2020年度グリーンF募集馬の第一印象②

2020年度のグリーンファーム募集馬について、ファーストインプレッションを書き残すシリーズの2回目です。(前回はこちら
今回はNo8~No13の6頭についてレビューしてゆきます。


8.アースリヴィングの2019

父  :ルーラシップ
母父 :Yonaguska
性別 :牝馬
毛色 :鹿毛
FN :13号族
誕生日:2019/04/14
生産 :那須野牧場

母アースリヴィングはクラブ所属の外国産馬で、兵庫ジュニアGP2着の後、海外競馬に挑戦し、UAEオークスでも2着の好成績を残しました。また、その産駒も全てグリーンFから募集されており、長子のシネマソングスは先日2勝クラスを勝ち上がってます。

一方で、産駒は全体的に健康面に優れない傾向があり、2番仔のアースビルボードは蹄の疾患(蹄葉炎?)によりデビュー前に引退、3番仔のエールプレジールもボーシストを発症して思うような育成が出来ていません。但し、そのエールプレジールも厳しいながらも勝ち上がりに向けて競争を続けていることから、健康面さえクリア出来れば産駒の競争能力は一定レベルが確保できるとも考えらえます。その点、4番仔の本仔は1年の空胎を挟んだことで、健康面の不安は多少なりとも緩和されることが期待されます。只、1年空けた割には誕生日が4月の点は残念です。

本仔の父は2年続いたオルフェーヴルからルーラーシップへと変わりました。もっとも、ルーラーシップの成功パターンはサンデー系牝馬との配合ですので、母系にサンデーの血を持たないアースリヴィングとの配合には正直なところ妙味を感じません。上2世代の父オルフェーヴルもサンデー系牝馬との相性の良い種牡馬でしたので、アースリヴィングの配合相手にはもう少し工夫が欲しい気がしてなりません。個人的にはディープインパクト系牝馬との配合が面白いのではないかと思うのですが..。

最後に、本仔に関する最大の懸念事項は所属先厩舎です。どうにもこの牝系の所属先は確定事項の雰囲気ですが、上3世代が順調さを欠いているのも事実であり、ここは仕切り直しを期待したいところです。

9.ボーナスチャンスの2019

父  :ジャスタウェイ
母父 :エンパイアメーカー
性別 :牡馬
毛色 :鹿毛
FN :4号族
誕生日:2019/03/31
生産 :那須野牧場

本仔の祖母ポンテペルレが元グリーンF所属馬で、本仔の1つ上で初仔のルーチェビアンカは、昨年グリーンFから特別適用馬として募集されています。2番仔の本仔は父がディープブリランテからジャスタウェイへと変わりました。

近親にフリオーソのいる牝系ですが、母ボーナスチャンスは未勝利馬であり、姉ルーチェビアンカも未出走であることから、現時点で評価ポイントを見出すことが難しい募集馬です。加えて、ルーチェビアンカが特別適用馬であった点も、本仔の評価を下げてしまうかもしれません。

また、父ジャスタウェイの産駒も期待ほどの成績は残せておらず、配合的にも妙味を感じません。加えて、「フェデリコテシオ理論」で見ても、ジャスタウェイは当該年度から劣勢期に入っている点が残念です。唯一、牡馬である点はプラス評価なので、あとは馬体の出来が素晴らしいことに期待を掛けたいと思います。

10.ジェシカの2019

父  :リオンディーズ
母父 :トニービン
性別 :牡馬
毛色 :鹿毛
FN :8号族
誕生日:2019/02/19
生産 :ノーザンファーム

個人的に全くのノーマークだった募集馬です。グリーンF募集馬としては「あるある」と言える、ノーザンFの高齢出産馬枠の募集馬です。本仔は母が19歳の産駒で、遥か上の半兄レイヴはグリーンF所属馬でした。

もっとも、母が高齢とは言え前年が空胎であることから、ある程度のデメリットは緩和されると考えられますし、母16歳時の産駒ジェシーがオープン馬まで出世していますので、単に母年齢だけで切り捨ててしまうのは、チャンスの逃すことに繋がるかもしれません。

本仔の父はリオンディーズに変わっており、個人的に配合的な妙味を感じます。ポイントはサンデーサイレンスの4×3ですが、リオンディーズのサンデーサイレンスの血はスペシャルウィーク経由なので、このクロスはプラス評価になると予想しています。これはエピファネイア、リーチザクラウンと同じ傾向になります。

昨年募集のレースウィングと同じカテゴリと考えられ、募集価格も抑えられると思いますが、本仔は牡馬で配合的にも妙味を感じることから、今年の募集馬の中で個人的なタークホースに浮上しています。

11.ファニーストーリーの2019

父  :ドレフォン
母父 :Distorted Humor
性別 :牝馬
毛色 :鹿毛
FN :2号族
誕生日:2019/05/06
生産 :社台ファーム

スマートボムシェルの半妹で、近親には重賞勝馬のシビルウォーのいる牝系です。グリーンF所属馬との縁故関係は特に見当たりません。スマートボムシェル以降、父馬にはゴールドアリュールが配合されて来ましたが、その死去により、本仔には新種牡馬のドレフォンが配合されています。

ファニーストーリーの産駒は過去に7頭がデビューして内5頭が中央で勝利を上げており、勝ち上がり率の高い母馬であることがわかります。只、本仔は父馬のタイプが短距離系のドレフォンに変わっており、そこがどの様に出るかは未知数でしょう。

ドレフォンの配合上のポイントは不明ですが、母ファニーストーリーも短距離ダートを主戦場にしたことから、スピードのある仔馬が出ることは期待できそうです。そして何より、グリーンFとは超絶相性の良いスピード系の2号族である点は、オカルトながら心を惹かれます。

12.ティアラトウショウの2019

父  :ドレフォン
母父 :アドマイヤムーン
性別 :牝馬
毛色 :鹿毛
FN :5号族
誕生日:2019/02/25
生産 :ノーザンファーム

伯母にGⅠ3勝を上げたスィープトウショウのいる一大牝系です。只、本仔の母ティアラトウショウは未勝利のまま僅か4戦で引退しており、上の2頭にも未だ勝利の実績はありません。

父は新種牡馬のドレフォンですが、本母との相性を推測する材料はありません。今年のノーザンF生産馬の1頭ですが、「出産時の母年齢が7歳と若いこと」と「牝系の豪華さ」を除けば、スペック的には妙味を見出すことが難しい募集馬だと思います。

13.デザートオブムーンの2019

父  :マジェスティックウォリアー
母父 :ゼンノロブロイ
性別 :牡馬
毛色 :鹿毛
FN :4号族
誕生日:2019/04/13
生産 :社台ファーム

デザートオブムーンの産駒としては、ヴェイルオブナイトに続いて2年連続の募集となります。父はパイロからマジェスティックウォリアーに変わりました。祖母グラップユアハートは重賞を5勝した名牝で、元グリーンF所属馬の母デザートオブムーンもダートの中距離で3勝を上げる成績を残しています。

父マジェスティックウォリアーは米国からの輸入種牡馬で、本格的な国内生産馬は現3歳世代からとなりますが、これまでに目立った成績は残せていません。但し、米国で生産されたベストウォーリアが交流GⅠを2勝していることから、日本の馬場への適性に不安はありません。

父マジェスティックウォリアーの配合上のポイントは不明ですが、「フェデリコテシオ理論」を用いて本仔を評価すると、優先祖先がグラップユアハートである点には妙味を感じます。

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