2025年度グリーンF募集馬の発表②

2025年度グリーンF募集馬のカタログスペックを確認したところでの第一印象を簡潔に記すシリーズの後半です。(前半はこちら)

※ 馬名の前の■をクリックするとnetkeibaの当該馬の頁が開きます。


イマーキュレイトキャットの24(父ナダル)社台F

曾祖母ミエスクから連なる超優良牝系。ミエスク自身の戦績はG1×10勝を含む海外12勝。近親にもキングマンボを始めとして活躍馬が多数存在して、挙げ切れないレベル。但し、祖母Myhrrhaに関しては戦績が確認できず、母イマーキュレイトキャットも1勝止まりです。微妙に先細り気味ではありますが、半兄ファルコメンがダービー卿チャレンジで2着に入るなど中央4勝、半姉メインクーンも3勝を上げています。既走の兄姉は3/5で勝ち上がっており、牝系の力は健在と言えます。本仔はその7番仔。出生時の母年齢は16歳です。グリーンF所属馬との縁故関係はありません。
母父Storm Catは勝ち上がり率=41%で優秀。牝馬に限ると33%に低下しますが、悪い数字ではありません。

父ナダルはG1×1勝、G2×2勝の活躍馬でしたが、故障に因り若くして引退。種牡馬生活に入りました。初年度産駒は昨年デビューして勝ち上がり率56%の高成績を記録。牝馬に限定しても勝ち上がり率は49%で遜色はありません。通算AEIは0.63ですが、年を経る毎に成績は向上し、2025年は0.92まで上昇しています。また勝ち上がり率も44%と繁殖の質を考えれば高く、牝馬に限定しても40%を記録しています。

アースサウンドの24(父ニューイヤーズデイ)那須野

母アースサウンドはグリーンFが輸入した外国産馬。2歳時から兵庫ジュニアGPで2着、全日本2歳優駿で3着を記録し、オープン入りした後も2勝をした活躍馬です。本仔はその10番仔。本仔の兄姉9頭の内の7頭がグリーンFから募集されており、4頭が勝ち上がりを決めています。グリーンFとは極めて縁故関係の強い牝系であり、勝ち上がり率も水準以上なのですが、懸念材料は多くの兄姉が喉や脚元に疾患を生じている点。この辺りのリスクは出来る限り様子見をしてヘッジしたいところですが、デビュー後に発覚するケースも多く、回避が難しい状況です。
母父はYes It’s Trueで、勝ち上がり率は69%に達します。但し、この半数はアースサウンド産駒の成績が占めており、データのサンプル数は十分と言えません。

父ニューイヤーズデイは米国産の競争馬で、2歳時にBCジュヴェナイル(G1)を制しました。しかし、その年の暮れの調教中に骨折を起こしてしまい、そのまま引退。種牡馬生活に入ると、マキシマムセキュリティ・ファイティングマッドのG1馬を輩出し、日本に輸入された後も、初年度産駒から全日本2歳優駿(Jpn1)を制したミリアッドラヴを輩出しています。中央の重賞勝利こそありませんが今年も大井・東京スプリント(G3)をエートラックスが勝利しており、今後も成績を上げて行くことが期待される種牡馬です。

※ 本仔の当歳時の駐立写真がハシモト牧場のサイトにて確認することが出来ます。

チカアレグレの24(父ニューイヤーズデイ)社台F

祖母エルーセラから連なる牝系。エルーセラはロワイヨモン賞(仏G3)の勝ち馬で、引退後は繁殖牝馬として日本に輸入されました。母チカアレグレは3歳7月に5馬身差の逃げ切りで初勝利を上げましたが、それ以降の戦績がありません。詳細不明ですが故障による抹消と思われます。本仔はその4番仔で、上3頭の内の2頭が中央勝ち上がり。2番仔のマスクオールウィンがフェアリーS(G3)で2着を記録してOP入りを果たしています。なお、グリーンF所属馬との縁故関係はありません。
母父はハーツクライで勝ち上がり率は32%。牝馬でも有意差はありません。

父ニューイヤーズデイに関してはアースサウンドの24の項を参照。ニューイヤーズデイとハーツクライの配合についてはサンプル数10頭ですが勝ち上がり率は20%に低迷しています。

レディプランスアロットの24(父ブリックスアンドモルタル)社台F

曾祖母Filfilahから連なる牝系。近親に海外重賞を4勝したAlmanaarがいます。本仔の祖母Naqrahは競争成績がありません。母レディプランスアロットはアメリカンオークス(G1)を始め、海外5勝・重賞3勝の名牝です。本仔はその2番仔。全姉ロッツオブプランスは現時点で3戦して未勝利。勝ち上がりは難しそうな状況です。グリーンF所属馬との縁故関係はありません。
母父Sir Prancealotはサンプル数が少なく、既走馬の1/3が勝ち上がっています。

父ブリックスアンドモルタルはBCターフを始めとして海外G1を5勝・重賞8勝を上げた活躍馬で、社台スタリオンが鳴り物入りで導入しましたが、初年度産駒の成績はその期待レベルに及びませんでした。通算AEIは0.53で勝ち上がり率は30%に低迷しています(牡馬に限れば勝ち上がり率は37.4%)。一方で、初年度産駒からJBCレディスクラッシック(Jpn1)を制したアンモシエラが出ており、AEIも年々上がって来ていますので、育成の方向性が定まれば成績向上は見込める気がします。

ちなみに、ブリックスアンドモルタル産駒の成績を社台F生産馬に限定すると、勝ち上がり率で牡馬が50%、牝馬が26%です。牝馬はリスクが大きいですが、牡馬は30頭中の3頭がOP馬でもあり、出資候補に充分なり得ます。

フリスコベイの24(父ヘニーヒューズ)那須野

母フリスコベイは米国から那須野牧場が輸入した競争馬。生涯成績2勝ですが、兵庫ジュニアグランプリ(Jpn2)で2着の良績を残しています。さらにその産駒からはブッシュガーデン、ナスノカンゲツの3勝馬を輩出しており、既出走馬7頭中の3頭が複数勝利を上げています。本仔はその8番仔。一つ上の半姉シャインフォーミーがグリーンFから募集されており、本仔で2年連続の募集となります。
母父Hard Spunは既走馬37頭中の22頭が勝ち上がっており、勝ち上がり率59%の好成績を残しています。さらに牡馬に限れば12/19の勝ち上がり率63%にアップします。

父ヘニーヒューズはダート短距離~マイルを主戦場に米国G1×2勝を含む重賞4勝をした活躍馬。BCジュベナイル(G1)でも2着に入っています。引退後は種牡馬生活に入り、中央競馬でもモーニン・アジアエクスプレス・ワイドファラオなどのG1馬7頭を輩出しました。通算AEI=1.27、勝ち上がり率48%(牡馬52%, 牝馬43%)はダート系種牡馬としてトップクラスと言えます。只、加齢に因るものなのか、近年は少しずつ成績が落ちている点に留意が必要かもしれません。
また、ヘニーヒューズとHard Sppunの配合も優秀で全3頭が勝ち上がりを決めており、内1頭は全兄の2勝馬ナスノダケです。

レッドミラベルの24(父ベンバトル)社台F

マルセルブサック賞(仏G1)で2着の成績のある祖母ダンスーズデトワールから連なる牝系。近親にはアルゼンチン共和国杯(G2)を制したルルーシュがいます。一方で、母レッドミラベルは中央1勝止まり。本仔はその5番仔。兄姉は2/4頭が勝ち上がっており、特に1つ上のリアライズシリウスは先日強い競馬で新馬勝ちを決めています。グリーンF所属馬との縁故関係はありません。
懸念材料は母父のステイゴールドで、勝ち上がり率が18%に低迷。但し、牡馬に限定すれば29%にアップします。さらに、社台Fに限定すれば全体41%(牡馬50%)に改善しますので、過度な懸念は無用かもしれません。

父ベンバトルは英国産のDubawi産駒で、2018年のドバイターフ(G1)を制しています。このレースではリアルスティール、ヴィヴロス、クロコスミア、ネオリアリズム、ディアドラ、と言った錚々たる日本馬を下しています。今年から初年度産駒がデビューを果たしており、現時点で4頭デビューして未勝利ですが、詳細は0-3-0-2なので、まだまだ懸念する状況ではありません。

スターシップトラッフルズの24(父ホットロッドチャーリー)社台F

祖母Bobbie Useはリステッド競走を含む海外2勝馬。母スターシップトラッフルズはプリンセスルーニーH(米G1)を制した他、海外14勝を上げています。本仔はその9番仔。中央で出走歴のある兄姉は4頭存在し、勝ち上がり率は100%。3頭が複数勝利を上げています。デビューに至らなかった仔が2頭いますが、無事に成長出来れば成績を残せる良繁殖と言えます。グリーンF所属馬との縁故関係はありません。
母父Ghostzapperは既走馬の勝ち上がり率が61%で極めて優秀。牝馬に限定しても42%で十分です。さらに(サンプル数は少ないのですが)社台F生産馬に限れば、12/14が勝ち上がって率にして86%。牝馬に限定しても全3頭が複数勝利を上げています。

父ホットロッドチャーリーはペンシルヴァニアダービー(G1)の他、中距離ダートで重賞4勝を上げた活躍馬。ドバイワールドCでも2着の成績を収めています。引退後は社台スタリオンに輸入され、本仔が初年度産駒。父の脚質が中距離ダートであったことから、スピード不足の懸念は残りそうです。

アンデスクイーンの24(父マインドユアビスケッツ)ノーザンF

母アンデスクイーンは元グリーンF所属馬でレディスプレリュード(G2)を始め交流重賞を3勝した功労馬。さらにその初仔であるアンデスビエントが関東オークス(G2)を制し、2番仔のレイナデアルシーラも2勝クラスを強い内容で突破しており、アンデスクイーンの繁殖能力は疑いのないものとなっています。全ての産駒はグリーンFから募集されており、本仔はその4番仔で初めての牡馬になります。上3頭の半姉の募集も大人気でしたが、牡馬に出た本仔の人気はそれ以上になると予想できます。
母父タートルボウルはブルードメアサイアーとして成績が優秀で、勝ち上がり率は54%(牡馬50%)に達しています。

父マインドユアビスケッツは米国からの輸入種牡馬で、現役時代にはドバイ・ゴールデンシャヒーンを連覇する大活躍をしています。短距離ダート馬のマインドユアビスケッツですが、その産駒にはスピード能力を伝えるのか、ダートに限らず芝のマイル~中距離で走る馬を出しています。特に初年度産駒からUAEダービー(G2)を制したデルマソトガケを出した影響は大きく、本仔はその戦績が出た後の種付けになります。通算AEIは0.67ですが、今年に限れば1.09に急上昇しており、これは繁殖の質のアップに因るものと思われます。勝ち上がり率は34%ですが牡馬に限れば41%であり、これも繁殖の質の向上によりアップしたものと思われます。

シネマソングスの24(父リオンディーズ)那須野

祖母アースリヴィングから連なる牝系。アースリヴィングを始めとして、全ての産駒がグリーンFから募集されているクラブを代表する牝系です。祖母アースリヴィングは3勝馬ですが、兵庫JRグランプリ(Jpn2)で2着、UAEに渡ってオークスと1000ギニーで2着を記録しています。一方、母シネマソングスは重賞タイトルこそありませんが、OP馬として重賞を5戦しています。本仔はその3番仔で、初仔の半兄グレイテストソングは未勝利~1勝クラスを連勝し、能力の片鱗を垣間見せています。
母父ハーツクライの勝ち上がり率は32%で、牝馬でも有意差はありません。

父リオンディーズは朝日杯FS(G1)を制し、弥生賞でも2着に入る期待馬でしたが、ダービー後に浅屈腱炎を発症して現役を引退。種牡馬生活に入ると初年度産駒から兵庫CS(Jpn2)を制したリプレーザ、後の天皇賞馬テーオーロイヤルを出しました。さらに、リオンディーズとハーツクライの配合からは今年の皐月賞馬ミュージーアムマイルが出ています。
通算AEIは0.94ですが、繁殖の質のアップに連れて年々成績が向上。今年は1.27に上昇しています。一方、既走馬の勝ち上がり率は33%でAEIの割に低調で、牝馬に限ると28%に低下します。只、グリーンF所属馬に限れば過去5頭が募集されて3頭(何れも牝馬)が勝ち上がっており、相性は良いかもしれません。

サラフィナの24(父レイデオロ)社台F

祖母Sanariyaは生涯5走して未処理でしたが繁殖成績に優れ、産駒から4頭の海外重賞着内馬を算出しています。その中でも母サラフィナは優れた実績を残し、仏オークスを始めとしてG1を3勝。凱旋門賞でも3着の成績を残しています。本仔はその9番仔で、半兄にメシドール賞(海外G1)を制したジェニアルがいます。グリーンF所属馬との縁故関係はありません。
母父Refuse to Bendは5/13の勝ち上がり率38%ですが、牝馬に限定すると1/4の勝ち上がり率に留まります。

ダービー馬である父レイデオロは本仔が4世代目となる種牡馬ですが、通算AEIは0.64に留まり、既走馬の勝ち上がり率も31%に低迷しています。特に牝馬の成績が壊滅的で通算AEI=0.18、勝ち上がり率は14%の惨状です。牡馬に限れば通算AEI=1.07の勝ち上がり率47%で優秀とも評価出来るのですが、牝馬になると手を出し難い状況です。

ダノンフローラの24(父ロゴタイプ)社台F

4代母Ivanjicaは凱旋門賞を制した名牝で、G1×3勝を含む重賞×5勝を上げています。本仔の祖母ファンジカも海外重賞×2勝の活躍馬で、日本で繁殖生活に入るとハイアーゲーム・ダイワマッジョーレの重賞馬を産出しました。ラストクロップとなった5勝馬ファンタジステラは元グリーンFの所属馬です。母ダノンフローラも新馬勝ちを収めた期待馬でしたが、恐らく故障により僅か4走で引退し繁殖生活に入りました。本仔はその10番仔(出生時の母年齢は20歳)で、半兄にはOP馬のワセダインブルーがいます。
母父アグネスタキオンは勝ち上がり率29%ですが、牝馬に限れば32%にアップします。

父ロゴタイプは皐月賞・安田記念など、G1×3勝・重賞×4勝の名馬ですが、種牡馬としての成績は通算AEI=0.56、勝ち上がり率16%に低迷しています。繁殖の質に恵まれない感もありますが、重賞馬がミトノオーのみに留まる点が評価を受けない要因かもしれません。

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