2019年度グリーンF募集馬の第一印象②

2019年度グリーンF募集馬の第一印象の第2回です。(前回はこちら

第1回では全体的な印象について語りましたが、今回から複数回に分けて、個々の募集馬についての第一印象を、記憶が定かな内に書き留めておきたいと思います。ここで、記載する順番はクラブから発表されたリストの順に従いますが、改めて気になるのがリストの順番が持つ意味です。全体を俯瞰してみると概ね募集価格の高い順に並んでいる様にも見えるのですが、「トゥルーストーリーの2018」や「ブルーモントレーの2018」辺りの順序は募集価格とは合致しない気がします。


1.モンシュシュの2018

父  :ロードカナロア
母父 :スペシャルウィーク
性別 :牡馬
毛色 :鹿毛
FN :23号族
誕生日:2018/05/15
生産 :社台ファーム

2019年グリーンFから募集して欲しい仔馬」のシリーズで採り上げた仔馬です。詳細はこちらを参照して下さい。本仔の血統構成は皐月賞馬サートゥルナーリアと酷似しており、父ロードカナロアと母父スペシャルウィークが同一であるのに加えて、サートゥルナーリアの母母キロフプリミエール と本仔の母母母Dance Design は3/4同血のニアリーの関係にあります。この様に、配合上の魅力の大きい仔馬でしかも牡馬になりますので、今年の募集馬の中では1~2を争う募集価格になる筈です。これがもし、微妙な価格帯で募集が掛かる様ですと、逆に「何かワケあり」を疑う必要が出てきます。

2.リリーアメリカの2018

父  :ハーツクライ
母父 :American Post
性別 :牡馬
毛色 :鹿毛
FN :1号族
誕生日:2018/02/17
生産 :社台ファーム

過去のグリーンファーム所属馬とは縁故関係のない仔馬ですが、何しろ血統背景が強力です。母リリーアメリカはリリサイドの全妹であり、リリサイドにハーツクライを配合して生まれたのが先の宝塚記念を牝馬ながら制したリスグラシューです。即ちこれは、本仔とリスグラシューの血統構成が100%同一と言うことを意味します。

ここで違いを上げれば性別と言うことになりますが、実はこの点が少し気になります。ハーツクライとSadler’s Wellsの血を持つ牝馬との組み合わせはNIXとも目される関係ですが、このパターンの成功例は牝馬に偏重する傾向があります。この点が牡馬に出た本仔にとって如何なるのか、興味深いところです。また、本仔はリリーアメリカの3番仔ですが、上2頭はイマイチ成績が冴えません。これも割引材料になってきます。グリーンファーム募集馬としては、トップクラスの良血であることは間違いありませんが、相応の価格で募集されますと、ちょっと二の足を踏むかもしれません。あとは馬体の出来が気になるところです。

3.アースサウンドの2018

父  :ドゥラメンテ
母父 :Yes It’s True
性別 :牝馬
毛色 :黒鹿毛
FN :1号族
誕生日:2018/02/05
生産 :ハシモトファーム

グリーンファーム所属馬だった母アースサウンドは、ダートの短距離でオープン勝ちの実績のあるクラブの貢献馬です。さらに、その産駒は全てグリーンファームから募集されており、4番仔の本仔が募集に掛かったのもある意味で既定路線と見ることができるでしょう。

一方で、本仔の魅力は間違いなく父ドゥラメンテにあります。今年デビューの新種牡馬としてはドゥラメンテの期待値は間違いなくMAXである上に、今年の募集馬でドゥラメンテ産駒は本仔が唯一である点も、自然と人気を集める要因となるでしょう。

但し、問題は兄姉の状況です。アースオブフェイムとガーデンコンサートの2頭は何れもデビュー後に「喉鳴り」を発症し、目立った成績を残すことが出来ていません。喉鳴りが遺伝的なものなのか判断は出来ませんが、出資を判断する上ではリスクとして把握しておく必要があるでしょう。3番仔にあたるサウンドトラックの育成状況は順調の様ですが、それでもセールスがイマイチ伸びていないのは、父オルフェーヴルの不人気と価格が高いことに加えて、この「喉鳴り」のリスクが懸念されている気がします。

4.トゥルーストーリーの2018

父  :ハービンジャー
母父 :キンシャサノキセキ
性別 :牝馬
毛色 :鹿毛
FN :4号族
誕生日:2018/05/15
生産 :前田ファーム

2019年グリーンFから募集して欲しい仔馬」のシリーズで採り上げた仔馬です。詳細はこちらを参照して下さい。デフィニットから連なる牝系はグリーンファーム馴染の血統ですし、ハービンジャーとの配合も魅力的です。

加えて、本仔で注目したいのが募集価格です。1つ上の1番仔(父エイシンフラッシュ)は昨秋の北海道オータムセールに上場され、僅か150万円で落札されています。2017年のハービンジャーとエイシンフラッシュ種付料の価格差は100万円でしかありませんので、ここから極端な値付けになることは考え難いとも思えます。もし、意外なまでに安価で募集されて来る様であれば、迷わずに出資を決めたい一頭です。

ちなみに、本仔の駐立写真は前田ファームの紹介ページにて確認することが可能です。シルエットは自分好みですが、遅生まれと言うこともあるのか、馬格はまだ小さそうな雰囲気です。

5.アイアムルビーの2018

父  :スクリーンヒーロー
母父 :Saint Liam
性別 :牝馬
毛色 :栗毛
FN :1号族
誕生日:2018/03/17
生産 :社台ファーム

過去のグリーンファーム所属馬とは縁故関係のない牝系です。グリーンファームのスクリーンヒーロー産駒としては、昨年、ムニラーの2017が募集に掛かりましたが育成中の事故により募集中止となってしまいました。ムニラーの2018も同じくスクリーンヒーロー産駒の牝馬ですので、改めてムニラーの2018を募集すると言う流れも考えられたと思うのですが、そうはならなかった様です。

ここで、ムニラーの2018と本仔の配合を比較してみると、RobertoよりもHeloの父母間クロスを有する本仔の方が配合上の相性は良いと思います。但し、何れにしても懸念材料となるのが牝馬と言う部分です。スクリーンヒーロー産駒の成績はRoberto系の例に漏れず、圧倒的に牡馬が優位になっています。即ち、牝馬に出ている時点で本仔の評価は大幅に割り引かなければなりません。そう言う意味では、1つ上の全姉グラナートロートの成績をウォッチしつつ様子見するのが良さそうです。

6.アースグリーンの2018

父  :オルフェーヴル
母父 :Street Cry(IRE)
性別 :牝馬
毛色 :栗毛
FN :4号族
誕生日:2018/02/10
生産 :那須野牧場

2019年グリーンFから募集して欲しい仔馬」のシリーズで採り上げた仔馬です。詳細はこちらを参照して下さい。期待通りの成績が出ていないオルフェーヴル産駒ですが、本仔はGⅠ馬ラッキーライラックと同じ、Mr.Prospectorの母系内クロスを有する点が配当上のポイントになります。

懸念材料としては、「オルフェーヴル産駒は牝馬の成績が冴えない」と言う問題がありますが、一方で、「馬格があれば牝馬でも走る」と言うデータもありますので、本仔については成長具合を確認してから出資を判断するのが良さそうです。個人的にはデビュー時の予想体重が480Kgを超えることが一つの基準と見ています。

最後にもう1つ、本仔の最大の懸念材料は厩舎です。両兄と同じ厩舎に委託されることになるならば、自分的には出資対象外と断じます。

7.レースウィングの2018

父  :ルーラーシップ
母父 :バブルガムフェロー
性別 :牝馬
毛色 :鹿毛
FN :7号族
誕生日:2018/04/01
生産 :ノーザンファーム

今年のノーザンファーム生産馬×3頭の中の1頭です。近親にグリーンファーム所属馬は見つかりません。母レースウィング自身は5勝を上げて準オープンまで進む活躍をしましたが、その産駒もグリッターウィングがオープンまで進むなど、安定した成績を残しています。但し、ここで懸念材料は母の年齢です。本仔の生誕時の母年齢は19歳であり、確実に高齢出産の域に入っています。また、本仔の1つ下は種付けが見送られており、本仔が最後となる可能性もありそうです。

一方で、配合的にはルーラーシップと相性の良い、Mr.Prospector持ちのサンデー系牝馬になりますので、牝系の華やかさも含めて順調に育成出来れば楽しみは大きい様に思えます。例えばフォーチュンリングなどが該当しますが、この手の高齢出産のノーザンファーム生産馬は安価に募集されるケースが散見されますので、本仔も割安で募集されれば、その分だけ魅力は高まると思います。

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コメント

  1. coralgreen より:

    macky様
    今回も楽しく読ませていただきました。ありがとうございます。
    私が思うに、リストは2019か2018の種付け料の高い順番ではないかと思います。
    また、本年度の募集は、社台サラブレッドクラブの募集価格、昨日の1歳セレクトセールで社台産の馬のセリ値などから例年より安くなるのではないかと見ています。

    具体的にはこれくらいでしょうか。

    モンシュシュ 3000万
    リリーアメリカ 2400万
    アースサウンド 1500万
    トゥルーストーリー 1000万
    アイアムルビー 1600万
    アースグリーン 1500万
    レースウィング 1200万
    オールドパサデナ 2400万
    ツルマルオトメ 1500万
    ブルーモントレー 800万or無料馬
    デザートオブムーン 1200万
    クーデンビーチ 1400万
    スルーレート 1200万
    マンハッタンフィズ 1400万
    ノーブルリーズン 1200万
    レイヨンヴェール 1600万
    ゼマティス 1400万
    ネーラペルレ 800万or無料馬
    オープンユアアイズ 800万

    それでは失礼いたします。長文失礼しました。

    • macKy より:

      coral-greenさま、

      コメントありがとうございます。種付料順と言う視点は完全に抜けていました。今後の検討に加えたいと思います。
      ここで種付料順と考える場合、何時の時点の種付料なのかがポイントになりそうな気がします。2017年の種付料ですとオルフェーヴルがまだ高額な一方で、ハービンジャーは底辺だったと思うので、最新の種付料と見た方が上手く割り切れそうな気がします。

      今年の募集価格については追って自分もアップしてみたいと思っていますが、第一印象の予想価格としては自分も概ねcoral-greenさんと同じです。特に最高額のモンシュシュと最低額のブルーモントレー&ネーラペルレの見立ては完全に一致しています。ちなみに、自分の今の予想ではブルーモントレーが無料馬、ネーラペルレが800万円です。一方で、自分の印象と最もギャップがあったのがオールドパサデナの2018でしょうか。未検討ですが感覚的にはリリーアメリカよりも安価なところで2000万円位かなと想像していました。

      最後に、自分が価格的に注目しているのがトゥルーストーリーの2018です。もし、トゥルーストーリの2018とネーラペルレの2018がこの辺りの価格で募集されて来るならば、ノータイムで出資を決定しても良いと思っています。