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アクワイア(Acquir)

■ タイトル

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■ デザイナー

S.Sackson

■ 発売元

Habsro社(オリジナルは3M社)

■ プレイ人数

2~6人


■ ゲームの概要

不世出のゲームデザイナー、シド・サクソンがデザインした、ホテル経営をテーマにしたボードゲームです。経済or投資をテーマにしたゲームとしてだけでなく、全てのボードゲームの中でも極めて完成度の高いゲームと言っていいでしょう。

オリジナルのデザインは1962年にも遡り、ボードゲームの古典とも言えるものですが、そのゲームとしての面白さは、40年以上の月日を経た今日でも色褪せるものではありません。正に、「このゲームをプレイせずにボードゲームを語るなかれ」と言って良いゲームです。

古いゲームである故、何度が発売元が倒産する事態が発生し絶版の危機に瀕しましたが、その都度版権が引き継がれ、現在は米国Hasbro社より発売がされています。

ゲームの目的はホテルチェーンを拡大すると同時にその株式を集め資産価値を高めることにあります。このゲームの過程では必ずホテルチェーン同士の合併が発生することになります。このM&Aを如何に実行するか、またその際に持株の処分をどのように行うかがゲームの勝敗を左右することになります。


■ ルールの概要

ゲームボードは12×9のマス目に分割されており、それぞれにA-1,B-2と言った番号が振られています。また、それぞれのマス目に対応した番号のタイル1個ずつあり、各々のタイルが1件のホテルに相当します。

手番のプレイヤーは手持ちのタイルの中から1個を選んで、ボード上の対応するマス目に配置していきます。ここで、2つのタイルがボード上の並んだマス目に配置されたとき、それらのホテルはホテルチェーンと成り株式が発行(上場)されます。当該のタイルを置いたプレイヤー(要するに創業者)は株式を1枚もらいます。

また同時に、手番のプレイヤーは上場しているホテルチェーンの株式を購入することが出来ます。(但し市場に株があればですが。全て買い占められてしまっていたら、欲しくても買えません。)

ホテルチェーンを構成するホテルの数が増えるに応じてホテルの株価は上昇して行きます。従って、成長しそうなホテルの株を買うことが大切なワケですが、ここで重要なルールがあります。それは、配当金は筆頭株主と次点の株主の2名にしか与えられないと言うものです。従って、株式を買い進める以上は、筆頭株主(悪くても次点の株主)になる必要があります。

ところで、このゲームの最大のポイントはホテルチェーン同士のM&Aにあります。2つのホテルチェーンを合併させるには、2つのホテルチェーンを互いに接続する様なタイルを配置する必要があります。合併が発生するとその次点で規模の大きい方のホテルチェーンが存続企業と成り、規模の小さい方のホテルは吸収されて消滅します。

さて、ホテルチェーンを合併すれば、存続する側のホテルチェーンの規模は大きくなり、その分だけ株価も上昇します。では、吸収合併される側のホテルにメリットは無いかと言うとそうではありません。むしろ、吸収させる方が重要になるケースが多々有ります。

このゲームのポイントの1つは、市場に株が残っていて、かつ資金がある限り、株式の購入はいつでも可能である一方で、売却は一切出来ないと言う点にあります。即ち、ゲーム開始時に与えられたキャッシュは株式を購入するにつれて枯渇してしまいます。そこで、キャッシュフローを回復するために、ホテルチェーンを有る程度育てておいてから、より大きなホテルチェーンに売り飛ばしてしまう(吸収合併させてしまう)必要が出てきます。ここで、消滅側のホテルの株は時価で売却できるほか、存続するホテルの株と1:2の割合で株式交換することも可能です。また、消滅するホテルの筆頭株主と第2位の株主には特別配当金も支払われます。

要するに、会社を起業して軌道に乗ったら、それを惜し気もなく大手企業に売却してしまい、創業者が莫大な利益を得ると言う、典型的なM&Aの姿がここに出現するワケです。


■ アートワークについて

%E3%82%A2%E3%82%AF%E3%83%AF%E3%82%A4%E3%82%A2.jpg3M社より発売されたオリジナル版は、紙製ボードの上に木製のタイルを置いて行くと言う、非常に渋い造りをしていました。その後、幾つかのバージョンを経て、現在のHasbro版では、今時のゲームらしくプラスチック製のボードの上に立体のホテルのミニュチュアを並べると言う、人目を引く派手なギミックの物へと変更されています。どちらを好むかは人それぞれなのですが、シンプルなタイルを使用する古いタイプが、やはりアクワイアらしいと言えると思います。


■ 入手について

Hasbro版は現在でも入手可能です。米国では普通に販売されていますし、通販で買うことも出来るでしょう。また、日本のボードゲームショップ・輸入ゲームショップでも扱っていると思います。

一方、3M版・Avalon Hill版と言ったビンテージ物が欲しい場合には、やはりオークションの力を借りる必要があります。バージョンによって入手難易度が違うのですが、物に拘らないならば、米国のEBayに常時出品されているものを見つけることが出来るでしょう。但し、木製タイルバージョンや、最も古いオリジナルバージョン(ボードに世界地図が描かれています)が欲しいと言った話になると、Ebayで根気良く探す必要が出てきます。

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2007年11月08日 03:09に投稿されたエントリーのページです。

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