2026年度グリーンF募集馬の発表②

2026年度グリーンF募集馬のカタログスペックを確認したところでの第一印象を簡潔に記すシリーズの後半です。(前半はこちら

※ 馬名の前の■をクリックするとnetkeibaの当該馬の頁が開きます。


スイートプロミスの25(父シュネルマイスター)ハシモトファーム

母スウィートプロミスは母母アースサウンドから連なるグリーンFとは縁故関係の強い牝系です。母スウィートプロミス自身も元グリーンF所属馬で、芝とダートの両方で短距離戦を3勝した活躍馬です。本仔はその初仔。ここで本仔の懸念材料はアースサウンド産駒に散見される脚部と喉の不安です。スウィートプロミス自身はこれらのトラブルとは無縁でしたが、隔世遺伝からのリスクには注意が必要でしょう。

父シュネルマイスターは本仔が産駒の初世代となる種牡馬で、現役時代はNHKマイルを始め、マイル重賞を3勝した活躍馬です。母父共にスピード能力に秀でていたことから、その産駒もスピードに優れることが期待できます。

スピード能力に長けた配合であることから能力に期待感のある本仔ですが、出資に当たっては喉と脚のリスクを十分に見極めたいところです。

ファストアズエバーの25(父シュネルマイスター)ナスノファーム

5勝を上げた3代母ファストアズライトから連なるグリーンFではお馴染の牝系。近親からは多数のクラブ所属馬が出ており、母ファストアズエバーも元グリーンF所属馬で新潟1000直を2勝した快速馬でした。本仔はその3番仔。

問題は初仔でグリーンFから募集されたキャストアイズミーが全く走らなかったこと。一定のスピードはありましたが、全くスタミナが無く、1000Mすら走り切ることが出来ませんでした。心肺機能に問題があったのか不明ですが、募集時点で見極められなかったことから、本仔についても早計な評価は出来ないと考えられます。

父シュネルマイスターについてはスイートプロミスの25の項を参照のこと。スイートプロミスの25と同様、本仔も配合的にピード能力への期待感はあるのですが、出資判断に当たってはスタミナ不足のリスクの見極めが最優先でしょう。

レッドオーラムの25(父シュネルマイスター)ノーザンファーム

タッチフォーゴールドから連なる牝系で、伯父タッチミーノットが中山金杯を制しています。また、従弟にあたるセネッティは元グリーンF所属の準OP馬です。一方、母レッドオーラムは芝のマイル前後で3勝を上げていますが、グリーンFとの縁故関係はありません。本仔はその5番仔ですが、中央の勝ち鞍は1勝のみ。兄姉の活躍度は期待レベルに達していません。

父シュネルマイスターについてはスイートプロミスの25の項を参照のこと。本仔もマイラーの母と父の配合であり、産駒のスピード能力に不安は無いものと考えます。

今年はグリーンFではシュネルマイスターの牝馬がまとめて3頭募集されましたが、その中では本仔が最もリスク度合いが小さく、堅実な募集馬の様に思えます。

オータムフラワーの25(父ダノンレジェンド)社台ファーム

母母Sharplaw Autumnは非常に仔出しの良い繁殖牝馬で4頭の産駒が全て海外で複数勝利を上げています。そして母オータムフラワーも海外で3勝を上げ、サンタマルガリータS(G1)で3着の好走をしています。本仔はその5番仔。

父ダノンレジェンドは比較的晩成傾向の活躍馬で4歳秋にOP入りを果たすと、そこから重賞を9つも制覇しています。引退レースとなったJBCスプリント(Jpn1)で勝利を上げ、最終的にG1馬に上り詰めました。引退後はイーストスタッドで種牡馬生活に入り、必ずしも繁殖の質に恵まれない中でもハッピーマン、ミッキーヌチバナの重賞馬を輩出しています。通算CPIは0.8ですが、AEI/CPIは1前後を示しており、能力の低い繁殖をそれなりに走らせる種牡馬と言うことが出来ます。

ちなみに、Mr.Prospectorの父母間クロスを有する産駒はこれを持たない産駒と比較してAEIが2倍弱高い成績を残しています。ミッキーヌチバナ・ハッピーマンのダノンレジェンド代表産駒もこのクロスを有しており、本仔もこの条件をクリアしています。

コムの25(父パリスマレス)社台ファーム

母コムは仏から輸入された繁殖牝馬で、現役時代は仏オークス(G1)と仏1000ギニー(G1)で何れも2着の好成績を残した活躍馬です。本仔はその3番仔。2番仔の混むユンプリュムはG1レーシングから募集され、現時点で芝マイル+で3勝を上げています。

父パリスマレスはベルモントS(G1)、メトロポリタンH(G1)を始め、重賞を6勝した活躍馬です。4歳時に菅骨に骨挫傷が発生し、競争困難と診断されたことで若くして繁殖生活に入りました。その初年度産駒からブリーダーズカップ・ジュヴェナイルターフ(G1)を制した素トラクター出ています。さらに日本国内でも輸入産駒のジャンタルマンタルがG1を4勝する大活躍を示し、ノーブルロジャーもシンザン記念(G3)を制しています。
そして、2024年に海を渡り日本で繁殖生活を開始。ダーレージャパンスタリオンにて繋養されています。本仔の種付け料は350万円。

この様な海外の優良牝系とパレスマリスの配合産駒がグリーンFから募集されたことは正直に驚きです。本仔の場合、募集価格がリーズナブルですと訳ありが大きく疑われますので、ある程度高い値付けであれば期待感は高くなると思います。また、OCDの様な対処可能な訳ありであれば、積極的に買い向かいたいところです。

クライミングリリーの25(父ブリックスアンドモルタル)社台ファーム

本仔の母母コンスティッドは海外G1を3勝した活躍馬。繁殖牝馬として日本に輸入された後も、金鯱賞と中日新聞杯を制したギベオンを産出しています。これまでにコンスティッドの産駒は9頭いますが、既走馬7頭の全てが勝ち上がり、5頭が複数勝利を上げていることから、コンスティッドはダブルコピー牝馬と考えて差し支えないでしょう。
そして、本仔の母クライミングリリーも芝1800で3勝を上げ、3勝クラスでも2着×2回とオープン入り一歩手前まで進んだ活躍馬でした。血統的にクライミングリリーもまたダブルコピー牝馬と推測できます。本仔はその初仔。

父ブリックスアンドモルタルはBCターフを始めとして海外G1を5勝・重賞8勝を上げた活躍馬で、社台スタリオンが鳴り物入りで導入しましたが、初年度産駒の成績はその期待レベルに及びませんでした。しかし、繁殖を重ねるにつれて産駒の成績は向上をし続け、現クラッシック世代のAEIは平均ラインを超えてきました。繁殖牝馬の質を考えると「まだ物足りない」とは言えますが、今年に入ってからもダイヤモンドノットとゲルチュタールが重賞を制した様に、配合と育成のポイントが見出されつつあることは間違いないでしょう。トラック適正は基本的に芝>>ダートですが、初年度からアンモシエラが出た様に、ダートが全くダメではありません。

3/4同血の近親ハウリングウィンド(現4歳)もダートで勝ち上がり、1勝クラスでも3着×2回とクラス突破が視野に入っていることから、本仔も配合上の不安は少ないものと思います。社台の優良繁殖牝馬と社台SSが推すブリックスアンドモルタルの配合と言うことで、初仔でなければグリーンFからの募集は無かったと思います。穿った見方をすれば、尺が小さく出ていないかの注意は必要でしょう。

シネマソングスの25(父ホッコータルマエ)ナスノファーム

母母アースリヴィングを始めに全ての産駒がグリーンFから募集されている、クラブを代表する牝系です。アースリヴィングは3勝馬ですが、兵庫JRグランプリ(Jpn2)で2着、UAEに渡ってオークスと1000ギニーで2着を記録しています。母シネマソングスは重賞タイトルこそありませんが、OP馬として重賞を5戦しました。本仔はその4番仔。初仔の半兄グレイテストソングは現在3勝クラスに上っており、本仔はグレイテストソング以来の牡馬になります。

父ホッコータルマエは生涯17勝を上げ、交流受賞を含めたダート重賞を17戦も制した大名馬です。繋養先が優駿Sであることと名前が今一つダサ目なことが原因なのか、繁殖牝馬の質に恵まれておらず、中央競馬での種牡馬成績は父の成績に比して目立っていません。しかし、地方競馬に限定すれば着実に成績を上げ続けており、昨年度からは賞金リーディングのトップを維持しています。

ちなみに、中央競馬に目を戻すと通算AEIは0.83に留まりますが、通算CPIが0.76と低調なことから、AEI/CPIは1を優に超えています。つまり馬質が悪い中でも結果を出していることに他なりません。昨年のマーチSを制し、フェブラリーSでも4着に入ったブライアンセンスはホッコータルマエ産駒です。

本仔の兄姉をみると、シネマソングスはダート1600-1800に適性のある仔を出すことから、ホッコータルマエとの配合は好相性であると期待しています。ダート馬であることを前提にして、牡馬に出たことで馬格も増えれば、グレイテストソングを超える活躍馬に成長することを期待したいところです。

ハルワタートの25(父マインドユアビスケッツ)社台ファーム

3代母ロンドンブリッジから連なる筋の通った牝系。近親にビッグプラネット・グレーターロンドンなどの重賞馬がおり、母母ダイワエルシエーロはオークスを制しています。母ハルワタートは短距離ダートを2勝して引退し、下河辺牧場で繁殖生活に入りました。

その後、ハルワタートは2025年の繁殖牝馬セールに上市され、本仔を受胎した状態で社台ファームに落札されました。落札価格は5000万円で、これは当該セールの最高落札額であったことからも、ハルワタートが社台ファーム期待の繁殖であることは疑いありません。

以上の経緯から、本仔の種付けは下河辺牧場で行われ、出産以降は社台ファームにて行われています。初仔のナダル産駒(現3歳)は現時点で未出走。翌年は流産で産駒なしのため、本仔の兄姉に競走実績はありません。

父マインドユアビスケッツは米国からの輸入種牡馬で、現役時代にはドバイ・ゴールデンシャヒーンを連覇する大活躍をしています。短距離ダート馬のマインドユアビスケッツですが、その産駒にはスピード能力を伝えるのか、ダートに限らず芝のマイル~中距離で走る馬を出しています。特に初年度産駒からUAEダービー(G2)を制したデルマソトガケを出した影響は大きく、本仔はその戦績が出た後の種付けになります。

留意すべきはマインドユアビスケッツにコルトサイアーの傾向が見られること。牝馬に出た本仔としては注意をすべきファクターです。もっとも、昨年の中京記念を制したマピュースはマインドユアビスケッツの牝馬ですから、ノータイムで切り捨てることは避けるべきと思います。

コンテッサトゥーレの25(父モーリス)社台ファーム

エアトゥーレから連なる名牝系。近親にアルティマトゥーレ・キャプテントゥーレ・クランモンタナ・シルヴァーソニックなどの重賞馬が多数存在しています。母コンテッサトゥーレも桜花賞で3着の好成績を残しました。本仔はその7番仔。5番仔のカステッロトゥーレ(父エピファネイア)もグリーンFから募集されていますが、現時点で勝ち上がりには至っていません。カステットトゥーレを含めて馬格の小さな産駒が多く、上が期待レベルの成績を残せていない点が気になるところ。

父モーリスはマイル路線を中心に重賞を7勝した名馬。香港マイルと香港Cの海外重賞を2勝した点が光ります。繁殖入りした後も着実にスピード能力の高い活躍馬を出し続け、今年もアドマイヤズームとゾロアストロが重賞を制しています。活躍馬が牡馬に偏っている点には留意をしておきたいところですが、本仔と同じモーリスーディープインパクトの配合からはG1馬ジェラルディーナが出ていますので、過度な懸念は無用でしょう。ちなみに、母系にLyphardの血を2本有する点も本仔とジェラルディーナの共通点です。

何れにしても本仔の出資判断に当たっては、真っ先に測尺をみて小さければ避けるのが無難でしょう。反対に尺があれば妙味は大きいと思います。

レイアネラの25(父モーリス)ノーザンファーム

ローズS(G2)で2着を記録したシュルズレイから連なる牝系。レイアネラの兄姉にはG1馬レイパパレ・シャイニングレイが存在する良血ですが、レイアネラ自身はキャロットから募集されるも未出走のまま引退をしています。本仔はその2番仔で、昨年のノーザンファーム・ミックスセールに上市され、那須野牧場が1900万円で落札した経緯があります。ちなみに、初仔のシルキースカイはセレクトセールにて4510万円で落札されましたが現時点で未出走のため、現時点で兄姉の競走実績はありません。

父モーリスに関してはコンテッサトゥーレの項を参照のこと。血統背景や配合的にはコンテッサトゥーレの25の方が妙味を感じるのですが、レイアネラの25はミックスセールの上市馬と言うこともあり、脚部やその他疾患のリスクは小さいものと考えられます。育成もノーザンFに預託可能であれば、無形の付加価値は大きいと思われます。

最大の注目ポイントはミックスセール落札価格の1900万円に対して募集価格が幾らで設定されるかでしょう。

ヴァイオリンソナタの25(父レッドファルクス)社台ファーム

米国産馬ファーストバイオリンから連なる牝系で、伯父にシルバーコレクターとして名高いサウンズオブアースの居る血統です。母ヴァイオリンソナタ自身は4戦して見所なく未勝利のまま引退。本仔はその4番仔で、2番仔で全兄のソナタンが現在1勝クラスに進んでいます。3番仔のコロッセウムは3歳5月時点で勝ち上がれず、早々に見切りをつけて盛岡競馬に移籍して重賞戦線に挑戦中です。

父レッドファルクスはスプリンターズS(G1)を連覇した快速馬。引退後はレックススタッドにて種牡馬生活に入りましたが年を経る毎に種付け数を減らしており、種付け料も減額されています。産駒の勝ち上がり率も芳しく無く、重賞勝ち馬も出ていないことから、種牡馬としては完全に先細っている状況です。

社台ファームが何を意図してヴァイオリンソナタにレッドファルクスを配合したのか不明ですが、全兄ソナタンの実績を頼りにしているのであれば、ソナタンが1勝クラスを突破出来るのか否か、ウォッチをして行きたいと思います。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする