの本年度募集馬が発表される時候となったところで、今年も恒例ネタである「去就の明らかになっていないグリーンF縁故馬の中から募集されて欲しい馬」をピックアップしたいと思います。
只、昨年の所謂アワブラが極めて豊作であったのに対し、正直なところ今年は小粒感が否めません。そんな状況ではありますが、個人的な期待度の高い仔から順に種牡馬毎にリストアップをして行きます。ちなみに昨年は10頭ピックアップして6頭が募集に掛かってくれました。
1.シングシングシングの2025
父 :ナダル
母父 :ヨハネスブルグ
性別 :牡馬
毛色 :鹿毛
誕生日:2025年3月18日
母年齢:10歳(4番仔)
生産 :那須野
母優先:あり
今年の期待馬の1番手はシングシングシングの2025としました。一部の例外を除いて高額種牡馬の産駒はグリーンFでは募集されないなかで、ナダルは種付け料と成績のバランスが良い種牡馬と言えます。基本的にダート馬を産出する種牡馬であることから大物は出難い状況ですが、牡牝を問わず勝ち上がり率が高く、仕上がりも早いナダル産駒はグリーンFにはマッチした種牡馬であると思います。リーディングこそ30位台に留まりますが、AEIは年を重ねるに連れて上昇を続けています。生産頭数も現2歳馬からは倍増しますので、リーディングもこれから急上昇して行くと想定できます。
2勝馬の母シングシングシングはグリーンFと所縁の強い牝系で、本仔はその4番仔。2番仔と3番仔はグリーンFから募集されていることから、本仔が募集に掛かる蓋然性は高いと言えます。2番仔のアイムシンキングは育成段階の骨折により未出走のまま引退。3番仔のメジャーシンガーはデビュー前で、兄姉に中央勝利の実績はありません。只、2番仔も3番仔も募集時の好馬体が目立ちましたから、何れは活躍馬を出す牝系であると思います。
血統的にはナダルとStorm Cat系牝馬の配合からOP馬クレーキングが出ており相性は良好。また、AP.Indyをクロスするナダル産駒は(クレーキングを含めて)4頭全てが勝ち上がっています。
ところで、今年のグリーンFのアワブラにはナダル産駒が複数存在し、ストロボフラッシュの2025、ミラクルレジェンドの2025、フラワードラムの2025がそれに当たります。この中でストロボフラッシュは情報更新が滞っており育成段階でのトラブルが懸念されますが、ミラクルレジェンドがグリーンから募集されればシングシングシングと並ぶ注目馬になると思います。フラワードラムと併せて、今年はグリーンFから複数のナダル産駒が募集される可能性が高いものと予想しています。
2.ナスノシンフォニーの2025
父 :サートゥルナーリア
母父 :ハーツクライ
性別 :牝馬
毛色 :黒鹿毛
誕生日:2025年4月15日
母年齢:10歳(4番仔)
生産 :那須野
母優先:なし
2番手は那須野牧場を代表するナスノシベリウス牝系からナスノシンフォニーの2025をピックアップします。今やナスノシベリウス牝系は枝葉を広げ、ナスノフォルテに至っては数減らしを目的としてなのか、繁殖牝馬セールで売却されるまでに至りました。しかし、今年度の募集に関しては不運が重なって産駒が少なく、現時点で去就の明らかになっていない産駒は、本仔のみと言う状況です。何とか今年もグリーンFからシベリウス牝系の産駒を期待する中で、本仔が募集されることを切に願ってやみません。
ナスノシベリウスの長女にあたるナスノシンフォニーはホープフルSで5着に入った活躍馬で、故障を乗り越えて3勝クラスまで上がりました。本仔はその4番仔で、父サートゥルナーリアとの組み合わせは3番仔タピオランに続いて2年連続の配合になります。本仔の推しどころはこの血統構成で、「父サートゥルナーリアx母父ハーツクライ」はカバレリッツォ・フェスティバルヒルの重賞勝馬と同一の配合になります。サートゥルナーリアの配合としてはNICSの関係にあると言って良いでしょう。
一方で気になる点はナスノシンフォニー産駒の成績が今一つパッとしないこと。1番仔のナスノソナタは未勝利のまま障害に転向。漸く今年に入って、2番仔のサンヴィクトワールが産駒の初勝利を上げた状況です。もちろん、今は厳しい評価を下す段階ではありませんが、期待度が一枚剥落しているのも事実であり、極端な募集価格の高騰は防げるものと思います。
3.アンデスクイーンの2025
父 :クリソベリル
母父 :タートルボウル
性別 :牡馬
毛色 :栗毛
誕生日:2025年3月7日
母年齢:11歳(5番仔)
生産 :ノーザンF
母優先:あり
3番手はお馴染みのアンデスクイーン産駒。本仔は母アンデスクイーンの5番仔で、父は3番仔クイーンズドリームと同じクリソベリルです。アンデスクイーンの産駒はこれまで4頭全てがグリーンFに卸されており、本仔も同様に募集される蓋然性は高いと言えます。
兄姉4頭は何れも高い人気に推されており、母馬優先権の無い会員が出資するには相当な実績が必要な状況です。おそらく本仔についても人気は変わらないと思われますが、それでも気になるのは父クリソベリルの評価になると思います。
全姉クイーンズドリームも3戦目で勝ち上がりを決めましたが、昇級後の戦績を見ると、アンデスビエント・レイナデアルシーラの2頭の様な突き抜けた強さは感じられない気もします。これには父クリソベリルの繁殖能力が影響していると考えると、同父の本仔についても絶対的な安心感は持ち難い気がします。この辺りを募集価格との兼ね合いでどの様に取捨するかが悩み所になりそうです。昨年募集されたマインドユアビスケッツの牡馬は4000万円の募集でしたが同額の募集になると過度な人気は避けられるかもしれません。
4.シネマソングスの2025
父 :ホッコータルマエ
母父 :ハーツクライ
性別 :牡馬
毛色 :鹿毛
誕生日:2025年3月2日
母年齢:10歳(4番仔)
生産 :那須野
母優先:なし
4頭目もグリーンFではお馴染みの牝系からシネマソングスの2025をチョイスします。シネマソングスの産駒は兄姉3頭が全てグリーンFから募集されており、本仔が募集されることも規定路線と考えて良いでしょう。本仔はその4番仔で初仔で3勝クラスのグレイテストソング以来の牡馬になります。
本仔のスペック上のポイントは父ホッコータルマエに尽きると思います。ホッコータルマエの種牡馬成績は中央競馬でこそ目立ちませんが、地方競馬に限定すれば着実に成績を上げ続けており、昨年度からは賞金リーディングのトップを維持しています。
中央競馬に目を戻すと通算AEIは0.83に留まりますが、通算CPIも0.76と低調であり、AEI/CPIが1を超えています。つまり馬質が悪い中でも結果を出す種牡馬と評価出来ます。ちなみに昨年のマーチSを制し、フェブラリーSでも4着に入ったブライアンセンスはホッコータルマエ産駒です。
5.サザナミの2025
父 :ゴールドシップ
母父 :ディープインパクト
性別 :牡馬
毛色 :芦毛
誕生日:2025年4月27日
母年齢:13歳(6番仔)
生産 :社台
母優先:あり
続いてピックアップするのは、馬体重が僅か400kg前後の馬体でオープン馬に上り詰めたサザナミの6番仔です。しかし、母の小さな馬体が産駒にも遺伝してしまい、既出走の4頭は何れも中央で勝利を上げることが出来ていません。グリーンFからも過去にスズナミとリプレットの2頭が募集されていますが、何れも馬体が小さく最高着順は3着止まりでした。
ここで妙味を感じるのが父ゴールドシップ。敢えて社台スタリオンの外で種付けを行った意図は産駒を大きく出すことを期待したものと推察しています。勝ち上がり率ではイマイチ冴えないゴールドシップ産駒ですが、昨年の賞金リーディングは12位で、社台スタリオン外では最上位に位置します。もっとも、これはメイショウタバルの大活躍に依る所が大きいので、その点には留意する必要があります。
一方で、社台F生産のゴールドシップ産駒は既出走13頭中の6頭が勝ち上がっており、勝ち上がり率は46%。さらに牡馬に限れば勝ち上がり率67%、2勝馬率50%と優秀です。
ステイヤーの父にスプリンターの母を配合すると言う、「破れかぶれ感」の否めない組み合わせですが、これまでの産駒の不振を覆す様な一発を期待したいところです。何れにしても充分な馬格に出ることが出資には絶対条件なので、募集された暁には測尺が要注目となります。
6.ファビュラスギフトの2025
父 :ブリックスアンドモルタル
母父 :エイシンフラッシュ
性別 :牡馬
毛色 :栗毛
誕生日:2025年2月10日
母年齢:9歳(3番仔)
生産 :社台
母優先:あり
6番手は半兄ビスケットアソートが末脚を一閃して勝ち上がりを決めた、ファビュラスギフトの3番仔です。本仔の第一の評価ポイントは母の年齢と3番仔である点。繁殖牝馬としては最も脂の乗ったタイミングでの産駒と言えます。加えて初仔のビスケットアソートが勝ち上がりを快勝で決めたことも大きな評価材料です。ビスケットアソートは「2勝~3勝は期待できる器」と判断すると、本仔の期待値も必然的に高くなります。
父がブリックスアンドモルタルに変わる点についてはダート適性と距離適性の面で評価に悩むところですが、少なくともイーグルノワールが兵庫ジュニアグランプリで短距離ダートを制していますので、全くの適性外と言うことは無いはずです。
ブリックスアンドモルタルの種牡馬成績は着実に向上してきており、育成のポイントが明らかになれば更なる上昇も期待できるでしょう。なお、預託先が母・兄と同じ武英知厩舎になった場合は評価を1ランク上げたいと思います。
7.サムシングジャストの2025
父 :ウエストオーバー
母父 :ヴィクトワールピサ
性別 :牝馬
毛色 :黒鹿毛
誕生日:2025年4月6日
母年齢:9歳(3番仔)
生産 :那須野
母優先:あり
続いては母が府中牝馬(G2)で3着の成績を残したサムシングスイートの3番仔。イーブンベター、サムシングスイートの半姉2頭が勝ち上がりを決めています。また、本仔も出生時の母年齢が9歳で、ファビュラスギフトの2025と同じく繁殖牝馬としてはベストの年回りになります。
父ウエストオーバーは欧州から輸入された新種牡馬で、優駿スタリオンに繋養されています。現役時代はアイリッシュダービーを7馬身の大差で制しました。また、ドバイシーマクラシックではイクイノックスの後塵を拝したものの、2着に好走しています。戦績的にはクラッシックディスタンスを主戦場にしていることから、産駒の距離面の不安は少ないと思われますが、瞬発的なスピード能力は蓋を開けてみるまで分かりません。
牝馬に出た点は残念ですが、2頭の半姉が手堅く走っていることから一定の活躍は期待できると思います。
8.スウィートプロミスの2025
父 :シュネルマイスター
母父 :モーリス
性別 :牝馬
毛色 :黒鹿毛
誕生日:2025年2月23日
母年齢:6歳(初仔)
生産 :那須野
母優先:あり
次も新種牡馬の産駒でスウィートプロミスの初仔をピックアップします。母スウィートプロミスは祖母アースサウンドから連なるグリーンFとは縁故関係の強い牝系であり、スウィートプロミス自身もグリーンF所属馬で、芝とダートの両方で短距離戦を3勝した活躍馬です。
父シュネルマイスターは本仔が産駒の初世代となる種牡馬で、現役時代はNHKマイルを始め、マイル重賞を3勝した活躍馬です。母父共にスピード能力に秀でていたことから、その産駒もスピードに優れることが期待できます。
一方で懸念材料はアースサウンド産駒に散見される脚部と喉の不安です。スウィートプロミス自身はこれらのトラブルとは無縁でしたが、隔世遺伝のリスクは否定できません。特に本仔はスウィートプロミスの初仔であり、兄姉の実績からリスク度合いを推し測ることも出来ません。アースサウンドの牝系は好馬体の産駒が多く、一見して募集意欲が高まるのですが、出資判断には喉と脚部の疾患のリスクは厳しく吟味したいところです
なお、父シュネルマイスターとの配合については、ファストアズエバーの2025(牝)も同様にグリーンFの縁故馬であり、募集される蓋然性は高そうです。
9.アースサウンドの2025
父 :ホッドロッドチャーリー
母父 :Yes It’s True
性別 :牡馬
毛色 :鹿毛
誕生日:2025年2月23日
母年齢:18歳(11番仔)
生産 :那須野
母優先:あり
9頭目はスウィートプロミスの2025と同一牝系からアースサウンドの2025をピックアップします。スウィートプロミスの2025の項で言及した通り、アースサウンド牝系の産駒には脚部と喉の疾患が懸念されるのですが、そこに留意をしつつも注目をしたい点が種牡馬のホットロッドチャーリーです。
ホットロッドチャーリーは現役時代にペンシルバニアダービーを制した輸入種牡馬で、初年度産駒が今年デビューした新種牡馬です。特に地方競馬を主戦場に好スタートを切っており、中央競馬については現時点でデビュー済みの馬は1頭のみですが、それも芝1600で僅差の2着に入りました。上り3Fで33秒台を記録するなど、優れた種牡馬能力の片鱗を現わしています。この流れで行けば種牡馬としての人気化も予想されることから、出来れば青田買いで出資をしておきたいところです。
只、前述の通りアースサウンドの産駒はトラブルの多い点が懸念材料であり、出資判断に当たっては極めて慎重な判断が不可欠です。母が高齢である点も踏まえて、本仔を今年の特別提供馬に選んで貰えれば、間違いなく盛り上がると思います。
10.エイシンバンバの2025
父 :シャンハイボビー
母父 :Rock Hard Ten
性別 :牡馬
毛色 :黒鹿毛
誕生日:2025年4月14日
母年齢:13歳(7番仔)
生産 :那須野
母優先:あり
最後にピックアップするのはエイシンバンバの2025です。エイシンバンバの産駒は過去にルヴァンヴェールとサミアドが特別提供馬として提供をされており、2頭共に2勝クラスまで上っています。本仔はその7番仔で、サミアドの全弟となります。
シャンハイボビー産駒の日本国内の成績は然して目立つものではありませんが、サミアドの全弟である点で配合上の不安はありません。エイシンバンバの産駒は好馬体の仔が多く、安心安全の出資対象になります。
なお、エイシンバンバ自身は昨年の繁殖牝馬セールにて売却済みであることから、その産駒がグリーンFから募集される可能性は本仔が最後になります。