YGG2歳募集馬の様子見

YGGの会員になって早1年が経過しましたが、クラブのマネージメントには概ね好感を持っています。バイヤー系の宿命なのか、馬質に対して募集価格が若干高めには感じますが、その他の経費は無駄が抑えられている印象です。個人的に重視する「様子見し放題」の条件はクリアしていますので、「もう少し全体成績が上がってきたら、メインクラブに切り替えても良いかな」と思ってしまう位、好評価をしています。

さらに、ラインオブフェイトが首尾よく勝ち上がりを決めてくれたことを受けまして、現2歳馬についてもYGG募集馬への出資を決定した次第です。そこで今回は、様子見中の募集馬について、現在評価を備忘録的に残しておきたいと思います。以下、個人的に惹かれる順番に記述します。

※ 2000万円を超える募集馬については、最初から出資候補から除外しています。これらの募集馬については「2勝クラスで勝ち負け出来る能力」が期待されますが、現状のYGGの成績からは敷居が高い印象です。

※ ミニヨンルミエールとヴェルトクリーガーの記載に誤りが見つかりましたので訂正させて頂きました。2021/3/26

※ ドライスタウトの記載に誤りが見つかりましたので訂正させて頂きました。2021/4/18

1.ディオアステリア

父 :ザファクター
母 :バアゼルザウバー(シンボリクリスエス)
厩舎:(美浦)小野次郎厩舎
価格:1100万円

コストパフォーマンスを考慮した総合的な判断から、本仔を様子見の1番手にしています。北海道サマーセールにて495万円で購入されており、募集にあたって605万円の経費が上積みされています。

まず、本仔を最も評価したポイントはトモの大きさと脛の太さです。特に脛の太さには目を惹かれます。肩の角度が寝気味で距離が持ちそうな点も好評価。測尺は管囲が20cmを越えていますし、馬体重も520Kg台と雄大です。

父馬のザファクターは1年限定のレンタル種牡馬であり、希少性を含めてバイヤー系ならではの募集馬と言えます。ザファクターの産駒は芝ダートを問わず走っている点も魅力的です。母父シンボリクリスエスの産駒は仕上がりが早く、早期始動が求められる近年の要求にマッチします。

小野厩舎はリーディングこそ目立ちませんが、2021年は好調なスタートを切っていますし、何よりYGGとの相性が良好です。厩舎を評価する際に個人的に重視する指標が「クラブ馬回収率」と「クラブ馬勝ち上がり率」なのですが、これが各々100%と46%になります。クラブ馬勝ち上がり率の46%は十分評価に値するものです。

一方で、「減点材料の特に見当たらないところ」が本仔を評価するポイントです。筋肉の質感がもう一つだったり、動かして目立つところも無いのですが、反対に変なクセがありませんし、水準はクリアしていると思います。募集価格を考えれば、欲はかけない所でしょう。

そして最後に本仔に惹かれる理由が、オカルトですがテシオ理論による血統分析です。母バアゼルザウバーは本仔の種付け時がMAX活性期にあたり、基礎体力の底上げが期待されます。さらに、優先祖先が母系のサンデーサイレンスである点が大きな魅力です。サンデーサイレンスを優先祖先に持つ産駒は何気に走ってくることが多いと評価していると同時に、芝ダートを問わない父ザファクターの特徴とも合致します。

2.ドライスタウト

父 :シニスターミニスター
母 :マストバイアイテム(アフリート)
厩舎:(栗東)牧浦充徳厩舎
価格:1980万円

様子見の2番手はドライスタウトです。ぶっちゃけ、馬体の出来のみで評価するならば本仔がNo1だと思います。管囲と馬体重が十分あるところは当然として、何よりも動かした姿が目を見張ります。ボリュームのある筋肉は質感も良く、関節は柔らかく見えます。キビキビとした歩速からは運動神経の良さを感じます。

一方で、肩が立ち気味でスタイルは短足気味であることから、脚質は短距離適性と考えて良さそうです。これ自体は決して悪材料ではないのですが、「短距離カテゴリーはライバルが多い」と言う点で不利にはなります。

牧浦厩舎はクラブ馬回収率が122%、クラブ馬勝ち上がり率が48%で、一口馬主クラブの預託先厩舎としては極めて優秀と言えます。さらに、短距離戦に好成績を残している点は、本仔の脚質にマッチしています。特に新潟の1000直を得意にしており、本仔が1000直で活躍する姿を思わず夢想してしまいます。

つまるところ、本仔の減点材料は募集価格に尽きると思います。2000万円近い募集価格を回収するには2勝クラスで掲示板に載るレベルの能力が求められます。そして、本仔にはそのポテンシャルがあると見ているのですが、現状のYGG所属馬でそこまでの活躍がイメージし難いことも事実です。

最後に、オカルトですがテシオ理論で言う基礎体力値の低さは気になるところです。母の活性値も低いことから、可能な限り「体力面での不安のないこと」を見極めてから出資を決めたいところです。ちなみに、本仔の兄でオープン馬のヨハンは母と父の両者が最大活性の年回りであり、本仔とは背景がかなり異なります。(訂正:ドライスタウトの基礎体力値は53%で平均レベルでした。取り立てて体力面を懸念する必要は無いと考えます。只、ヨハンと比較すると明確な差異がある点に変わりはありません。)

3.ミニヨンルミエール

父 :エイシンヒカリ
母 :ブルーボサノヴァ(パイロ)
厩舎:(美浦)和田雄二厩舎
価格:1320万円

様子見の3番手はミニヨンルミエールです。本仔は馬格が小さくてルックスも幼いと言う点で、現段階で出資を決するには厳しい募集馬なのですが、その潜在能力にはビビッと来るものがあって、安易には諦め難い雰囲気があります。そう言う意味では様子見には最適な募集馬であると思っています。

まず、何よりも本仔に惹かれるポイントは動かした時の印象です。筋肉の質感が良く見えますし、関節の駆動域も広く見えます。また、キビキビした歩速で歩けていて、運動神経の良さも感じさせます。
駐立写真をみても、肩の角度が寝気味で距離がこなせそうですし、太い脛・幼い体つきの割にはハッキリ見える半腱半膜様筋も高評価しています。只、(弓足とまでは行きませんが)前膝の位置が微妙に反り気味である点には注意をしたいところです。

預託先の和田厩舎については調教師リーディングこそ冴えませんが、クラブ馬回収率が170%、クラブ馬勝ち上がり率が52%あって、これは水準を遥かに超えるレベルです。リーディングの冴えない原因は馬質の低さにあって、クラブから能力のある馬が預託されれば結果を残すだけの能力のあることを示すものと考えています。

これに対し、本仔の懸念材料は前述した通り「馬格」にあります。8月末募集時の測尺で管囲が19cmと言うのは、個人的な出資基準の足切りレベルです。さらに、馬体重も362Kgしかありませんでした。これらについては「5月12日生まれ」と誕生日の遅い事実から割り引けるところではあるのですが、それでも最新の馬体重が405Kgと言うのは予断を許さないレベルです。
さらに、気性面でも「幼い」ところが育成状況の中で報告されて来ましたが、最新のレポートでは改善方向にあることが示されています。これについては単純に遅生まれであることが原因であって、懸念には及ばない模様です。

最後にオカルトですが、テシオ理論の観点から見た時に本仔の評価は極めて優良です。まず、本仔の受胎時の母ブルーボサノヴァの活性値がMAXであった点が高評価されます。基礎体力値は52%で標準レベルなのですが、母のMAX活性と初仔である点でプラスアルファが期待できます。(訂正:ブルーボサノヴァの活性値は7が正解でした。また、基礎体力値は65%で極めて優秀です。)

さらに、優先祖先が父父ディープインパクトである点が魅力的です。特にこのディープインパクトはMAX活性にあたります。テシオ理論では「優先祖先がMAX活性である点」を特に加点評価しないのですが、個人的にこの条件は信頼性の高いパターンであると重視しています。ディープインパクトが優先祖先であり、その特徴が本仔に強く現出しているとすれば、「馬格の小さいこと」も肯定できるかもしれません。

兎にも角にも、本仔の懸念は馬格の小さいことにありますから、様子見を続ける過程でこの不安が解消されるのであれば、大きく化ける可能性があると考えています。

4.ヴェルトクリーガー

父 :エスケンデレヤ
母 :コパノリンデン(ゴールドアリュール)
厩舎:(美浦)大和田成厩舎
価格:1100万円

様子見の4番手はヴェルトクリーガーです。北海道サマーセールにて440万円で購入され、募集に至りました。660万円の経費が上積みされたことになります。

本仔の辺りから評価ポイントと懸念材料が拮抗してくるのですが、まず本仔で評価したいのが脛の太さです。トモにも面積があり、現時点で535Kgの馬体重は雄大です。肩の角度は標準ですが、脚が長くて距離がこなせそうなところも評価しています。動かした時の筋肉の質感も、弾力性が感じられて好みです。

父エスケンデレヤはバイヤー系クラブらしいマニアックな種牡馬ですが、重賞戦線で目立つような活躍馬は産出されていません。但し、牡馬については勝ち上がり率が十分に高い点が見逃せません。さらに、距離適性がダートの中~長距離と長目である点も好評価したいポイントです。ダートの中距離路線はライバルが少なく、勝ち上がりを目指す意味では有利となります。

一方で、減点材料としては全体の筋肉にもう一つメリハリの見えないことが挙げられます。馬体重を含めて身が入るまでに時間が掛かるかもしれません。関節の可動域も広いとは言えず、踏み込みも甘く映ります。
さらに、預託先厩舎が大きな懸念材料となります。大和田厩舎はリーディングこそ100位内ですが、クラブ馬回収率が84%で、クラブ馬勝ち上がり率も33%しかありません。これは「水準レベルに達していない」と判断せざるを得ない厩舎成績です。社台系牧場の生産馬をそこそこ集めているにも関わらずこの成績となると、擁護することは困難です。

最後にオカルトですが、テシオ理論から見ると本仔は妙味のある募集馬です。まず、母コパノリンデンがMAX活性である点が高評価されます。さらに牝系の活性値も高く、本仔の基礎体力値は84%と極めて高い値を示しています。脚質が中長距離であると想定した時、無尽蔵なスタミナは大きな武器となる筈です。(コパノリンデンの活性値は6が正解でした。また基礎体力値は68%が正しい値になりますが、それでも十分高い値と言えます。)

本仔に関しては根拠の乏しい想像ですが、化けると言うより「1つ勝った後でクラスの壁に阻まれる」タイプの募集馬になりそうな予感がします。(価格的には「1つ勝てれば十分」とも言えますが..。)

5.ライラボンド

父 :キズナ
母 :ベガグレシヤス(アドマイヤドン)
厩舎:(栗東)清水久詞厩舎
価格:1430万円

様子見の最後はライラボンドです。本仔も北海道サマーセールにて落札された馬で、購入価格は792万円でした。経費の上積み額は638万円になります。
本仔についてはヴェルトクリーガーとは真逆で、1つ勝てれば大化けもあり得るタイプの募集馬の様に思えます。募集開始時点で様子見対象から外したのですが、最近のレポートにて改善が感じられましたので、出資候補に追加しました。

まず、本仔の評価ポイントについては「血統背景に対して格安」と言う点に尽きると思います。実際、カタログスペックを先に読んだときは、「これは美味しい」と思いました。

しかし、そうなると「何故この仔馬がセールで638万円でしか評価されなかったのか?」と言う素朴な疑念が生じます。プロのバイヤー達から評価をされていない以上、そこには明らかな原因があるはずです。そして、その根拠は動画を観た時になんとなく理解が出来ました。まず、脚の出方が気になります。右前が外向気味の上に、その影響なのか左後肢の動きがぎこちなく見えます。踏み込みも、可動域も、筋肉の質感も普通レベルで、目を惹くところがありません。

これに関連して、育成牧場の初期レポートを読むと、「右トモが弱い」「軽い腰フラの様な感じ」「運動を休むと緩みやすい」と言った、極めてネガティブなコメントが並んでいます。ぶっちゃけ、「YGGって正直なクラブだなぁ」みたいに妙な感心さえしてしまいました..。😅

言い換えれば、「トモ~腰に不安が見られたことで、キズナの牡馬でありながら700万円を切る価格で落札できた」と理解することが出来ますから、一口馬主の立場からはこの問題点が解消されたことを見極めることが出来れば、有益な出資が出来ることになります。

そこで最新のレポートに目を通すと、「ペースを速く走った方が動きがスムーズになり、トモも踏ん張れている」旨のコメントが掲載されています。これを契機にしてトモの不安が解消される方向に進むのか否か、要注目したい募集馬です。

さらに別の角度から考えると、「この様な懸念材料のある本仔を何故トップ厩舎の一角にある清水厩舎が引き受けたのか?」と言う疑問も生じます。当然ながら清水師はサマーセールの情報を見た上で預託を受け入れている筈ですから、師の目からは「本仔は走れる」と判断されたと考えられます。ちなみに、清水厩舎はクラブ馬回収率が221%で、クラブ馬勝ち上がり率が52%と、極めて優れた結果を残しており、データ面からも疑いなくトップ厩舎と評価することが可能です。

おわりに

最後に今後の出資馬決定に向けての為のロジックを整理しておきます。
まず、ディオアステリアがこのまま入厩を迎えることになれば、その時点で出資を決定します。そして、その後はミニヨンルミエールの入厩まで様子見します。この間にドライスタウトに入厩の声が掛かってしまったら、予算的にドライスタウトへの出資は見送ります。
一方で、もしディオアステリアに何らかの頓挫があって、ドライスタウトの入厩が先行する場合は、ディオアステリアを諦めてドライスタウトへの出資を決定します。

ミニヨンルミエールに関しては入厩まで様子見を続けますが、その為には予算を残しておく必要があります。そして、ミニヨンルミエールについて何らかの結論が出た時点で予算が余る状況であれば、ヴェルトクリーガーかライラボンドの何れかに出資することを考えます。

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コメント

  1. yama より:

    以前コメントしましたyamaです。
    遅くなりましたが、ラインオブフェイトおめでとうございます!
    グリーンの情報を知りたくてたどりついたmacKyさんのブログでしたが、YGGのことも知ることができて、ラインオブフェイトにも出資できました。
    YGGに関しては全く同感で好印象です。
    今回の出資検討の記事はとても元気づけられるものでした。実はミニヨンルミエール以外は出資しました。最初はライト会員の範囲内の出資と決めていたのですが、ライト会員は11月にまとまったお金が必要となり、それならばベーシック会員で毎月払った方が楽かなと思ってたら、移行キャンペーンやら大口出資キャンペーンともろにクラブの戦略にはめられて出資口数も増えてしまいました(苦笑)
    少なくともディオアステリアはご一緒できそうですね。ドライスタウトは入厩前か満口前にもう1口行きそうです。

    • macKy より:

      yamaさま、

      まずはラインオブフェイトですが、お互いにおめでとうございました。故障なく走れさえすれば未勝利脱出は堅い仔だと考えていましたが、予想よりも強い勝ち方で嬉しさが倍増しています。船橋の時計は比較が難しいですが、南関のB2特別相当の時計であることから、3歳1勝クラスでも勝ち負けが狙えるものと期待しています。「十分すぎるほど折り合いが付く」旨のコメントがありましたので、これで距離が延ばせれば先行して粘り込むダートの教科書の様な競馬が出来るのではないでしょうか。

      2歳馬の出資については、ローラーコースターの扱いが納得できず、グリーンへの追加意欲が失せてしまいました。その分だけYGGに回そうと思っています。先ずはディオアステリアへの出資は確定的です。悩ましいのがライラボンドですが、トモの不安が解消されれば魅力的な募集馬に化けますので、かなり捨てがたいものがあります。あまり様子見が出来ない気配なところが辛いですが、ここで締め切られる様であれば、出資してしまうと思います。

      あとは、ドライスタウトとミニヨンルミエールを両睨みで様子見します。幸い、ドライスタウトの入厩は先になりそうなので、今暫くの時間的猶予はありそうです。普通に比較したら迷わずにドライスタウトだと思うのですが、オカルト要素でミニヨンルミエールは捨てがたいものがあります。こちらも大化けが期待できるのではないかと..。