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カードゲーム アーカイブ

2007年07月18日

マネー!(Money!)

■ タイトル

 "Money!"
 
■ デザイナー
 Reiner Knizia

■ 発売元

 Gold Sieber(ドイツ)

■ プレイ人数

 3~5人

■ ゲームの概要

今回紹介する「マネー」は、為替の取引をモチーフにしたシンプルなカードゲームです。プレイヤーは手持ちの資金を用いて入札を行い、狙いの通貨に換金して行くことによって得点を競います。(出来るだけ1つの通貨に絞り込んで資金を集めるほど、高い評価が得られます。)

「マネー」は、入札に使った資金が即座に次のトレードの対象になると言う点で、独創的なゲームシステムを有するゲームです。作者は今もトップゲームデザイナーの1人であるReiner Knizia。1998年のドイツゲーム賞とドイツ年間ゲーム賞にダブルノミネートされたゲームです。


■ ルールの概要

始めに、各プレイヤーに6枚の銀行券カードをランダムに配り、更に1枚の子供銀行券を配ります。そして、残ったカードを中央に山札として置き、その両サイドに4枚つづカードを山札からめくって並べます。これでゲーム開始。
ここで、山札の両側に置かれた2組みのカードが入札の対象になる通貨です。即ち、テーブル上が為替マーケットそのものを表します。

入札の方式は一斉入札。各プレイヤーは手持ちのカードから入札に使用するカードを選び自分の前に裏向きにして出します。このとき、入札に使うカードの枚数に制限はありません。ここで、子供銀行券は無価値なのですが、カード枚数をゴマ化す為の、ハッタリとして使用することが出来ます。

さて、全員の入札金額が決定したら、一斉にオープンし、合計ポイントが高い方から順に取引権を獲得します。

ここで、取引権を獲得したプレイヤーは以下の中から行動を選択します。

  (1) 自ら入札したカードと、中央に出ている2組みのカードの何れかを交換する。
  (2) 自ら入札したカードと、他のプレイヤー1名が入札したカードを交換する。
  (3) 取引きをパスして、入札したカードを手元に戻す。

この様に、紙幣を交換して行く部分が、為替の取引きを表現しているという訳です。(子供銀行券は取引対象外ですから、交換しないで手元に戻します。)

こうして1人のプレイヤーが行動を終えたら、取引権は次の入札順位のプレイヤーに移動します。全員が取引権を行使したら1ラウンド終了。中央の2組みのカードが4枚未満になってしまった場合は、山札からカードをめくり、4枚になるまで補充した後、次の入札を開始します。こうしてラウンドを続け、場の補充が効かなくなった時点でゲーム終了。清算タイムとなります。

さて重要なのが、得点の計算方法。得点は紙幣の種類毎に計算するのですが、単純に加算するのでは無く、以下のルールが適用されます。

  ・1つの紙幣について、合計ポイントが200点を越える場合は、その全てが得点となる。
  ・1つの紙幣について、合計ポイントが100~200点の場合は、「合計点-100」が得点と
   なる。
  ・1つの紙幣について、合計ポイントが100点以下の場合、その紙幣に付いての得点は無し。
  ・1つの紙幣の同じ数字が描かれるものを3枚集める度に、100点のボーナス。

要するに、重要なことは特定の通貨に的を絞って紙幣を集めること。複数の種類に跨って紙幣を集めても、高得点は得られないと言うことになります。

■ ゲームのポイント

「マネー!」では、狙いを絞った紙幣を如何に多く集めるかがポイントで、そこで重要になるのが、場の流れを読むことです。即ち、他のプレイヤーが集めていなさそうな、人気の薄い通貨に狙いを定めます。人気の薄い通貨はトレード市場に現われる確率が高く、安く入手出来る可能性が高まります。着実にそれを拾って行けば自然と同一紙幣を揃えることが出来るでしょう。

他にも重要なポイントとして、「たまには価値の低いカードで入札を行う」と言うことが上げられます。例えば、マーケットに価値の高い紙幣が多数並ぶケースがあります。この様な場合、大抵のプレイヤーは価値の高い紙幣で入札し、これを落札にかかることでしょう。しかし、ここで敢えて1人だけ価値の低いカードで入札すると如何なるか? もちろん、取引順位は最下位となりますが、他プレイヤーが出したカードの価値が高ければ、最終的にそれらのカードと交換することが可能です。即ち、価値の高いカードを価値の高いカードで競り落とすよりも、結果的に利幅が取れる可能性があると言う訳です。

■ アートワークについて

このゲームが秀逸である点の1つがカードのデザインにあります。カードの裏面には実在する9種類の紙幣が、そのまんまデザインされています。もちろん、経済大国日本の円も含まれています。その他にも米ドル、ポンド、ユーロ等が確認できますが、私の知らない紙幣も2~3見られます。昨今の為替取引の流行的には、流行の豪ドルやランドがあったりすると、嬉しいかも。

■ 入手について

残念ながらこのゲームも現在は絶版になってしまいました。しかし、ドイツ本国ではゲーム賞にノミネートされたこともあり、流通量は決して少ないゲームではありません。恐らく、ドイツのおもちゃ屋さんの片隅には埃を被りながらも残っていると思われます。

そんな状態ですので、ドイツのEbayをチェックすれば、比較的容易に新品の出品物を見つけることが出来ると思います。見つけることが出来れば10ユーロもあれば落札できるでしょう。(前にも書きましたが、多少の英語力と度胸さえ出来れば、ドイツのEBayでも大抵のトレードは可能です。)

日本で探す場合は、やはりヤフオクでウォッチし続けるよりありません。..とは言え、全く出品されない様なゲームでもないので、気長に待てば見つけられると思います。値段的には円安ユーロ高の現状では、新品で2500円程度がフェアバリューじゃないかと思います。

2007年12月26日

バーンレート(Burn Rate)

%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%88.gif■ タイトル

 バーンレイト(Burn Rate)
 
■ デザイナー

 Rich Koehler

■ 発売元

 Cool Studio(米国)

■ プレイ人数

 2~4人


■ ゲームの概要

ITバブルの波に乗って生まれ、泡となって消えていった、無数のドットコム企業を風刺した、ブラックユーモアの溢れるカードゲームです。

バーンレートとは企業が毎月の収益を上回って消費する金額を意味しており、新興企業の存続性を図る一つの指標です。即ち、バーンレートが高いほど、月々の経営は赤字であり、資本を急速に食いつぶして行き、最後に企業はバーン(燃え尽きる)してしまいます。

そしてこのゲームですが、プレイヤーは新興企業の経営者となり、会社を運営して行きます。しかしこの会社、基本的に収入の道がありません。営業が持ってくる企画がダメダメで、技術がどんなに頑張って仕事を仕上げてもそれが売上に結びつかないのです。つまり、営業収入が0でバーンレートは∞と言う悲惨な状況なワケで、当然こんな会社は潰れます。そう、このゲームの会社は必ず潰れる運命にあるのです。

では、プレイヤーの目的は何かと言うと、それは会社を可能な限り潰さないこと、即ち、他のプレイヤーよりも少しでも長く会社を存続させることにあります。そしてその為に、企業間では醜い争いが展開されることになります。ライバル企業の優秀なマネージャーを引き抜く一方で、逆に無能な役員を送り込んだり、ろくでもない企画を持ち込んで仕事を混乱させたりして、互いの足を引っ張り合うのです。


■ ルールの概要

各企業は営業・開発・財務・人事の4つの部門で構成されています。そして、その何れを欠いても、他のプレイヤーに付け込まれる隙を与えることになります。

人事部門が弱いと、優秀な社員を引きぬかれたり、逆に役立たずの社員を送り込まれたりします。また、営業部門が弱いと、ダメダメな企画をどんどん持ってきます。一方、開発が弱いと、プロジェクトが進まない上に、コストの高い外注業者に設計依頼をしなければなりません。財務部門に関しては、特に弱くても弊害は無いのですが、逆に財務部門が強いと、どこからともなく資金調達をしてくれます。これがこのゲームに存在する唯一の資金源であり、優秀な財務担当は本当に頼りになる存在です。


■ ゲームのポイント

%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%882.gifブラックユーモア満載のゲームで、業界人には笑えないところがあるゲームです。仕事が終わらないので外注業者を入れることになり、結果的に人件費がアップする辺りは本当に身につまされてしまいます。また、高給を取るだけで無能なマネージャーが配属されたりすると、怒りがこみ上げてくること間違いありません。^^;

多くの場合、この種のテーマに走ったゲームは、肝心のゲーム性の方がイマイチだったりすることがあるのですが、このゲームは高いゲーム性を保ちつつ、テーマを実現しているところが、見事というよりありません。業界人な方には、是非一度プレイしてみて欲しいゲームだと思います。


■ アートワークについて

アメリカのキャラクターっぽいデザインのカードです。種々の情報が上手にカード上にまとめられており、ゲームが遊び易くなっています。往々にして、欧米のゲームを遊ぶ上での壁として、カード上に記される多量の外国語があるのですが、このゲームはここが上手く処理されており、デザインでカードの意味の殆どが理解可能になっています。如何しても覚えなければならないカードは、数種ある程度です。

尚、このゲームにはカードしか付属せず、資金の計算は紙にメモ書きしながら進めることになります。これは、無用なパーツは省略してその分だけ値段を下げるという、アメリカのゲームらしいスタイルなのですが、日本人には少し違和感があるかもしれません。遊び易くするために、ポーカーチップなどをお金の代わりに用意すると良いでしょう。


■ 入手について

現在でも発売されており、入手は比較的容易です。製作元のウェブサイトでも通信販売されていますが、国内の輸入ゲームショップでも扱っている所がありますので、日本国内でも入手は可能です。但し、値段はどうしても高め(恐らく3000円台)になってしまいます。因みに、米国国内での定価は、$19.95です。

2008年08月02日

ビッグチーズ(The Big Cheese)

big_cheese.gif■ タイトル

 ビッグチーズ(The Big Cheese)
 
■ デザイナー

 James Ernest
 Jon Wilkie

■ 発売元

 Cheapass(米国)

■ プレイ人数

 3~6人


■ ゲームの概要

ネズミの世界の金融会社を経営し、好業績を目指すマネージメントゲームです。

プレイヤーは社員であるネズミを上手に活用して、プロジェクト物件を効果的に落札することで、プロジェクトを完遂し収益を獲得して行きます。

極めてシンプルなルールながら、リソースの管理に悩まされる好ゲームです。


■ ルールの概要

始めに、各プレイヤーにはマーカーが各10個与えらます。これがネズミの従業員を表しています。(準備はこれだけ。)

次に、テーブルに山積みしたカードの一番上の1枚を捲って、それを公開します。各カードには4~20の数字が記されており(注:特殊カードの例外あり)、これがプロジェクトの規模を表しています。即ち、数字が大きいほどデカイ仕事であり、高い収益が狙える仕事になります。

このテーブルに公開されたカードが入札案件になります。各プレイヤーは、このプロジェクトを落札する為に入札を行うのですが、その為に使用するのが始めに与えられたマーカー(即ち従業員)です。要するに、そのプロジェクトにより沢山の従業員を投入することを宣言したプレイヤーがそのプロジェクトを落札することになります。

プロジェクトを落札したプレイヤーは、そのカードを自分の前に置き、投入を宣言した数のネズミマーカーをその上に置きます。

以上で、1回の入札が終了となり、次の山札を捲って、次のプロジェクトの入札を開始します。

カードの上に配置したネズミマーカーは、後続の入札が1回終わるごとに1個ずつ手元に戻って来ます。そして、カードの上の全てのネズミマーカーが無くなったとき、そのプロジェクトは完了したと見なされます。プロジェクトが完了したら、そのカードに記される数字(プロジェクトの規模)と等しい多面体のダイスを振り、そこで出た目がプレイヤーが獲得する収益になります。(例:数字10のプロジェクトを完了したら、10面体のダイスを振り、出た目が得点に成ります。)

こうしてゲームを続けて行き、最初に40点を獲得したプレイヤーが勝者に成ります。

※多面体ダイスの代わりに一般的な6面体のサイコロを使用して遊ぶルールも有ります。


■ ゲームのポイント

このゲームのポイントは限られたネズミ従業員を如何にして効果的に投入するかと言う、リソースの管理にあります。従業員を常に仕事に投入した方が、リソースの投資効率は良さそうですが、いざ大きなプロジェクト物件が入札に掛かったときに、投入可能なリソースを残していないと、入札に勝つことが出来ません。みすみす、ライバル企業に少ないリソースで落札されてしまう恐れが生じてしまいます。

これは、株式投資に当て嵌めて考えれば、キャッシュポジションをどの程度残して行くべきかと言う判断に通じます。キャッシュを手元に残すことは投資効率上好ましくありませんが、かと言ってキャッシュポジションをゼロにしてしまうと、相場が大きく下落した好機に追加投資が出来なくなります。

この投資すべきか機を待つべきかのジレンマこそがこのシンプルなゲームの根幹を成すものです。

尚、説明として省略してしまいましたが、プロジェクトカードの中には2種の特殊カードがあります。これが「VETO」と言うプロジェクトの入札を無効化出来るカードと、「Big Cheese」と言うダイスの振り直しが出来るカードです。この2種のカードがルール上非常に上手く機能しており、ゲームに効果的なアクセントを加えてくれます。


■ アートワークについて

big_cheese.jpgこれは良くも悪くもCheapass社のゲームの特徴でもあるのですが、コンポーネントは極めてチープで、ちゃっちい代物です。

カードは名刺状の厚紙に絵がプリントされただけで、角も面取りすらされず尖っています。更に、プレイ上必要なダイス、マーカー、得点チップ等もセットには含まれていません。即ち、本ゲームを遊ぶためには、これらのパーツを併せて準備しなければなりません。

この様なシステムは日本や欧州では考えられない感覚ですが、ダイスやマーカーなどは自前で持っているので、それを添付しないことで値段を下げると言うのはある意味で良心的な販売方法と考えることもできます。(米国的な合理主義の表れでしょう。ちなみに、定価はUS$3.00と破格です。)

また、カードに描かれるネズミたちは、何気に味が有って可愛いです。


■ 入手について

息の長いゲームで、最近まで入手可能だと思ったのですが、改めて調べてみると現在は入手が難くなっている様です。もしかすると絶版扱いになったのかもしれません。元々、単価が安いことで利幅も少なく、日本の輸入業者もあまり扱っていない様です。只、結構な数が世に出ている筈なので、オークションで地道に探せば見つかる様に思います。

また、イタリア版が発売されているらしく、こちらならば現在でも入手可能と思われます。(但し、ネズミのイラストは米国版の方が私的には可愛いと思います。まぁ、これは好き好きですが..。)

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