今年グリーンFから募集して欲しい仔馬 ⑤

今年グリーンファームから募集されることを切に願う、クラブ所縁の仔馬をリストアップするシリーズの5回目です。(一覧はこちら
全10回の予定で、前半戦の最後にピックアップするのは、クィーンスプマンテと並ぶ、グリーンファームの重賞勝馬の仔になります。


No5.バウンシーチューンの2017

1.基本情報(netkeiba.com参照

父  :ルーラーシップ
母父 :ステイゴールド
性別 :牡馬
毛色 :鹿毛
FN :13号族
誕生日:2017/01/25
生産 :社台Co白老ファーム

母バウンシーチューンはグリーンファームから募集され、フローラS(GⅡ)に優勝を果たした、グリーンファームでは希少な重賞勝馬の1頭です。またその他にも、本仔の叔母エアリーチューン、ライトリーチューン、半姉フリージアスターもグリーンファームから募集されており、クラブとの縁の深い血統と言えます。

一方、父ルーラシップは香港GⅠのクィーンエリザベス2世カップで念願のGⅠ馬の仲間入りを果たしたほか、国内重賞を4勝した活躍馬です。引退後は父キングカメハメハの後継として期待されて種牡馬入りを果たし、早々に初年度産駒から、菊花賞馬キセキやAJCC(GⅡ)を勝ったダンビュライトを排出しています。この結果を受けて、当初から高かった種付料は更に高騰を続け、今年の種付料は400万円にまで上がりました。また、種付数も毎年200頭台をキープしており、確実にキングカメハメハの後継種牡馬の地位を固めつつあります。父に似た雄大な馬格の仔を多く生みだすことから、生産者としても安心して種付けできる種牡馬の様です。

2.牝系情報

祖母リーインフォーストは、自身4戦して未勝利と結果を残すことが出来ませんでしたが、GⅡ馬バウンシーチューンの他、オープン勝ちのあるカネトシツヨシオーを生み出しました。グリーンファームからはバウンシチューンの半妹にあたるエアリーチューンとライトリーチューンが募集され、さらに昨年はバウンシーチューンの2番仔フリージアスターもグリーンファームから募集されています。この様に、グリーンファームとの所縁が非常に強い牝系ですが、バウンシーチューン自身が屈腱炎で引退した他、総じて体質や脚元に弱い仔が多く、その他の活躍馬が出ていないのが現実です。リーインフォーストの最後の仔となったライトリーチューンも能力を感じさせるデビュー戦でしたが、その後骨折を負ってしまい、力が回復しないまま引退となってしまいました。
ちなみに、ファミリーナンバーは13号族で、キズナやカレンチャンなどがこれに属しています。

3.血統配合

最初にに想像したことは、体質的に弱い牝系なので、これを補う意味で、雄大な仔を産出するルーラシップを配合したのではないかと言うことです。但し、気になるのは本仔の1つ上も同じくルーラシップを配合していながら、未だにマーケットに現れていない点です。状況的には何らかの問題が発生しており、上市をあきらめた可能性があります。

ちなみに、本仔の配合の特徴は父母と母母にあり、極めて野心的な組み合わせとなっています。父母エアヴルーヴと母母リーインフォーストは、父トニービン、母父ノーザンテーストが共通の3/4同血です。即ち本仔は2×2のニアリークロスを形成することになりますので、体質的に弱い牝系に対してこの強いクロスが如何出るのか興味深く、また非常に心配な点でもあります。その意味で、無事に育ってくれるならば、爆発力の期待できる配合だと思います。

一方、ルーラシップの産駒の傾向は、サンデーサイレンス系の母父と極めて相性の良いことが判っています。これは母父がサンデーサイレンスの場合の血統構成がドゥラメンテと3/4同血になる点からも明らかでしょう。本仔の母父はステイゴールドですので、具体的な実績はまだ無いのですが、同じサンデー系ですので問題はないと思われます

4.予想価格(予測モデルは本稿を参照

1700万円(基本:1000万,牡牝補正:+200万,父補正:+300万,母補正:300万円,兄姉補正:-100万円)

5.おわりに

種牡馬の勢力図がディープインパクト&キングカメハメハの時代から着実にその2世に代替わりしてゆくなかで、キングカメハメハの後継種牡馬の地位を固めつつあるルーラシップの牡馬が、予想価格の1700万円で募集されるのであれば、かなりのお得感があるように感じます。同じくキングカメハメハ後継のロードカナロア産駒であれば、もっと高い価格になってしまうことを考えると、今のルーラシップはまだ買い時と言えると思います。これには、種付料に200万円の差があることが効いているのですが、今後この差は少しずつ詰まってゆくものと予想します。さらに、本仔の字面のスペックだけを採り上げれば、両親共に重賞勝馬ですから、そのプレミアム性は高く評価されても不思議ありません。

一方で、本仔の場合は兄姉の成績と強烈なクロス配合から、虚弱体質である懸念が拭えません。期待通り募集に掛かってくれた場合でも、側尺や育成状態を良く見極めた上で、出資を判断したいところです。出来れば様子見しつつ出資判断を引き延ばせるのが理想ですが、スペック的には早期満口になってしまう可能性が高そうです。

【補足】
ルーラシップ産駒の1歳馬でグリーンファーム所縁の仔馬としては、本馬の他にもリボントリコロールの2017(牝馬)がいます。ルーラシップ産駒は牝馬も一定の成績を残していますので、牝馬だからと言って一概にNGとはなりません。さらに、血統的にはダイナカール一族とスカーレット一族と言う、華麗なる一族の共演となりますので、バウンシーチューンの2017以上の良血と言うことも出来ます。個人的に、バウンシーチューンの2017の方がハイリスクハイリターン的な魅力を感じる点で、期待度を高く取りましたが、手堅さで言えばリボントリコロールの2017の方が高いかもしれません。但し、リボントリコロールの2017は初仔になりますので、その点は注意が必要になると思います。

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コメント

  1. SHIM より:

    mackyさんの”今年グリーンFから募集して欲しい仔馬”の記事を
    いつも興味深く読ませて頂いています。
    バウンシーチューンの2017は是非クラブで募集してもらいたいですね。
    2016年の全姉は募集がかからず、現状も登録されていない様子なので、
    トニービンの3×3やノーザンテーストの4x5x4がどの様に出るのか
    不安ですが、上手く行けば仰る通り爆発が期待できそうですね。
    大変参考にさせて頂いていますので、これからこの企画を続けてください。
    よろしくお願いします・・・図々しくてスイマセン。

    • macKy より:

      SHIMさま、

      コメントありがとうございました。
      このシリーズは自分でも作っていて楽しいネタだったりするのですが、興味をもって頂けたと言うことであれば本当に嬉しい限りです。予定では異なる種牡馬で全10頭をリストアップすることにしているのですが、最後の方は何を残して何を切るのか悩むことになりそうです。

      これまでリストアップした仔馬は、概ね納得感があると言うか、募集に掛かれば普通に人気する仔馬だとおもうのですが、これからは徐々に個人的な好みが反映する選定となる見込みです。ちなみに、次回分も既に草稿は出来ています。今までと違い、今度の仔馬は即満口には間違いなくならないと思われるのですが、その血統配合から個人的にメチャメチャ注目している仔馬になります。ご期待下さい。