出資馬の確定:ナショナルホリデーの2017

グリーンファームから書面が返送されて来まして、これで2018年度募集馬への出資が確定しました。そこで、確定した2頭について、出資判断をした根拠を備忘録として書き残しておきたいと思います。まずは1頭目のナショナルホリデーの2017から。


ナショナルホリデーの2017の出資判断

■種牡馬
種牡馬ロードカナロアは現2歳~3歳の勝利数のリーディングで、既にディープインパクトに次ぐ2位の座を確保しています。勝ち上がり率が高くて安定性のあるところが、同期種牡馬のオルフェーヴルと異なるところです。更に、牝馬の勝ち上がり率も標準値より高く、父キングカメハメハ産駒が牡馬に偏重したのとは性質が異なる所です。また、産駒の距離適性も短距離系の父とは異なり、中距離までカバーする産駒が出ています。

この様に、「性別に拠らず産駒の成績が安定し、距離の融通も利く」と言う点で、ロードカナロアの種牡馬としての評価は急激に上昇しています。ディープインパクト&キングカメハメハの種牡馬ツートップ時代に対して、世代交代の最先鋒となるのがロードカナロアと言うことが出来ます。産駒の活躍を受けて、今年の種付け料は一気に300万円上がって800万円となりました。あと数年もすれば、ロードカナロア産駒は「価格が高すぎて手が出せない」、そしてグリーンファームからは募集に掛からない状況になると予想しています。

■牝系
本仔はグリーンファームに所属したフロールシータの半妹に当たります。母ナショナルホリデーは芝の1800M~2000Mを主戦場に、500万条件を2回勝利しました。兄姉はフロールシータを頭に3頭で現2歳の全兄ペイドバケーションは未出走。その他2頭の兄姉は1勝止まりで、兄姉に活躍馬が出ていないところは本仔の減点材料となります。但し、兄姉に配合された種牡馬はレベル的に恵まれていたとは言い難く、兄姉の戦績については割り引いて考えることも可能です。

一方、ナショナルフラッグから始まる牝系全体をみると、インターフラッグ,マルカコマチ,ミュゼスルタンと言った重賞勝ち馬の名前が連なっており、牝系としては充分華やかと見なすことが出来ます。これらの馬たちも主に芝の1600M~2000Mで競馬をしており、牝系としての距離適性はマイル~中距離にあると考えられます。ちなみに、ファミリーナンバーは23号族になります。

なお、母ナショナルホリデーは昨年秋の繁殖馬セールでオリオンファームに売却されています。即ちこれは、社台グループからは見限られたと言うことを示しており、これがロードカナロア産駒にしては本仔が割安で提供された理由の一部であると考えています。

■血統配合
スピードのある父と中距離牝系の組み合わせですが、ロードカナロア産駒は距離適性に融通性があり、牝系の良さを生かす種牡馬ですので、本仔もスピードのあるマイルクラスの競走馬に成長することを期待しています。

ロードカナロアの配合の成功パターンはサンデーサイレンスとNorthanDancerを併せ持つことであることは確実で、更にNasrullah, Princequillo, Ribotなどの血を持つことが有意であると見ています。これらの血は元々ロードカナロア自身が有している父母間クロスであり、それらの血を母系に持たせることで、クロスをブリッジして増強する効果があると考えられます。そして、ナショナルホリデーはこれらの血を全て有しています。

特に重要なのは母系にNorthanDancer系の血を持つことであり、本仔はNijinskyの血を介してNorthanDancerの血を有しています。数週間前の集計ですが、母系にサンデーサイレンスとNijinskyの血を併せ持つ産駒の勝ち上がり率を調べたところ、ロードカナロア産駒全体の勝ち上がり率が(牡馬46%,牝馬33%,全体38%)に対して、サンデーサイレンス+Nijinsky持ちロードカナロア産駒の勝ち上がり率は(牡馬53%,牝馬42%,全体47%)となりました。統計的に十分とは言い難いサンプル数ながら、良好な結果が得られており、少なくとも悪い傾向ではありません。但し、本仔の有するNijinskyのクロスは7x4であり、世代ギャップのある点は気になります。

■馬体
動画で駐立する姿を確認すると、まず背中の短さが目に付く点が自分的には好印象です。前よりも後ろが勝っている点と緩目の曲飛から、ある程度の距離を走ってキレる脚を使う姿が想像できます。腰高でもあり、ここからまだまだ大きくなって行く中で、体型的にも変化してくると思いますが、現時点で少なくとも短足傾向にはなく、距離適性はマイル以上と見ています。

膝の位置は明らかに球節よりも前に出ていますし、膝下の長さも無用に長くありませんので、脚元の不安は小さいと判断しました。8月下旬の測尺で管囲が19cmと言う点は懸念材料となり得ますが、一口馬主DBのコラムに依れば「管囲と故障の関係は直接的なものでは無く、馬体重との関係にある」と分析されています。要するに、管囲が細い上に体重が重い場合に故障確率が上がると言う話ですが、本仔の体重は同時点で432Kgでデビュー時の予想体重は448Kgと出ましたので、管囲の細さを過度にケアする必要は無いと見ました。

なお、繋ぎの角度は明らかに寝ていますので、トラック適性は芝と判断しています。

■厩舎
今回の出資を判断するにあたって、最も悩んだのは厩舎です。自分が出資馬を判断する基準の中で、最もプライオリティを高く置くのが厩舎なのですが、本仔の預託先である矢野英一厩舎の評価には正直言って迷うところがありました。まだ自分の出資馬が矢野厩舎にお世話になったことは無く、認識違いの可能性もあるのですが、如何にも傍から見ていてグヴィアズダの使い方が気になりました。自分がグヴィアズダの姿を見たとき、極端に寝た繋ぎの角度から芝適性と考えて疑わなかったのですが、結局一度も芝を試さずに引退させられてしまいました。脚抜けの良い重のダートで良績があった点からも、芝に適性の可能性はあったと思うのですが、最後までダートに拘って使った根拠を伺ってみたいところです。

上記の様に、判断に柔軟性を欠く傾向があることを懸念する一方で、厩舎としての成績は年々上昇を続けています。2年続けて20勝をクリアしており、調教師リーディングも50位前後をキープしています。そして何より、素晴らしいのは現3歳馬の勝ち上がり状況で、今週時点で17頭が勝ち上がりを決めています。これは全体でも5位の成績であり、堀厩舎,木村厩舎,田村厩舎と並んで関東ではトップの成績です。先週はジェネラーレウーノがセントライト記念で優勝を飾っており、明らかに運気は上向きです。単なるフロックだけでこの成績は出ないと考えて良いと思います。

なお、レースの数を使ってくれると言う点については高く評価するところです。

■価格
募集価格は2000万円でした。さらに、ここで定義したプレミアム値を求めると243となり、本仔は社台系のプレミア馬に分類出来ます。社台系のプレミア馬は先の分析結果で「価格相応の活躍が期待できる」とされており、安心感のある出資対象と判断しました。

■まとめ
ぶっちゃけた話、美浦所属馬の中で評価したときに、本仔しか出資対象として残らない状況でした。..かと言って、本仔が自分的な判断基準に対して、出資対象としての要件を充分にクリアしていることは間違いなく、出資を判断したことに自分なりの自信は持っています。そして何より、「ロードカナロア産駒には、これ以上高騰する前に出資しておきたい」と考えていました。

一方で、会員優先期間が過ぎた現時点での募集状況が残口100を超えており、「まだまだ様子見が可能だった」と言う事実については、完全に世間の人気を読み違えてしまいました。只、今年の募集に関しては特別提供馬(エイシンバンバの2017)に出資するため、早期の申し込みが必要でしたので、この判断は止む無いものであったと考えています。まぁ、「グリーンファームの募集馬は人気の無い方が走る」と言う風聞も聞こえて来たりしますので、ここはポジティブに捉えたいと思います。😅

現状の残口を見る限り、ここから急激に残口が減ることは無いと思われ、入厩の声が聞こえるまではセールスは伸びないと思います。..と言うことは、もしかして今年は名付け親になるチャンスかもしれません。😆

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コメント

  1. ひー より:

    はじめまして。グリーンの会員です。
    ここの出資基準や分析、すごく論理的ですね。
    ただ、私は大阪在住なので、関西馬に出資してます。今年は、ジャドールに期待しています。ダート馬の良い馬体の馬は、行っておいて損がないかと(まあ、私ならトータルで損なのかな…)
    ナショナルホリデーは、関東馬で唯一関東なら買っているな、と私は思いました。馬体が、馬体重より良く見えましたね。歩きも無理がなく、馬体のつくりバランス良く筋肉の張り出しもありそう、と私は。走るとよいですね、繁殖の年齢もまだいけそうですよね。栗東の馬の大勢より、良く見えました。
    長くなりました。またコメントさせてもらいます。

    • macKy より:

      ひーさま、
      はじめまして、コメントありがとうございました。

      関西在住で関西馬中心の出資とのこと、羨ましい限りです。真剣な話、今年の関東の募集馬は選択肢が無くて困惑しました。関西と比べると頭数が少ない以上に、厩舎レベルに相当な開きがある点が問題だと思っています。グリーンファームは運営に殆ど口を挟まない「厩舎お任せのスタンス」ですので、それだけ厩舎には優秀であって欲しいのですが、年々レベルが低下している印象です..。

      ジャドールの18は本ブログにコメントを頂いた方々の中でも総じて評価が高かったですね。血統配合は鉄板ですし、吉村厩舎も着実にリーディングを上げており、毎年重賞勝ちも記録していて言うこと無しと思います。その上に「黒い芦毛は走る」と言うアノマリーもありますので、関西馬の中ではカクテルの18と共に自分でも出資してみたいと思わせられる1頭です

      ナショナルホリデーの18については、自分的には自信を持ってチョイスしたのですが、想像以上に世間の人気が無いことに戸惑っています。馬格が無い点が最大の心配材料ですので、先ずは厚みが増して来てくれることを願っています。一方で、兄姉がイマイチ走っていない点については、「ロードカナロア産駒は兄姉の成績が振るわない方が走る」と言う風聞もありますので、気にしないことにしました。自分は歩様の良し悪しは判らないのですが、それでも前肢の出方は柔らかく、可動域も広い様に見えますので、何気に良いのではないかと密かに思っています。現2歳の出資馬が相当不安な状況なので、なんとかこの仔には走って欲しいと祈っています。

      今後ともコメントを頂ければ幸いです。