2020年度グリーンファーム募集馬の検討①

2020年度のグリーンファーム募集も一段落が着き、様子見モードに突入したところで、今年も自分の検討した内容を備忘録として書き残して行きたいと思います。そして今年の進め方ですが、カタログスペック的な要素については、ここに纏める様に一通り語っていますので、本稿では駐立姿勢・動画・測尺・厩舎・価格について感じたところを記して行きます。特に駐立姿勢の分析は拙作の馬体計測ツール(HorseScale)を用いて行います。尚、基となる素材はYoutubeの公開動画から参照しています。(全4回を目標に終わらせる予定。)

【注意】
・あくまでも個人の見解です。
・状況の変化で見解を変えることが普通にあります。
・今年からは歩様についても自分なりに評価しました。
・馬に優しく、厩舎には厳しいです。

【補足】
・プレミアム値についてはこちらを参照願います。

・予測体重についてはこちらを参照願います。


1901.マキシマムドパリの2019(受付終了)

■駐立姿勢
適度なトモ幅があって、肩の角度は概ね標準。胴伸びもあって前後のバランスも取れています。首が長く、背中のラインも綺麗で、距離もこなせる印象です。
全体に計測値が標準値を示す一方で、最大の懸念点は筋肉の付き方が寂しく映るところです。芦毛特有の見極め難さはあるのですが、いまいち筋肉のメリハリが見えません。トモの面積はある方なので、ここに筋肉が付いてくれるかが今後の課題かと思います。もっとも、母マキシマムドパリの募集時の姿も相当体が寂しく見えましたので、ある意味で母親譲りなのかもしれません。
なお、前腕と管の角度がマイナス値を示しており、微妙に湾膝傾向と見ることが出来ます。

■歩様
後肢は踏み込めていますが、歩速はゆったり気味で、動きも連動性を欠いて見えます。また、前肢のドスンと落ちる感じも気になります。筋肉には柔らかさを感じる一方で、駐立姿勢と同様に、いまひとつ力強さが感じられません。

■厩舎
西園厩舎に預託されました。近年のリーディングは50位前後に留まりますが、クラブと相性の良い厩舎です。只、得意条件が短距離寄りの印象があり、その辺りが本仔の脚質とは合致しない気はします。

■価格
募集価格は今年の募集馬では2番目に高額の2800万円。プレミアム値は1148ポイントでトップです。プレミアム値が400ポイントを超えるグリーンF募集馬の勝ち上がり率は非常に高いので、少なくとも未勝利で終わることはないでしょう。

■測尺
「馬体重:435kg、体高:156.0cm、胸囲:171.0cm、管囲:20.6cm(8月上旬)」で、特に気になる所はありません。デビュー時の予測体重は488Kgで丁度良い感じ。

■総評
バランスが良く、全体的に標準的な値を示していますが、気になるのは筋肉の発達です。ここから母の様に逞しく育ってくれれば文句なしなので、そう言う意味では様子見をしてから出資判断したい所でしたが、人気がそれを許してくれませんでした。もう少し安価であれば、リスクを負う選択肢もあったのですが、2800万円が見合うにはオープンクラスまで進む必要があり、そこまでの判断は出来ませんでした。

1902.オールドパサデナの2019(受付中)

■駐立姿勢
胴伸びがあって脚が長目で首も長目。背中のラインがゆったりして綺麗です。トモに幅があるが肩は立ち気味で、その分だけ前が後ろよりも小さいが全体のバランスは悪くありません。距離は中距離までこなせる様に見えます。幅のある脛は好印象。曲飛。腰高で成長に余地。
懸念材料は前後共に筋肉にメリハリの無いこと。これから鍛えて行って何処まで筋力が付くかが課題かと思います。

■歩様
曲飛も手伝って後肢の踏み込みは大きいです。また、曲飛の割に飛節は伸びています。一方で、前肢の出はいまひとつ。これは肩が立っている点と相関があるかもしれません。筋肉に柔らかさを感じる一方で、緩さも感じます。歩速はキビキビしており、真っ直ぐにしっかりと歩けている所は好印象です。

■厩舎
グリーンFからは初めての森田厩舎への預託です。開業から7年目で運営的には軌道に乗る時期ですが、近年の成績は若干落ちています。もっとも、社台グループからの預託馬が少ない中でのこの成績であれば、評価して良いのかもしれません。

■価格
募集価格2000万円。牝馬としては高額な募集価格。一方でプレミアム値は-302ポイントで、むしろ割安と言えます。キングカメハメハのラストクロップとしてはお値打ち価格ですが、「キングカメハメハの牝馬」と言う点では割り引かれる所も理解できます。

■測尺
「馬体重:431kg、体高:154.0cm、胸囲:170.0cm、管囲:20.1cm(8月上旬)」で、測尺上の懸念材料はありません。デビュー時の予測体重は476Kgで良好です。

■総評
キングカメハメハのラストクロップと言う点では魅力的ですが、現状では筋肉量が寂しく映り、ここは積極的に育成状況を様子見したいところです。一方で、本母については産駒が走っていない点が懸念材料であり、個人的に本仔への出資は出資馬である半兄ローズボウルの勝ち上がりが先の話になります。

1903.ジェシカの2019(受付終了)

■駐立姿勢
やや胴が短く、寸詰まりの印象。肩が立ち、繋ぎも立っています。首は長目。気持ち短足気味。トモの面積が小さい所が気になります。また、脛が細い点もマイナス評価。誤差範囲ではありますが、前腕と管の角度がマイナス値である点にも一応留意したいと思います。前後共に筋肉の発達が目立たない点が最大の懸念材料。繋ぎをみるとトラック適性はダートで、肩の立ち具合と脚の長さから距離適性は短い方向と予想します。

■歩様
キビキビ歩けていて好印象。後肢の踏み込みが大きく、飛節も良く伸びて可動域は広いです。一方で肩が立っている影響なのか、前肢の出はいまいち。筋肉の質感は良く見えるのですが、一方で緩い印象も強く感じます。育成過程で何処まで筋肉が付いてくるかに注目したいところです。

■厩舎
グリーンFと相性が良く、成績もトップクラスの音無厩舎への預託。厩舎に付いては非の打ち所がありません。

■価格
1600万円での募集。牡馬で1600万円は一見してお買い得な印象を受けますが、プレミアム値は+148ポイントで、むしろ割高と判断されます。これは高齢出産の母のを如何に評価するかで変わるところでしょう。

■測尺
「馬体重:433kg、体高:158.0cm、胸囲:174.0cm、管囲:20.0cm(8月上旬)」で、測尺上の懸念材料はありません。デビュー時の予測体重は474Kg。牡馬で短距離ダート適性と見るならば、もう少し体重が欲しいところです。

■総評
高齢出産を気に掛けない自分としては、育成過程で何処まで筋肉が付いてくるのか、是非とも様子見をしたい1頭だったのですが、早々に満口となってしまいました。例年ならば、ここは「ギリギリ残口が残るところ」と読んでいたのですが..。

1904.ファニーストーリーの2019(受付中)

■駐立姿勢
胴長短足。首が太く短く、肩は立ち気味。典型的な短距離適性に見えます。腰高で成長余地のある分だけ背中のラインが垂れ気味に見え、スタイルが良いとは言えませんが、短距離馬としてはバランスが取れている様にも思えます。直飛気味の飛節もスタートダッシュには有効に働きそうですが、問題は前も後ろも筋肉が目立たないこと。体形的な短距離適性を活かすためにはムキムキの筋肉が欲しい様に思います。

■歩様
歩速は普通か気持ちゆったり。直飛ですが、後肢はシッカリと踏み込めています。また直飛の分だけ飛節が伸び。全体に後肢の可動域は広くなります。前肢もそこそこ出ていますが、ストンと落ちる感じは気になるところ。筋肉の質感は今一つ粘りと柔らかさが感じられません。繋ぎが緩そうに見えるところも気になります。

■厩舎
預託先は今野厩舎。今野厩舎は2年連続でグリーンFからの預託ですが、現2歳のルーチェビアンカは故障した特別提供馬に代えての預託であり、当初の予定にはなかったものです。リーディング順位は年度でバラツキが大きく、今年は良好な成績を残しています。

■価格
募集価格1600万円で、プレミアム値は+198ポイント。意外に割高な価格設定となりました。それだけ生産サイドの評価は高いものと考えられますが、カタログスペック的にも馬体的にも今一つ華がなく、このプライシングには割高感を感じざるを得ません。

■測尺
「馬体重:427kg、体高:152.0cm、胸囲:171.0cm、管囲:19.8cm(8月上旬)」で、測尺上の懸念材料はありません。デビュー時の予測体重は480Kg。牝馬でこの馬格であれば、脚質が短距離ダート適性であっても十分と思われます。

■総評
新種牡馬ドレフォンの産駒で、父と同じく本仔の距離適性も短距離であると思います。今後は「短距離馬らしき筋肉を身に着けることが出来るのか」がカギとなりそうです。
ちなみに、本仔のFNは2号族。近年のグリーンF募集馬で2号族の勝ち上がり率には驚異的なものがあり、オカルトではありますが本仔に惹かれる部分です。

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