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ランダムウォーク

インデックス投資のバイブルと言えば、バートンマルキール博士が著した「ウォール街のランダムウォーク」ですが、その中の1節に次ぎの様な趣旨の記述があります。

曰く、50ドル持ってスタートし、コインを投げて表が出たら50セントプラス、逆に裏が出たら50セントマイナスする。これをチャートに描くとあら不思議。それっぽい株式チャートが一丁完成。トレンドラインを描いたり、時にはヘッド&ショルダーを形成したりもする。熟練のチャーチストもコロッと騙された。..と言うお話。

要するに、「株価の動きなんて全くのランダムウォークであって、チャートはその偶然の産物に過ぎない。従って過去のチャートから未来の株価を予測することなんて不可能」と言うワケ。


実は以前、この話を検証したことがあったのですが、ちょっと思うところがあって、この話を改めて試してみることにしました。

..で、今回行ったシミュレーションは次のようなもの。(コイン投げの例は実際の株価変動に対して極端すぎるので、より現実の騰落率に近いランダムな変動ルールを採用します。)

 ・期間は1年間に相当する240日とする。
 ・株価は1日につき、-1%~1%の間で変動する。
  具体的には、1日の騰落率はsin(x)/100とする。(xはランダム)

以下、本シミュレーションを10回続けた結果の全チャートを示します。また、よりそれっぽく見せるために、25日と13週の移動平均を合わせて描画しました。(注:恣意的なチャートの選別はしていません。あくまでも10回続けたシミュレーションの結果です。)

今回、改めてやってみて、その結果には改めて驚嘆させられます。何れのチャートも如何にもそれっぽくて、如何にでも後講釈が付けられる代物です。

例えば、一番右上のチャート。「下降トレンドから2番底を付けた後反転。トレンドラインに沿って上昇中。」みたいな解説が可能でしょう。

他にも、上から2段目右のチャート。「5%付近の上値抵抗線をブレイクした後、株価は水準訂正して大幅に上昇。」なんて言う解説が如何にも付きそう。

また移動平均をみてもまた興味深く、移動平均線付近で株価が反発するケースが多々見られます。これは、株価が移動平均で反発しているのではなく、株価の反発に合わせて移動平均が変化していることを意味していると考えられます。

「株価が移動平均線を上抜いたので買い」とか、「ゴールデンクロスの現示で買い」とか、それっぽい値動きがこれらのチャート上にも多数見られますが、やはり根拠の無い投資法と言うことでFAでしょうか..。

只、私自身は依然として「チャートは100%無意味である」とは考えていません。今回のシミュレーションが示したのは「ランダムな事象の積み重ねが株株価の如き軌跡を描く」と言う事実であって、「株価の描く軌跡が全くのランダムである」と言う証明ではありません。そして何より、チャートを信じる人が多数存在すると言う事実がある以上、株価の変動はチャートの変化と独立な事象では在り得ないと考えます。

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2007年09月12日 23:41に投稿されたエントリーのページです。

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