2026年グリーンF先行募集で確定した出資馬

今年のグリーンF先行募集が終了。ターリーの25・サザナミの25・レイアネラの25・シネマソングの25・エイシンバンバの25の5頭について出資が確定しました。以下、この5頭について出資判断に至った事由を備忘録として記します。

ここで個別の評価に入る前に、今年の出資方針についてメモしておきます。自分はこの数年間の募集において「馬格の大きいこと」を重視して出資判断をしてきたのですが、結果として出資馬がダート専門馬に偏重してしまい、持続力に頼り瞬発力に欠けた結果、勝ち上がり率が低下してしまいました。

以前は「芝の中距離馬を狙って出資し、スピード不足の場合はダートに活路を見出す」事例が多く、結果的に成績も良かったことから、今年の出資では馬格が小さめでも長所があれば拾ってゆく方針に切り替えました。

1.ターリーの25(父:Ace Impact)

最大の出資の決め手は父が凱旋門賞馬Ace Impactであること。ターリーの25は海外で種付けが行われ、母馬が受胎状態で輸入され社台スタリオンで生産された持ち込み馬です。グリーンFで持込馬が募集されることは稀で、本馬を逃したらAce Impact産駒に出資できる機会は限りなくゼロと考えました。

ここで、Ace Impactが制した凱旋門賞と仏ダービーの動画を改めて見るとこれが衝撃的で、その末脚のキレに脳を焼かれました。父馬が欧州血統になると日本競馬でのスピード不足が懸念されるところですが、Ace Impactについては欧州では異質の瞬発力を示しており、絶対的なスピード不足に悩まされることは無い様に思われます。

それを踏まえて駐立写真と歩様動画を見ると、筋肉の発達はこれからですが、バランスの良い立ち姿をしています。スッキリした馬体は芝馬であることを想起させ、曲飛傾向の飛節と胸前からは瞬発力を感じます。歩様は前肢の出が柔らかく素軽さが見て取れます。後肢の動きは踏み込みが気持ち浅く後ろに流れ気味ですが、これは5月生まれによる緩さの影響であり、今後の成長でカバーできると考えました。

さらに、預託先が杉山佳明厩舎であったことも本仔を好評価したポイント。過去に出資馬が杉山厩舎にお世話になったことはありませんが、ナイトアクアリウムの運用等を傍から見ていて「良い先生だな」と思っていました。その先生が会報にて「私の厩舎で預託の決まっている1歳馬の中でも、期待している1頭です。」と高評価されたことは出資を後押しする材料になりました。

一方で懸念材料は測尺。募集時の433kgは誕生日が5月であることを考えれば懸念材料となりませんが、微妙なのは管囲です。19.1cmは悩ましいところですが、前述の通り馬格評価の基準はある程度緩める方針から、19cm以上はOKと判断しました。実際、最近の統計データからは「管囲と競争成績の直接的な相関性は明らかではない」と言う分析結果も示されています。

最後に改めて確認したのは持込馬に関するルールです。もし本仔が外国産馬として扱われるならば「牝馬限定戦に出走が出来ない」などの著しいハンデが発生します。しかし、生産地が社台スタリオンである時点で本仔は内国産馬として扱われ、特別な出走制限は課せられず、奨励金も同様に支給されることを確認しています。

2.サザナミの25(父:ゴールドシップ)

本仔への出資を決定した最大の事由は母サザナミが自分の一口馬主で最初の出資馬であったこと。サザナミの活躍こそが自分が一口馬主に傾倒した要因の1つです。募集開始時点で本仔は様子見する腹積もりでしたが、思ったよりも下馬評が高かったことと、母サザナミが繁殖牝馬セールに上場されるニュースを耳にし、「本仔がサザナミの産駒に出資できる最後の機会」と考えたことが決め手になりました。(注:その後、サザナミの繁殖牝馬セール上場は取り下げになりました。原因は不明です。)

本仔はサザナミの6番仔ですが、上5頭から中央で勝ち上がった馬が出ていません。その原因は馬格が小さいことにあると考えられ、実際、上5頭のデビュー戦の平均馬体重は僅か410kgでしかありません。そう言う意味で、サザナミの仔に出資する場合は最低限の馬格のあることが必須条件であると考えていました。

そこで本仔ですが、会報に記載された7/1付けの馬体重は403kgで、ここから統計的に推定される3歳時馬体重は486kg。流石にここまでは大きくなれなくても、440kg超で競馬が出来る蓋然性は高いと考えられ、上の5頭とは明らかに馬格が異なりそうです。会報によれば出生時の馬体重は51kgでこれも兄姉よりも大きく出たとのこと。レポートされた須田さんの「いよいよ母が走る仔をだしたのではという期待が高まる」のコメントは出資に向けて背中を強く押すものでした。

駐立写真を見ると幼さが目立ち、筋肉の発達もこれからの印象ですが、これは誕生日が4/27であることを踏まえれば止むを得ないところでしょう。一方で歩様動画は前肢の出が柔らかく可動域が広い。後肢の踏み込みも幼い割にはシッカリと踏み込めており、全体的な体の動かし方は上手だと思います。

そして何よりも惹かれたのが、瞳・額・頬の雰囲気が母サザナミに似ているところ。明らかに母の形質を本仔は引き継いでいると感じました。

「ステイヤーの父とスプリンターの母」と言う極端な配合がどう出るのかは蓋を開けるまで分かりませんが、個人的に本仔は半兄スズナミの様な芝の長い距離に適性がある様に感じており、そこはゴールドシップ産駒の適性に合うものと期待しています。ゴールドシップの種牡馬成績は地味ながら通算AEI=1.22と安定しており、AEI/CPIも基準の1.0をクリアしています。これは社台系の繁殖牝馬が少ない中では相当な健闘であり、見直されて良いと思います。

一方で最後まで出資を躊躇した不安要素は膝。両前肢の膝が被り気味に見えます。膝被りで走る馬もいますが、故障リスクを考えると出来る限り育成段階で矯正して欲しいところです。ここは社台ファームの育成ノウハウに期待するよりありません。

最後に預託先である牧田厩舎の評価です。2026年のリーディングが急落している点が気になりますが、前年は60位で中堅クラスを確保していますし、クラブ馬回収率140%とクラブ馬勝ち上がり率49%は平均値をクリアしています。グリーンFの馬が預託されるのはブランドベルグ以来の13年振りですが、過去3頭は何れも勝ち上がっており、ブランドベルグは3歳重賞にも出走しています。グリーンFとは好相性の厩舎と言って良いでしょう。

3.レイアネラの25(父:モーリス)

自分的に今年のグリーンF募集馬でトップの評価をしたのが本仔でした。馬体、牝系、生産、育成、厩舎など、様々な角度から評価して死角のない評価内容でした。

先ずは牝馬としては十分すぎる馬格。3月生まれで募集時馬体重が460kgは立派ですし、何よりも180.5cmの胸囲は実が詰まっている印象です。管囲は20.5cmで、骨太過ぎず芝で走れるレベルと判断しました。既に筋肉の発達も確認出来、胸前もトモも張り出しています。適度な斜尻と曲飛傾向の飛節からは瞬発力を感じました。

歩様は前肢の出が柔らかくて可動域も広い。後肢も深く踏み込めています。前後の歩様にも違和感は無く、真っ直ぐ歩けていて特段の減点材料は見つかりません。耳の動きからは少し煩い気配を感じますが、これも懸念するレベルでは無く、むしろ適度な疳性と評価しました。

そして見逃せないのが生産と育成。本仔の所有者は那須野牧場ですが、生産はノーザンFであり、ミックスセールに上場された本仔を那須野が落札した経緯があります。これが何を意味するかと言うと、競争馬として重要な育成と外厩をノーザンFに委託できると言うこと。これは那須野馬としては大きなアドバンテージと言えます。さらに本仔は牝馬ですから、将来的に那須野牧場で繁殖に上った後は、産駒がグリーンFに卸される蓋然性が高く、その際は母馬優先権が得られることになります。

この将来の繁殖入りまで視野に入れた時に重要なのが牝系の評価。レイアネラの母シェルズレイは自身もチューリップ賞3着の成績がありますが、その産駒にシャイニングレイ・レイパパレの重賞馬を出しており、全体の高い勝ち上がり率を含めて、明らかにダブルコピー牝馬であると評価されます。母レイアネラは2回の開腹手術の末に競走馬としてデビューが出来ませんでしたが、父モーリスを配合した本仔もまたダブルコピー牝馬となる蓋然性が高く、繁殖牝馬としての価値も上がります。その将来性を含めて那須野牧場はミックスセールで本仔を落札した筈です。

更にプラス評価されるのが預託先の田中博康厩舎。近年はリーディング10位前後をキープしており、若くしてG1を13勝もしています。昨年は仏G2でも勝利を収め、日本を代表する調教師となりました。グリーンFの預託先厩舎としては飛び抜けた成績の厩舎ですが、これは田中博康師の騎手時代からの繋がりでもあり、本仔が活躍することでさらに縁故を深めたいところです。

これは個人的な考えなのですが、グリーンF募集馬の預託先厩舎を決定するプロセスを想像したとき、先ずは(アンデスクイーン産駒の様な)募集馬と縁故関係の強い厩舎を決定し、その他の募集馬は上位厩舎から順に管理馬を選んで貰っていると推測しています。この想像が正しければ、本仔は師が今年の募集馬の中でトップクラスの評価をした仔馬と言うことになります。

最後に強いて懸念材料を上げると、モーリス牝馬の成績です。確かにモーリス産駒には「牡馬>牝馬」の傾向性が見られ、重賞勝馬も牡馬の方が圧倒的に多い状況です。只、勝ち上がり率は牝馬全体の平均を超えていますので、コルトサイアーと断じるレベルでは無いでしょう。昔は「Roberto系の牝馬は走らない」等と言われましたが、Robertoの血が血統表の5代目まで薄まった現状ではそこまでの影響力はないと思っています。

4.シネマソングスの25(父:ホッコータルマエ)

グリーンFではお馴染みの牝系、シネマソングスの4番仔です。個人的にはウォータースパウト・エンドクレジットに続いて3年続けての出資になりました。ポイントは本仔が牡馬であること。そして馬格が兄姉とは全く異なる点です。

その馬格ですが、募集時の馬体重は467kgで、3歳時の予測体重は500kg超になります。これは436kgでデビューした半兄グレイテストソングスよりも遥かに大きく、半姉ウォータースパウトと比較しても1回り以上大きい馬格です。管囲は21.0cmで骨量が豊富。明らかなダート適性を感じさせます。

駐立写真をみると大きなトモとそれに付随する中殿筋が目を惹きます。それでいて腰高なフォルムをしていますから、更なる成長が見込めます。グレイテストソング・ウォータースパウトと比較すると兄姉ほどは斜尻傾向に無く、飛節は曲飛です。この辺りの特徴は母シネマソングスよりも、父ホッコータルマエの形質を引き継いだ印象を受けます。

歩様動画は前肢の可動域が広く、かつ柔らかい動きを見せています。後肢の動きは踏み込みが深く、力強さを感じさせます。前後の動きに変な癖はみられず、真っ直ぐに歩けています。気性面も安定している印象で怪しい挙動は見られません。

父ホッコータルマエの繁殖成績は中央競馬でこそ目立ちませんが、地方競馬ではリーディングサイアーの地位を確保しています。それもあってか、産駒の大きなタイトルは交流重賞に偏重していますが、昨年はブライアンセンスがマーチSを制しています。むしろ、通算CPIが0.76と低い中でこれだけの成績を収めていることを評価すべきであり、繁殖の質が上がるにつれて中央のタイトルも取ってゆくものと思います。

配合と言う切り口でみても、本仔のダート牝系×ダート種牡馬の組み合わせは方向性が明確であり、実際に出た仔の馬格をみても、その狙いは期待通りに嵌ったものと思います。

一方で本仔の懸念材料は厩舎力。アースリヴィングから連なる本仔の牝系は全て小笠厩舎に預託されています。この関係性は今後も揺るがないと思われますが、その小笠厩舎のリーディング成績は平均して100位を下回っています。AEI/CPIも0.61と低迷しており、馬質に見合った成績を出せていないことを示唆しています。只、本仔の牝系を厩舎が大切に扱っていることは疑いなく、個人的にも出資馬ウォータースパウトは勝ち上がれませんでしたが、その運用に特段の不満はありませんでした。

結論として、本仔については厩舎リスク以上にその他の評価が魅力的であることから、出資を決断しています。

5.エイシンバンバの25(父:シャンハイボビー)

今年の特別提供馬です。同じく特別適用馬で2勝クラスまで進んだサミアドの全弟になります。本仔の兄姉は既出走の中央馬3頭が全て勝ち上がり、地方デビューした2頭も南関でB級まで上がっており、実質的に中央の1勝馬相当です。地味目な牝系ですが、極めて小出しの良い母馬と言えるでしょう。

募集時の馬体重は452kgで3歳時の予測体重は512kg。胸囲179cmと管囲20.5は全兄サミアドに引けを取りません。斜尻傾向と直飛のスタイルもサミアドに類似しており、胸前とトモの発達も兄譲りです。

歩様動画を見ると前肢の柔らかい動きと可動域は兄以上にも見えます。一方で後肢の動きは踏み込みが兄よりも少し浅くて力強さの点で見劣りするかもしれません。何れにしてもサミアドと同様の先行スピード能力を期待して良いと思います。

また、配合面もサミアドが2勝クラスまで進んだことから折り紙付きです。預託先厩舎が本牝系を熟知する竹内厩舎である点もプラス材料でしょう。

2勝馬サミアドと酷似した本仔が特別提供馬として無償で提供される辺りが、グリーンFの面目躍如と言うところでしょう。多少の懸念材料は無償提供である事実を前に意味を成しません。本仔を貰わない手は全く考えられませんでした。(先着枠150口を狙って速攻で応募封筒を投函しました。)

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