競馬の数学(5)

競馬に関わる数学的な要素について考えた結果を、備忘録の代わりに書き残して行くシリーズの5回目です。(一覧はこちら
今回は、オッズと的中率と回収率の関係などについて考えます。

※ 数学的な意味で、厳密には不適切な表記があるかもしれない点はご容赦下さい。一方で、内容に関して本質的な間違いがありましたら、ご指摘を頂けますと大変助かります。


5-1.オッズと的中率と回収率の関係

【設問】

的中率とオッズと回収率の関係を示せ

【回答】

$$回収率=的中率\cdotオッズ$$

【説明】

まず、平均回収率と平均的中率と平均オッズの定義は次の様に考えられる。

$$平均回収率=\frac{総配当金額}{総購入金額} … ①$$

$$平均的中率=\frac{総的中回数}{総購入回数} … ②$$

$$平均オッズ=\frac{総配当金額}{的中馬券の総購入金額} … ③$$

このとき②式より、

\begin{eqnarray}
平均的中率&=&\frac{総的中回数}{総購入回数}\\
&=&\frac{総的中回数×1回の購入金額}{総購入回数×1回の購入金額}\\
&=&\frac{的中馬券の総購入金額}{総購入金額}
\end{eqnarray}

$$\therefore総購入金額=\frac{的中馬券の購入金額}{平均的中率} … ④$$

となる。さらに、①に④を適用すると

\begin{eqnarray}
平均回収率&=&\frac{総配当金額}{\frac{的中馬券の購入金額}{平均的中率}}\\
&=&平均的中率\cdot\frac{総配当金額}{的中馬券の購入金額}\\
&=&平均的中率\cdot平均オッズ
\end{eqnarray}

これを複数レースではなく、1レースの場合として考えれば

$$回収率=的中率\cdotオッズ$$

となる。


5-2.合成オッズの算出

【設問】

馬Aと馬Bの単勝オッズがそれぞれ、$Oa,Ob$であるとき、AとBの単勝を同時に購入した場合の合成オッズ$Oab$を求めよ。但し同着は発生しないものとし、JRAプラス10は考慮しない。

【回答】

$$Oab=\frac{Oa\cdotOb}{Oa+Ob}$$

【証明】

まずレース全体の単勝の総投票金額を$Nu$とし、馬Aと馬Bの単勝への投票金額をそれぞれ$Na,Nb$とし、JRAの払戻率を$δ$とする。このとき、$Oa$と$Ob$は4-3より次の通り表される。

\begin{eqnarray}
Oa=δ\cdot\frac{Nu}{Na} … ①\\
Ob=δ\cdot\frac{Nu}{Nb} … ②
\end{eqnarray}

同様にAとBの単勝を同時に購入したときの合成オッズOabは、

$$Oab=δ\cdot\frac{Nu}{Na+Nb} … ③$$

と表される。

ここで、③に①と②を適用すると

\begin{eqnarray}
Oab&=&δ\cdot\frac{Nu}{δ\cdot\frac{Nu}{Oa}+δ\cdot\frac{Nu}{Ob}}\\
&=&\frac{1}{\frac{1}{Oa}+\frac{1}{Ob}}\\
&=&\frac{Oa\cdotOb}{Oa+Ob}\\
\end{eqnarray}

【補足】

本例は勝ち馬が一つに定まるケースで成立するので、馬連、馬単、3連複、3連単についても同様に成立する。

$Oa=Ob$の場合は$Oab=\frac{Oa}{2}=\frac{Ob}{2}$となり、元のオッズの$\frac{1}{2}$となる。


5-3.合成回収率の算出

【設問】

馬Aと馬Bの単勝的中率が$Pa,Pb$、単勝オッズが$Oa,Ob$であるとき、AとBの単勝を同時に購入した時の合成回収率$Rab$を求めよ。但し同着は発生しないものとし、JRAプラス10は考慮しない。

【回答】

$$Rab=(Pa+Pb)\cdot\frac{Oa\cdotOb}{Oa+Ob}$$

【証明】

AとBの何れかが勝つ確率Pabは1-1より

$$Pab=Pa+Pb … ①$$

である。また、AとBの単勝を同時に買ったときの合成オッズ$Oab$は5-2より

$$Oab=\frac{1}{\frac{1}{Oa}+\frac{1}{Ob}} … ②$$

ここで、合成回収率$Rab$は5-1より

$$Rab=Pab\cdotOab … ③$$

であるので、③に①と②を適用すると

$$Rab=(Pa+Pb)\cdot\frac{Oa\cdotOb}{Oa+Ob} … ④$$

となる。

【補足】

馬Aと馬Bの単勝回収率をRa,Rbとすると、

\begin{eqnarray}
Ra=Pa\cdotOa\\
Rb=Pb\cdotOb
\end{eqnarray}

であり、これを用いて④式を整理すると、$Rab$は⑤または⑥として表現することも出来る。

$$Rab=\frac{Ra\cdotOb+Rb\cdotOa}{Oa+Ob} … ⑤$$

または

$$Rab=\frac{Pa+Pb}{\frac{Pa}{Ra}+\frac{Pb}{Rb}} … ⑥$$

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